救いの名を持つ最果ての伝説 本章 前編 ( ˙ ꈊ ˙ )
今回も次回もセリフが9割以上を占めます。
「君は戦闘に対しての成長速度が早いからね。少しテンポを徐々に早めながら進めていこう。色々と話したいこともあるからね。」
空羅魈は準備体操を行う。
あの人が、救いの使いか。
イメージとはだいぶ違うが。なんかもっと神々しさがあってもいいというか。
「何思ってんのかは分かってるんだぞこっちは。」
空羅魈は曙の顔を見て怒る。
「さっさと始めるぞ。」
「よろしくお願いします。」
曙の特訓が始まった。
空羅魈と曙は武器を捨て、拳での戦いを行う。
「まあ手始めに色々と教えないといけないことがある。」
「何がですか。」
「神楽についてもそうなんだが、それより先に世界の真実を聞かせてやろうかと。」
「その根拠は一体。」
「何かしらのヒントになるかもしれねえだろ。それに、お前には話す価値がある。」
「分かりました。それでその真実とやらは。」
「そう急かすな。いいか。この世界は全てが何者かによって作られたものだ。」
「何者かによって?メタ発言とかではなく。」
「そのメタ発言を行えるやつが、真実に到達した人間ってことだよ。そいつらはまさに俺よりも格上ともいえる。まさに天才だ。」
「そいつらって。」
「真実を知る10人の存在。昔から今にかけてそういった奴らはそこそこいる。中でも日本人はその内の半数だ。」
「名前とかって。」
「あるよ。時代にそって順に言うと、狩波御神、断友、四季語、|三味線、エリザベス・ローズ、聖ルドルフ、初代夜行、米宮、八雲放浪、白の10人。お前が名を聞いたことがあるのは、初代夜行と八雲放浪の2人だけか。」
「はい。とはいえその10人とは面識があったのですか。」
「当たり前だろ。初めに会ったのは狩波御神だ。確かその時日本は飛鳥とかだったかな。都の外れで狩りを楽しむ変わったやつだった。まあでもその時まさか、そいつが神とは思わなかったな。」
「あなたは元々日本人でしたか。確か空羅魈は中国の仙人だと。」
「あの時は中国にいたよ。まだ貿易も外交も今よりも盛んではなかったからな。でも確かにあいつ狩の腕は凄いのに役人だったな。遣隋使だったはずだ。通りで色つきの帽子をかぶっているわけだ。」
「聖徳太子が制定した冠位十二階でしたね。色とかは忘れたけれど。」
「まあそういう奴がいたんだよ。でもあいつ役人なのに槍と弓の扱いは上手かったな。それに殺気でその時熊を殺したからな。獣でも嫌がる相手とか、正直おかしいだろ。」
「そうですね。」
「それで2人目の断友が、これまたイカれてた。元々唐の偉いやつだったと聞いたが、どうやら物語を作るのにハマっていたらしい。まああいつはアイディアが出るまで基本おかしいことしかしてないからな。」
「それって。」
「科挙を一発で合格した挙句、農作の鎌を使って王朝の中で大量殺人をしたやつだからな。その後度胸が認められて軍の1人になったが、あいつの放つ拳はまさに最強だ。俺でも防げれねえよ。」
「そういえば、どうして断友という名ですか。」
「あいつは狂ってるんだよ。だから狂いながら生きて作品を作っている。断友は、仲間いらずという勝手な信条で作った本人も覚えていない意味の無いペンネームだよ。」
「ペンネームか。この時代にもあったとは。」
「そんなもんだよ。そして3人目が四季語。京都に潜む古き殺人鬼。歌を詠むのが好きな貴族ではあるが、そいつには鬼が潜んでいた。俺も初めて見た時、正直恐怖を感じたな。」
「貴族であり、殺人鬼だったのですか。」
「違う。貴族ゆえの殺人鬼だ。あっちは権力争いとかが先行していたからな。うちに潜む鬼も仏の浄化をものともせず、遂には仏にさえ敵意を向けて仏像を破壊したからな。」
「確かその時って。」
「仏教シンドロームの時期。仏を信じなければ天罰が下される。でも実際あいつは天罰もくらってないし、むしろ外に下ったとかかな。」
「天罰ってそんな具体的に。」
「具体的だ。第一天然痘を神罰と呼んでいた時代だ。医学があまり発展していない昔で、どういうやり方が適正かと言われれば、それは仏を信じることだ。まああいつがウイルスの被害を受けなかった理由は、あいつの鬼がウイルスよりも強いからかな。」
「というと。」
「免疫能力がほかよりも高すぎたんだよ。まさに無敵って感じだぞ。」
「そうですか。」
「冷たい返答だな。まあ返事できるだけで良しとするか。」
戦闘のスピードは徐々に増していった。
とくに曙がギリギリ食らいつける位に。
「そして4人目だが、あいつはまあ嫌なやつだ。ウザイやつだった。」
「ウザイって。」
「旧楽の仙人が1人、三味線だ。まあなんかあれだ。ガサツであり適当なやつ。」
「なるほどな。以上か。」
「あいつにそれほどの話す価値があるかは知らない。まあでも今多分復活してるからな。また会ったら本人に聞いてくれ。」
「りょうかい。」




