価値
私の家の蔵に眠る古書が、世界を滅ぼす事が出来るですって!?――。
さっきから、この人物は一体何を言っているのか――ついていけない。
「貴女のお婆様が魔女で、今でも魔法が使えれば――今直ぐにでも」
「そんな事、信じる訳――それって、お婆ちゃんじゃなきゃいけないの?」
「魔法が使える魔女なら誰でもいいわ」
「ほっ、本当に?ちょっと、私にも見せて――」
その古書には、見た事も無い文字が書かれていた。何語かは解らない。
当然私には読めないので、その事の真偽が判断出来ない。
そもそも、それを読めたとしても、はいそうですかと、信じられるものでもないのだが。
「貴女は、この文字が読めるの?」
「えぇ、読めるわ。こういうの得意なの――ところで、この古書譲って下さらない?」
譲るも何も、その為に来てもらっているのだか――。
しかし、話を聞いた後だからか、それを手放すことが何やら勿体なく思えて来た。
話を本当に信じたわけではないが、万が一、億が一何時か使う時が来たら――。
「これだけで、十万出すわ――」
十万!?そんなに?
現在の価値にして、一千万程である。
「どうぞ、どうぞ。家にあっても宝の持ち腐れですので」
それだけ儲ければ、チョコレート食べ放題じゃないか。
それに、似た様な書物がまだこんなに――一体幾らになるのやら。
「――っと。他のものは要らないわ。殆ど価値が無いわ」
ま、まぁそんなものだろう――。
あっ――そういえば、大事な事を聞いていなかった。
「あの、魔法って一体何なんですか?魔女って一体――それに、その書物には一体何と書いてあるの?」




