次回バトル開始します ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)
スイッチ2当たらなかった。
大三元四暗刻で上がれなかった。
「えーっと。この部屋か。」
廊下を歩き、扉を発見する。
[試行場・開発室]。扉は二つあり櫻木は左へ、ジェームズは右に入る。
櫻木はドアを開けると、そこには先ほど遭遇したオールバックの青年ハンマーが目の前の椅子に座っていた。
三味線はおらず、それ以外にも人がいるが彼の存在はその中でも異質であった。ドラゴンロードの父親もいるがこちらの存在を悟られぬよう少し遠くの席に座っている。
京極夏彦の小説【死なばいいのに。】を読んでいる。ブックカバーはされていないためタイトルは分かる。しかし本の内容を櫻木は知らない。
「あまりドアを開きっぱなしにしないでください。まるで緊張しているように感じてしまう。集中力も切れてしまいます。ですから早くこちらにお越しください。」
読書をするハンマーは櫻木に話しかける。
彼はハンマーに近づく。しかし驚いたのはハンマーは小説を読んではいない。ずっとあとがきを読んでいた。読み終わった直後だと思われたが、彼ははじめからあとがきのみを読んでいた。ずっと繰り返してだ。
「京極夏彦。いい名前です。京に極。垓から載を捨て去って、そこから恒河沙にはいかずがいい。もしくは都=京という昔ながらの都市を連想させるが、実際は極楽またはその果て、いわゆる極点という場を表しているようで面白い。」
「それで内容は。」
ジェームズがそう聞くと、ハンマーはこう返す。
「なぜ蛇足部分に注目するのだ。」
なかなかな発言だ。今ファンに喧嘩売ったようなものだぞ。
「まあ冗談です。ただ名というのは素晴らしいのです。私の名も、素晴らしいでしょ。」
「ハンマーがか。その後にブロスとかつきそうだな。もしくは太った方かもな。デブロスみたいな。」
「そうですか。ならいいです。感想ありがとうございます。」
櫻木のあおりにあまり乗っからず、むしろそのことを認め感謝した。
気味が悪い。
すると開発者の一人が向こうから現れる。
「皆さんお越しいただきありがとうございます。」
この場にいる人たちは椅子に座り、彼女のほうへ目を向ける。
「本日は最新作Psy voltage overcloseのテスターに募集していただきありがとうございます。早速ですが今回の仕事内容についてお話いたします。」
スクリーンが目の前に垂れ下がり、プロジェクターが起動する。
パワーポイントのスライドが開き、説明が開始される。
「今回の仕事内容は、オンラインプレイによる対戦環境の整備と、トーナメントシステムの確認。そしてタッグマッチでの確認を行います。」
「今回はあらかじめシステム同調を働かせるために、二部屋に分かれて行います。あくまで部屋を仕切ることで電波回線の最低レベルを把握し、どこでもつながれるように試行させていただきます。」
つまりストーリーなどの調整を行えているということか。だけどロボゲーの本来の魅力は対戦にある。
見たところこの壁ジャミングが少し働いている。つまり隣室とはつながりにくい状態へとなっているのだ。
「特にトーナメントはこちらがランダムで選ばせていただきます。4つのトーナメントを作り、優勝者はタッグマッチを行えるということです。安心してください。タッグマッチに進まなくても給料は平等に支払います。ただ、タッグマッチに参加できた人には特別手当を支給する予定です。」
これにより、参加者の意欲が上昇する。
「それではスクリーンをご覧ください。今回のPsy voltageは従来と違い4種のロボ、【サイクス】を操っていただきます。」
スクリーンに4種類のロボットが映し出される。Psy voltageは【サイクス】という機体を操るのは従来通りであるが、その機体に能力が搭載されていたのだ。
1:熱操作加工サイクス 加工・製造が短縮される。
2:電磁操作型サイクス 遠隔での加工・製造が可能
3:複数機体型サイクス 別の機体【オービット】を操る。【オービット】は加工可能。
4:学習連携型サイクス 構造物を読み取り、再現することができる。
この4つにはパッシブのほかに経験値によってレベルが上がる。最大5まで。それによって能力が強化されるというもの。
この真新しさにほとんどのテスターは歓喜した。3人を除いて。ちなみに櫻木は感嘆した。
「それではこちらがトーナメントとなります。名前は各自が登録した名簿と同じですので、ご安心を。」
開発者はそう言うとスイッチを押す。スクリーンは天井に上がり、奥の壁が開かれる。
その先は複数の業務用VRチェアがそこにあった。向こうの様子はわからない。おそらく同じような状態なのだろう。
「では名簿のところに皆さんお座りください。」
全員がVRチェアに座りゲームが起動される。
トーナメントでは櫻木の相手はβアルファであり、試合が開始される。




