金髪
「ごめん下さい!――」
家で一人留守番をしていた私の元へ、ようやく買い取り業者がやって来た。
約束の時間から一時間近くの遅れであった。
私は開口一番、文句の一つでも言ってやろうと決めていたのだが、その威勢も、その人物を目にした瞬間消え失せた。
「ごめんあそばせ。わたくし、急いでいたのだけれども…。人に――」
驚きの余り言葉を失ったが、彼女のそれは――そう、西條舞子のよく言う言葉を借りると、『非・国民的』であった。
「とっ、取り敢えずどうぞ。こちらです――」
金髪――鎖国である以上、外国人が居るのであろうか。いや、居たとしてもおかしい事は無い。唯彼女は、この女性は明らかに外国人ではない。
しかし、その髪は金色に輝き、棚引いていた。
「はぁ、はぁ――」
彼女も急いで来たらしく息が上がっていた。遅れていた事を自覚し、必死になって来てくれた事に私はこれ以上何も言えなかった。
突然の事に私も呆気に取られていたが、彼女は彼女で何か、腑に落ちない様子ではあった。
金髪について、触れておいた方が良かったのか?――。
そんな事を考えながら、私は彼女を蔵まで案内した。
「――こちらです」
「そうね、こっちの方がいいわ――」
?彼女は何か合点がいった様子で、納得していた。蔵の事は言っていなかったのか?――。
「蔵の物は全てご自由にご覧下さい。ここに在る物が全てです――」
「まぁ、ありがとう――とても沢山あるのね」
「いえ、これでも半分まで減って。鉄で出来た物は軍に回収されてしまったんです」
「そう――でしたら、書物等はございまして?わたくし、古書が得意ですの」
「多分、何処かには――どうか、探してみて下さい」
そう言うと彼女は、他の品々には目もくれず書物を探した。目を輝かせながら――。




