お冷3つで (。-`ω´-)ンー
ちなみにこの章のタイトルはすべてボカロ曲からきています。
今は死んだ元殺し屋、ノギスが持っていた感覚。
それは、頭頂部から足先までの全身から対象の物体の距離が正確に分かる感覚。
名前は確か尺刃と言っていた。
殺しにおいて情報は欠かせないもの。特に相手との距離が分かれば、奇襲のタイミングや有効射程をすぐに知れるというメリットがある。
そして尺刃を発動と同時に対象物へと俊足に移動。もといそれを自動化に変化させる能力。
名前は尺反展開。
カカシ12はノギスのもつ尺刃をベースに構築した能力であると後に語る。
彼は片目を封じられた状態でも、立体感覚を無くさずシャベルを手に取りアクセルロードに攻撃を防ぐ。
「お前ヒーローかよ。」
というか今飛び込んできたのは賭け。それとも
「メタビジョンだ。」
「青い監獄にいたのかお前。でもおかげでたす」
アクセルロードはタイヤのついた足で攻撃をした。
「かってねえわ。」
「同じく。」
すると二人の視界が正常に戻る。
「今更気でも変わったか。」
シャベルを回し、たたきつけるようにアクセルロードに向かう。
しかしその攻撃はアクセルロードではなく、櫻木に向かっていった。
「おい。なにすんだお前。」
カカシ12の攻撃を避けるが追撃するようにアクセルロードは加速しながら拳を握り、ぶん殴った。
しかし櫻木はコインを手に持ち、拳の接触部分を理解しコインをアクセルロードの拳に当てた。
コインは爆発し、櫻木の手とアクセルロードの拳にダメージが入る。
「片手だけ見てんじゃねえよ。」
アクセルロードはスタートダッシュをし、低姿勢に移行。
そこから両足を折りたたみ、タイヤを地面とほぼ真横で設置。
最終的にタイヤの回転が地面勢いよくスリップし、その勢いで腕を大きく振るう。
しかし背後から飛んでくるシャベルを、アクセルロードは掴む。
うっそ。あいつ背中にも目あんのか。いや、さっきの視界操作といい、こいつ俺の視点がわかってんのか。
先ほどのカカシ12の攻撃は彼の意志ではない。彼が攻撃を行う瞬間、その目線を櫻木に移した。
無意識。ただそれが今へと至る。
しかしカカシ12はシャベルに飛びつき、それと同時に蹴りを入れた。
アクセルロードの攻撃は中断される。
そしてタイヤを逆回転させ、勢いを殺した。
カカシ12はシャベルを拾い追撃を行おうとしたが、アクセルロードはすでに距離を取っていた。
そしてまた二人の視界が半分交換される。
「確かにこの状態は立体感が消失して気持ち悪さが目立つな。だが、こっちからしたら情報が増えていいもんだ。」
櫻木はアクセルロードの爪を逆手に持つ。
カカシ12は狩人の運命を発動させる。
二人は同時に走り出した。
アクセルロードは二人の視点がわかっている。
だが問題は、目が多いだけで実際の体は一人分しか存在しない。
だったら。質より量だ。
同時に攻撃を仕掛ける。
尺刃はこの一歩前で射程が確定する。だが、あえてここで止める。ここで止まれば、当たらない。
シャベルはアクセルロードに当たらない。だがアクセルロードはそれを警戒し、すぐさま逃げる姿勢にいた。
だからこそ、この攻撃は当たることはない。
カカシ12は自らの攻撃をおとりとして使う。その一瞬の警戒が、櫻木の重い一発をぶち当てる。
アクセルロードは反応できなかった。
「たかが視界がわかる程度。だが思考は分からない。未来も分からない。視界がわかってもそこからくる攻撃に対処できなかったら、それは結局宝の持ち腐れと同等。」
櫻木の攻撃をもろに受け、アクセルロードは体勢を崩す。そしてその後カカシ12の第2の攻撃が迫る。
シャベルを大きく振るい、体を勢いよく回転。その回転力を使い初撃よりも威力の高い一撃を飛ばしてきた。
その一撃もアクセルロードはくらう。
俺はカマボコさんより早くは動けない。だけど、視界が動きつづけるなら一撃を入れることはできる。
前まで見たけど、あのプレイヤーずっと回転の攻撃が少なかった。むしろ回転を入れても、一周するほどない。よくても半回転。
じゃあ一つの視界が動き続けたらその視界を見ることはない。見てもノイズになるだけだ。
カカシ12の考えは正しいが、唯一間違えがあるとすればそれは単独では不可能ということ。先の櫻木の攻撃があるからこそ、その攻撃が通ったようなものである。
これで、アクセルロードのHPはあとわずか。
でも問題は、こっちもその分削れていること。コインの爆発があったからこそ追撃を回避したが、もしそれがなかった場合俺は死んでいた。
櫻木が思考する中、カカシ12も同様に考えていた。
残りHP4割を切った。むしろさっきまでの攻撃が一番ダメージが入った感じか。
それに一対一じゃ勝てるビジョンがない。今は人数有利をもって互角だけれど、もしカマボコさんが死んで欠けてしまったらどうしようもない。
二人は今もなお向かっている。
だがそれよりも先に、奴は人となった。
「面白い。」
二人は驚く。
その一言は、彼が呟いてはならない一言であった。
そのセリフは彼が吐くものではない。
人工知能は、人を理解し人となった。
アクセルロードは燃える。




