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最強の殺し屋は引退した後ゲーム廃人になるらしいです  作者: ドンドコ
ガンフラ 6章 進む道。生まるる偽物の逸話
163/204

武人 夏空 ^_− ☆

活動報告にも記しましたが、明日から1週間毎日投稿を行います。ちなみにできなければ罰として5月中に24時間耐久投稿プラス執筆を行います。

あと3周年おめでとうございます。これからもよろしくお願いします。

ちなみにマジで忘れてました

 「師範。どうして僕が曙家の跡継ぎとして名を挙げたのですか。」

 前当主曙龍(あけぼのりゅう)は曙宗三にこう言った。

 「お主には才能がある。ワシをも超える天賦の才と勝利への貪欲さが。」

 「でも僕は、師範を超えることができません。僕以外にも適任がいたでしょう。」

 「そやつらはもう意味の無い木偶の坊だ。才があろうとなかろうと、お主よりも強かろうと弱かろうと、わしはお前を当主としての器があると判断する。」

 「どうして。」

 「曙家の人間は、ワシ以外は井の中の蛙といったところ。こやつらはお主とは違い、この先の世界に相応しくない。あやつらの武は、戦うためであり、殺しのためでは無い。お主はいつかその世界に染まる人間だ。そして、お主はいつかワシを超えてくれる。そう感じるだけだ。」

 曙龍は現在もご存命である。

 しかし半年前、高齢による障害か、物忘れが激しくなり、次第に曙当主の座は降り、近くの病院で暮らしている。

 自分の名前も忘れたくせして、何故か僕の名前だけは覚えている。

 そして毎度の如く、「ワシを超える。」と呟くのだ。

 でも師範。目の前にいる師範の友、櫻木に僕の攻撃は届くのでしょうか。


 櫻木は避けながら槍を構えてはトランプを投げ、さらにトランプの攻撃モーションをフェイントとして活用し、槍で間合いを詰めていく。

 曙はヌンチャクを振り回すが、それでも彼には当たらない。

 こいつ。舐めやがって。

 櫻木は激突してから避けてばかりで、1回も攻撃をしてこない。

 ただトランプを使い、曙の隙を強調させるかのように当ててくる。ダメージは無いが、曙からすれば挑発行為に等しい。

 隙が見えるがあえて教える。その隙を攻撃すれば良いものを、櫻木はそれを教えているのだ。

 明らかに手加減されていると感じる。それはプレイヤーからしても舐められていると思わせるほどであった。

 すると曙の攻撃は何故か止まる。

 櫻木は曙が動かなくなったのを見て、注意深く観察する。

 「危ない。落ち着け。頭は回っている。」

 曙はヌンチャクをしまい、両手で顔を思いっきり叩く。

 「・・・目覚めた。」

 「ああ。お陰様で。」

 曙は櫻木を睨む。

 先程までとはまた違った様子であった。冷静さを取り戻したようにも見えるが、何かが引っかかる。

 「先に言っておく。僕は十字の世界を発動することも出来ないし、戦い方もあまり良くない。だけど、君を超える。絶対に。」

 曙はヌンチャクを構え、戦闘態勢に入る。

 「カウンター型っぽいね。その構え。」

 「武人ですから。相手のことをよく観察しておかないと。」

 曙は1歩踏み出す。

 曙流秘技 神風(かみかぜ)

 櫻木は咄嗟に槍でガードをする。

 曙はヌンチャクを下から上へと振り上げ、櫻木の武器を狙った。

 そこから全方向に連続で攻撃が続く。

 早、てか攻撃の速度加速してね。

 櫻木は防戦一方となってしまう。

 すぐさま後退し、曙から離れる。

 すると曙は攻撃をやめ、櫻木に近づこうとする。

 櫻木はそこに違和感を感じ、トランプを1枚投げる。

 すると曙はヌンチャクで、前から飛んでくるトランプを叩く。

 トランプは破れずに地面に落とされる。

 なるほどね。

 これは居合切りみたいな感じか。居合切りというより居合打ちと言い換えた方がいいかな。しかも移動しながら。

 ヌンチャクの間合いを作り、その間合いに入った物体を反射的に打つ。それを移動することで俺自身を強制的に間合いに入らせ、連続で反射的に打っていく。

 待つカウンターじゃなく、攻めのカウンター。

 というかやっぱ苦手なんだよなー。

 曙は直立し、そのままヌンチャクを振り回す。

 神風を止めた。

 その瞬間を櫻木は見逃さなかった。

 先程よりも早い速度で槍を振るう。

 曙流秘技 神座(かむくら)

 曙は片腕で槍の一撃を防ぐ。

 うそだろ。普通防ぐかこれ。

 櫻木の槍の一撃は少し前に戦った暁の攻撃よりもさらに威力が高い。

 しかし曙は涼しげな顔をして、その一撃を簡単に防いだのだ。

 櫻木はヌンチャクが動くのを見て、後ろに下がる。

 ヌンチャクは空振りし、曙は櫻木を観察する。

 「さっきの一撃。痛くもないのか。」

 防いだ腕の心配もしない態度を見たのか、櫻木は曙に聞く。

 「痛いのは痛いですよ。でも今のは防ぐというよりも、打ち消したに近いですが。まあでも足の踏ん張りが甘かったから、終わったらスクワットと走り込みしなければ。」

 ストイックだな。

 「それに気づいているでしょ。僕とは相性が最悪だって。」

 「ああうん。・・・そうだな。」

 櫻木は曖昧な返事をする。

 第一殺し屋と武闘家は相性が悪い。

 その理由としては戦闘スタイルとステータスによるもの。

 まず殺し屋と武闘家は勝利条件が異なるのだ。

 殺し屋は殺せば勝ち。対する武闘家は相手に勝つ。殺すことを重きに置いた戦い方では無い。

 この勝利条件の違いが、戦闘スタイルとステータスに大きな違いが生じる。

 殺し屋の戦闘スタイルは、一撃を確実に入れる。むしろ一撃入れればそれでいい。その際に必要な技術は少ない。最低限のことが出来ればそれでいい。

 また、殺し屋はとにかく攻撃で展開を作っている。または防御しても意味が無いのだ。一撃入れば死を意味する。そのため防御をしない。

 つまりは、ノーガード特攻のスタイル。

 しかし武闘家は相手に勝つ。一撃は最低どころかできて当たり前レベル。とにかく相手に勝つ。そのためには警戒を怠らない。

 相手に勝つためには、攻撃もそうだが、防御を無くせば相手にとって有利な状況となる。

 そのため隙がない戦闘スタイルとなる。

 そして戦いにおいてのステータスも戦闘スタイルに依存する。

 殺し屋は1点だけ特化していれば、他が低くともまかなえる。

 某Aというやつは攻撃能力がカンスト超えしており、他が並以下であっても夜行として活動できている。

 それに反し武闘家はハイバランス型。全ての項目が高い。

 まあでも、戦うには避けて通れないんだよな。

 じゃあ見せますか。

 櫻木は槍を地面に置き、準備体操をする。

 背中がボキボキと鳴り響く。

 「姿勢悪いんですね。」

 曙は鳴り響く背骨の音と、うーという声が櫻木からしたため、そう言った。

 「まあこれでも。運動しなかったからな。頭の中でも、体が動いていると思わないと。」

 櫻木は準備体操を終え、槍を拾う。

 槍の矛先を曙に向け、櫻木は戦闘態勢に入った。

 現在のプレイヤー数14名

 そのうち10名が、50秒後1人のプレイヤーによって蹂躙される。

 

次回 マイン視点となります。

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