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かぐや舞う  作者: 合川明日
♯ 1 『かぐや』と『姫』
16/70

祖母

 『これからだと言うのに――』と、あきれていた彼女を説得せっとくし、今直ぐにでも夫人ふじんを助けに行きたい気持ちをおさえ、私は仕様しようが無く帰路きろについた。


 まさかこんな事になるなんて、思ってもみなかったの私は、家の用事ようじ安請やすういしてしまっていた。


 それがどうでも良い事ならいくらでも反故ほごにし、幾らでも西條さいじょうさんに付き合ったものを――。


 ただ、彼女は彼女で、一人ででも動くという。


 今日中に、夫人が本当に国民こくみんりにったのか、そしてもしそれが本当なら夫人は何処どこれて行かれたのか、彼女は調しらべてくれるらしい。


 しかし、それは一番初めにやる事で、当然とうぜんである。


 彼女冷静(れいせい)そうに見えて、(チョコレートの事となると)意外とけているというか――。


 結局けっきょく、明日決行(けっこう)する事で約束やくそくし、今日は許されたのだった。


 そして、私の用事というのは祖母そぼ終活しゅうかつ関係かんけいする事なのだ。


 戦争による物資ぶっしや食料の不足ふそく、それは私の住む所も例外れいがいではない。今はそれなりにめぐっては来てはいるが、何時いつそれが無くなるとも知れず、そのそなえは必要ひつようであった。


 このご時世じせい、私を職業しょくぎょう訓練くんれん学校がっこうかよわせられるだけの、少しは裕福ゆうふく家庭かてい――それが私の家。


 それなりに家の敷地しきちも広く、くらまでった――問題はその蔵だ。


 蔵にあったてつなどは、ほとんど軍に回収かいしゅうされてしまったが、蔵の中には骨董品こっとうひんがまだ多く残っていた。


 戦争ではらわれるくらいなら――先短さきみじかしと、遺品いひん整理せいりね、祖母はそれらを全て売ると決めたらしい。


もうかったら、チョコレートをお買い――」


 そう言われたら手伝うしかなく、買い取り業者ぎょうしゃが来るのが今日で、家には私しか居ることが出来なかった。

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