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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 1 『かぐや』と『姫』
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チョコレート

 『しがりません、つまでは――』そうは言っても、欲しいものは欲しく。ならば勝ち取るまでと、彼女達は立ち上がった。


 『ギブミー・チョコレート』を合言葉あいことばに。


 彼女達にとってチョコレートは、海外へのあこがれであり、その味は金にもあたいした。


 しかし、『糖類とうるいあわれみのれい』での横流よこながしが有るとはいえ、その量はわずかであった。


 だから彼女達は竹槍たけやりを手に取り、戦った。


 同じ女学生同士(どうし)おのれのチョコレートと、尊厳そんげんけ。


 一対一の試合しあい形式けいしきで行われたそれは、日頃ひごろの訓練できたえた竹槍で戦い、一本を先取した者が勝ち、相手のチョコレート手に出来るものだった。


 試合のやり方は、寸止すんどめから、防具ぼうぐを付けての打撃戦だげきせんまで、おの(たが)いの合意ごういで決められていた。


 そんな中、防具も付けず生身なまみで竹槍をき合う二人が居た。


 勿論もちろんやりの先はとがり、本気で突き合う。殺そうかといういきおいである。


 しかし、その二人は決して怪我けがをしなかった。それどころか槍がかすりもしない。何か特別な力が働いている様な――。


 それも不思議だったが、何より不思議だったのは、その彼女二人を知る者が居ない事だった。


 いつの間にか現れ、決まって二人は戦い、いつの間にか消えてしまう。一体誰で、何処どこから来たのか、謎であった。


 何故なぜ二人は戦うのか、何処どこの誰かも名乗なのらず。最初は二人を怖がり恐れていたが、それでも二人の試合は凄かった。そんな事を忘れさせる程に。


 徐々に二人は憧れの的に成り、その戦いにせられた女学生達は、自分達で戦う事を止め、自らのチョコレートを二人にたくし、見守る様に成っていた。


 女学生達の乙女心は、二人の事をその優美ゆうびな見た目から『ひめ』と『おじょう』と呼び、彼女達をときめかせた。


 そして何時いつしか、二人の試合は学校対抗(たいこう)代理だいり戦争にわっていた。職業訓練女学生側は『姫』を、女学女子側は『お嬢』を代表に決め、学校の威信いしん、命程のチョコレートをけて二人は戦った――。


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