武人 秋風 ・:*。・:*三( o'ω')o))
長らくストップさせておりました。
あと二話ほどでこの章は完結します。
次の章はミリスパの話に戻す予定です。
ちなみに現在ストーリー的にはもうすこしで4分の3ほどとなります。
最後まで是非お付き合いを。
「どうやら王は死んじまったようだ。」
空羅魈はビルの縁まで歩く。
「もう曙は行ったし、俺はやるべき事もないからな。ただ、システムはずっと起動してるから、解除して退場しますか。」
空羅魈は地面に手を置く。
ゲーム内の空間は電子によって作られた仮想の舞台。現実では地面の下には複数の要素が存在する。地脈や水脈はもちろん、人工的に作られたものであっても。
それらと比べれば、ゲームはやはり簡易的に作られている。システムのみで構成された建造物。それらを辿れば、見つかる。
現実とリンクした、脳に影響を及ぼすコードが。
「みっけ。」
空羅魈はリフレクトが作った死亡システムを消去させた。
「じゃあここらでお暇するか。」
空羅魈は飛び降りた。
霧に包まれ、死亡ログが確認される。
櫻木はニチリンとの戦いを終え、デスボックスを漁っている。
ひとまずアメイリさんとは決着が着いたが、問題は曙ともう1人のプレイヤーだ。
曙はさっき分かった。勝つ可能性は高い。でももう1人のプレイヤーは絶対に無理だ。
勝てないことは姿を見て分かった。あんなの一般人と熊が戦うようなもの。例え武器を持ってもその武器は扱えない。
単なる直感。判断材料はたったそれだけだ。
櫻木はそう結論づける。
誰しもが感じる絶対的な敗北感。当然元最強の殺し屋もその感覚を持っている。
それほどにも、空羅魈と櫻木の力は天と地ほどの差が開いているのだ。
さて、一体どうするか。
その時死亡ログが突如表示される。
名前がないプレイヤー。おそらくあのプレイヤーで間違いないのだろう。今生き残っているのは俺を含め3人。
だがキルログには自滅と書かれている。
もしかしてこの霧の中に飛び込んだのだろうか。だとしたらもうすでに死んでいるのでは。
櫻木はそう考えながらもニチリンのデスボックスを漁る。
やはりあの透明化スキルの弊害か、回復アイテムはない。というよりデスボックスの中身は空であった。
このままだとまずい。曙がどれほど体力を削られているかが重要な要素となっている。
その時、櫻木の後ろから曙が来る。
櫻木は急いで振り返り、戦闘態勢に入る。
「すでに満身創痍でしたか。」
そう言うと曙は回復アイテムを取り出し、櫻木の目の前に置く。
「なんのマネだ。」
「フェアな勝負がしたいのです。僕はあの人のもとで短時間の修行を行いましたから。」
すでに曙の目は黒色化に入っている。
「修行。そんな精神と時の部屋みたいに、短時間で修行や鍛錬は行えるのか。俺は無理だが。」
「可能です。むしろ短縮させた分つけ焼き刃ではありますが、色々と技を吸収することができました。」
なるほどな。だがそんなので強くなれるのか。かなり疑わしいことではあるが。
「ひとまず早く回復を。早く戦いたいものです。」
急に戦闘狂キャラになったな。あれ、こんなやつだったか。
ひとまず櫻木は回復を行う。
回復を終えた瞬間櫻木は曙に近づいた。
先行一発目。無生。
曙流秘技 神座
曙は櫻木の一撃を受け止める。
でもその技、数秒間の硬直があるだろ。なら、動いた瞬間にぶちかましてやるよ。
曙が動いた瞬間、櫻木は渾身の一撃を放つ。
その一撃は入ったが、曙は耐え攻撃を仕掛けた。
嘘だろ。今の素で耐えたのか。
三節混が頭上から降られ、櫻木は後ろに下がる。
くそ、武器がない。近接での戦闘なら向こうのほうが圧倒的に有利だ。
櫻木は現状を分析しながら、曙の観察する。
神風20% 鳴神 70% 神座10%
曙流混合秘技 神威
三節混が櫻木の目の前まで飛んできた瞬間、曙は音を立てずに素早く移動し、連続で鳴神を発動させる。
櫻木はその攻撃を避けるが、流れるような連撃は櫻木を逃さない。
さばくことも不可能な速度と威力が、5秒間絶え間なく降り注ぐ。まるで嵐のような勢いだ。
攻撃がやむと、櫻木はバックステップを行い、そこからクラウチングスタートの体勢に切り替え、勢いよく走る。
そしてそこから飛び込むように拳を振るう。
すると三節混が一瞬動いたため、櫻木は体を大きく傾け、横転する。
その時、目の前に三節混が横切る。
もしタイミングがずれてたら頭吹っ飛んでたぞ。リアルアンパンマン案件だぞ。
曙流秘技 鳴神
倒れた櫻木にめがけて雷の一撃が飛んでくる。
このタイミングを狙っていた。
死線
櫻木は足を使い、死線を発動。
三節混はきれいにはじかれ、曙は暗い闇に包まれる。
これが、死線。動けないこの瞬間。まさしく闇。
櫻木は無生を放つ。
だからこそ、この空間は破壊する。
曙流秘技 神楽
「神楽の解明方法は、秘技を何回か発動した瞬間にヒントがちりばめられてる。それらを統合させれば神楽は容易に発動可能だ。」
数分前、空羅魈は曙に神楽について教えていた。
「なるほど。」
「そして神楽が発動出来た時、もしかしたら十字の世界が発動できるな。」
「それほどまでのものなのですか。」
「まあな。というか神楽って大技じゃなくて、視覚とかそういった感覚が強化されるだけだけど。」
「それは。」
「神楽の能力は、生命体が持つ生体エネルギーを感知するだけの能力。いうなれば、MPが表示されるだけのものだがな。」
空羅魈は笑っていた。
だけど僕はこの瞬間世界が180°ひっくり返った感覚があった。
闇に包まれた空間が崩壊する。
曙は櫻木の一撃を反射的に片手で受け止めた。
その時彼の瞳の中心には黄緑の十字が刻まれる。




