竹槍の未来
「私は行くぞ――手遅れになる前に」
「そんな、まだ本当にそうなったとは限らないじゃない。それに何故貴女が?」
「予科練の話が本当なら、時間が無い。予科練は軍の施設で行われる。手出しが出来なくなる――しかし、憲兵署は唯の駐在署。まだ間に合う」
「何を言っているの?――」
「彼女を助け出す」
「!?――どうやって?」
「私達には魔法の竹槍があるだろう」
「待って。本気で言っているの?まだ何も解らないのに。それに――それに助け出したとしても、また彼女が捕まる様な事があったら。迷惑になったら…」
「私達が更なる非国民に成れば、彼女へのお咎めは消えるだろう。そして、彼女がもう二度と非国民と呼ばれない為に、女学生達が非国民狩りに遭わない為に私達が、『姫』と『お嬢』がこれでもかという程非国民に成る――」
「――どうしてそこまで」
「チョコレートの恨みは恐ろしいんだ――」
そう言った彼女は何故か楽しそうで――彼女の笑みを見たのは初めてだった。
魔法の竹槍の使い方に疑問を持っていた私にとって、その申し出は又と無いものだった。
もしかすると、彼女も――。
こんな事は今の今に思い付く事ではない。この力の役立て方を考え模索していたに違いなく、今回の事はそのきっかけに過ぎないだろう。
勿論、夫人を思っての事だろうけど。私にはこんな事思い付かなかった。
その先の事を、竹槍の未来まで考えて――。
唯の薙刀馬鹿だと思っていたけど、ほんの少しだけ見直した――。
「えっ!?私も?――」




