体は闘争を求める └ [□△□] ┐ウィーン
ひと月更新ばっかなってます。
色々と展開とかキャラとか増やしていくため、ちょっと調整しながらやるつもりです。
「・・・闇バイトじゃねよな。」
「いやちがうがう。確かに民間人が殺人または犯罪を行う行為は違法だけれど。」
当たり前だ。
「確かテスターとかだったかな。なんか再来年に発表するゲームのテスターを募集してたんだよね。一応趣味でやってるからそういった通知も来るけど。」
サイトがゲームをやっていることは初めて知ったが、とはいえテスターはあまりやったことはない。
唯一あったことは、リクリエーターが作り上げたあの大乱闘系のゲームのみ。
「でもなぜ俺に教えるんだ。」
「だって金に困ってるんでしょ。」
「ああ、あんたらのせいでな。」
「またまたー。」
スマホにひびが入る。
電話の向こうではアメリカのコメディドラマのような笑いが聞こえる。
俺はこれを無心に聞けばいいのか。
櫻木の怒りゲージはどんどんと上がっている。
「まあ冗談はさておき、暇なんでメールでいろいろなテスターの募集要項を出しときま。」
櫻木は電話を切った。本来の目的である21億の負債額について知ることができたからだ。
まあ知ったところで金は帰ってこないのがオチではあるが。
「しかし、テスターか。」
テスターはかなりの高時給である。大手であれば福利厚生もしっかりしているため、様々な症状が起こっても問題ない。
かなり前にも話していたが、フルダイブ型のゲームにおいてのテスターは、はっきり言って命を落とすことはないが、最悪五感の内一つが失う可能性がある。
なぜならプログラム内で起こったバグを、直接プレイヤー側に伝わる可能性もあるからだ。最近ではAIにとって代わるという策を実行しているのだが、AIには脳波を出すことはない。また、AIでのテストが成功しても人間とはまた違うため、尺度を正確に測らなければ、後遺症を起こす可能性もある。
そのため、AIでおおまかな部分のみを見つけ、バグを修正させる。そこから人を使って安全性をより高めるのだ。youtubeでの規制ビデオの処理みたく。
ただし、弱小企業の場合AIを介さずそのまま人間にやるため、さらに深刻な状況になる可能性がある。実際それで起こったことといえば、ゲーム内で下半身と上半身をチェンソーによってぶった切られた衝撃が伝わり、下半身不随を起こしたやつもいる。
まあ今の時代そういったものは少なくなってるし、たいていそれはくそげーだけど。
そう思いつつも櫻木はパソコンを立ち上げ、テスターの求人を探していた。
「まあでも募集要項見ても、入れるかどうかわからないな。」
テスターの求人情報にはそのゲーム会社のゲーム履歴がわかるアカウントと、テスターの依頼履歴が必要な場合が多い。特にテスターを初めてやる人はかなり緩い求人に応募する必要がある。
だがそれも先ほど同様かなりのリスクがある。
櫻木はプレイしたことがあるゲームのテスター求人を探す。
しかしそのどれもがかなり厳しいものとなっていた。
くそ、見つかんねえか。じゃあどうする。
裏バイトでもするか、運び屋とかやれるぞ。
さすがは元殺し屋である。闇バイトでも動じない。
しかし問題はそれ経由で見つかることだ。まだ賞金首がかけられている。暁やマインドの助力で賞金はわりと下がっているがそれでも目をつけられているのに変わりはない。
その時スマホから不在着信が入る。
相手は先程会話したサイトである。
留守電メッセージにはこう伝わっていた。
『秒針さん。そういや昔やってた《Psy voltage》の新作が発表されましたよ。それテスター募集してたんで始めたらどうっすか。』
と笑いながら話していた。
櫻木はそのゲームを調べる。
Psy voltage。それはコントローラーゲームの最盛期を引き伸ばしたゲームであり、フルダイブゲームの黎明期を遅らせたゲームである。
そして黎明期となったゲームはラストリゾートであり、Psy voltageはその反対に位置するゲームだ。
ジャンルはロボット対戦。唯一違うのはバトロワ要素を持ったロボゲーである。
敵対NPCを倒しながら武器や装備を強くし、時には
プレイヤーを倒し装備を強奪する。ロボゲーでは見られないハント要素が注ぎ込まれた作品である。
ここまで聞けば運要素が絡みまくるようだが、実際は多種多様のタイプが存在し、奇襲を仕掛けるのもよい。そのため強固なガチタン編成もあれば、隠密での奇襲スタイルもあり、さらには空中でホバリングしながらミサイルを撃つ人工衛星も作ることが出来る。
自由度の高いハンティング要素を含んだロボゲー。人気が出ないはずはない。
櫻木はPsy Voltageのサイトを検索し、テスター情報を閲覧する。
テスター求人では、前作の『Psy Voltage Revise』のランクマ制限のみであった。
つまりは、玄人のみが参加条件。櫻木はその条件をクリアしている。
そしてそのまま手続きをし、当日を迎えることとなった。
留守電後
「まあ俺はサイトじゃなくてマガジンだし、サイトは2年前に殺されたから他人のフリしてもいいけど。」
彼は椅子にもたれながら腕を伸ばす。
「それにいっか、仲間の1人。ストックがあの研究魔の実験につきあってることは、何も言わなくていいかな。」
水面下で行われる5本指のハッカーの1人。
3解者 バランスの計画は順調に進んでいることを。そして2週間後、全てが終わりに近づいていくことを。




