人外っぽく人間ぽくあれ (・ω・)⊃-[二二]
顔文字。あれなんだろう
両者の決闘の宣言直後、先に動いたのは櫻木の方だった。
槍を大きく振るい、暁を叩き斬ろうとする。
しかしそれでも暁は武器を構えるどころか、動かなかった。
刃先が暁の鼻先寸前の位置で止まる。
「何のマネなんだセコンドハンド。もしかしてビビる人だと思ったのか。」
「まあそうですよね。こういう小手先の罠には引っかからないか。」
櫻木はそもそも一撃でかたがつくとは到底思ってもいなかった。
ひとまず初撃をあえて当てず、たった数ミリの寸止めを行ったのだ。
体をどこか動かすだけでも刃先が暁に当たる攻撃範囲。
攻撃をわざと大振りしたのには理由がある。
一つは相手の反射行動による追撃。
当たらない攻撃でも、反射的に避けてしまうものだ。
それに、大きく見せることで隙をあらわにさせる。
それでも櫻木は隠し持ったトランプによるカウンターも考えていた。
そして二つ目は慣れである。
実は小学生の時にしか槍を使ってはいなかったため、一応のテストである。
その時は槍ではなくビックベンの時計台の針であったが。
その二つを考慮しての攻撃であったのにもかかわらず、暁はそれを避けようとはしなかった。
「ではこちらから行きますよ。」
暁は二丁拳銃を素早く撃つ。
櫻木は構えた瞬間に後ずさりをし、あとから迫る銃撃を槍を回し、ガードする。
二発の弾丸を防いだ時には暁はすでに櫻木の死角に移動している。
そこから暁は銃弾一発をわざと外す。
銃弾は地面に行った。その瞬間に櫻木は銃弾の着地点に視線を向ける。
そして現在暁は櫻木の背後を取っている。
もらった。
当然背後からの攻撃は必ずノーダメージで防ぐことなど不可能である。
特に暁ともなれば、振り返る前に殺すことは赤子の手をひねるようなものである。
しかしそれは一般的な人間からしたらである。
彼よりも同等または上位ともなれば、背後そのものが武器となることを考えなければならない。
引き金を引こうとした瞬間、暁の目に一枚のコインが映る。
B・・・。
コインが銃に当たる。
金属効果ゆえの金属音と同時に、その物体から眩い閃光と、小規模の爆発が起こる。
爆発により手が拳銃から離れる。
なんだ今のは。
「今のはスキルだよ。」
櫻木は振り返り、槍による追撃を行う。
暁は足でその攻撃を防ぐ。
そこから足を大きく蹴り、槍を押し出す。
「スキル?もしかして今のがマジシャンのスキルかい。」
「ああそうだよ。スキル Bコイン。トランプ一枚につき接触型爆弾コイン一枚分作ることが出来る。」
「爆弾。でも今のはまるで銃弾のように飛んでたな。」
「それは単なる技術。マッスルパスっていうマジシャンの技術。親指と人差し指の付け根を使ってコインを飛ばす方法。」
まさかあの時背後でからの攻撃を分かったうえでのものだったのか。
いや、あの人に死角なんて概念は恐らく皆無に等しい。
完全に視界にも映らなかった僕を、何も見ずにコインを飛ばしたのかよ。
「それに背中を見せるのは弱いやり方だと言えるが、その弱いやり方で人を欺くものだ。」
「つまりはめられたとはね。」
「そういうことだ。」
すると櫻木は槍をトランプのカードに変え、山札の中に入れた。
「いちおう言うけど、俺が好む武器は色々だよ。」
「へー。色々ですか。」
「だからこういう風に・・」
櫻木は一枚のトランプを軽く投げる。
その瞬間に櫻木は消えた。
まさか後ろに。
「そういう風に現実と結びつかせてると、意味ないぜ。」
暁は振り返るが、そこには誰も居ない。
そして背後には櫻木が槍を振りかざしていた。
しかし暁はもう片方の銃で槍を防ぐ。
「これが背中で語るともいえるんですよね。」
暁は背後に蹴りをいれ、櫻木との距離を取る。
櫻木も近接戦では分が悪いと感じ、蹴りを避け距離と取った。
そこから迫る銃弾の数々。
櫻木は槍を使って難なく防ぐ。
すると突然スモークが発生。
どうやら暁が銃で牽制している内に行ったものだと思われる。
櫻木はあえて煙からは出ないでおく。
そして煙を晴らすためにコインを空中に投げる。
そこからまばらに上空から降り注ぐ。簡易的なエアストライクへと変わる。
すると暁がすさまじい速さで迫ってくる。
その速さは煙の方向を変えるほどであった。
櫻木はコインを避けながら暁の場所を探る。
足音で判断しろ。
・・・少ない。
ならここしかないな。
少ないのは恐らく飛びながら走っているからだ。
暁は名家の中でも瞬殺に長けた一家だ。
でもこの速さは感じたことのある異常さである。
すると刃先に感触が伝わる。
煙が晴れるとそこには腕を切られた暁がいた。
そしてこの時にはすでに拳銃を拾われていた。
完全に計算して場所を特定したのだろう。
しかし櫻木は驚く。
「痛いですよ。でもそれもそれで殺しがいがあるもんですよ。」
暁は櫻木の方へ向く。
狐のお面は一部、目の部分が砕けている。
そしてそこから覗いているのは黒い瞳であった。
ガンフラ豆知識
耐久度について
基本的にユーザーのキャラ衣装による優位はなく、基本的に武器とかにある。
特に近接武器には耐久度がかなり重視される。
また、仮面などの防具が傷つくのは耐久度ではなく、ただ壊れただけ。
HP残量によって決まるものだと考えてはいるが、自傷ダメージは反映されない。




