決着
試合は何時も通り決着が付かないまま、長期戦の様相だった――。
しかし実力の差なのか、徐々に私は追い詰められていた。
「はぁはぁ…。キツイ――」
最近になってその差は顕著に表れ、私は彼女の攻撃を防ぐことで精一杯だった。
そろそろこの試合自体潮時か――女学生のチョコレートが懸かっているのだから、負けずとも勝てない試合はしない方が良い。
「――どうやら決着が付きそうも無いな…。今日はどうする?またジャンケンで決めるか?」
「えっ!――」
傍目には解らないだろうが、彼女が私の劣勢に気が付かない訳がない。このまま試合を続けていたら私は、負けて――。
「この期に及んでジャンケンで決着だなんて…。今日は私が――」
「なら引き分けね。また次に――次までに鍛え直す事だな」
見ていた女学生達はざわつき、落胆の声が聞こえたが、次第にそれは拍手へ変わった。
安堵しているのだろう、チョコレートを得られなかったとはいえ、失った訳ではないのだから。
しかし、試合は今日限りにしよう。やめよう――唯勝てないからではない。
私は何をやっているのか。虚しさが込み上げる。この力、こんな事に使う為のものではない筈。もっと何か誰かの役に――。
今、何がこの国で、世界で起こっているのか?私はそれを日々の中で忘れそうになる。現実味が無い。
こんな事をしているのだ、今、戦争をしているなんて――自分には関係ない。そう思えてしまう。
「『お嬢』、こんな事もう辞め――」
そう、言いかけた時だった――一人の女学生が血相を変えて道場へ飛び込んで来た。
「大変!『おチョコ夫人』が……。おチョコ夫人が『非国民狩り』に!!――」




