6殺(むごろし)環状線 其の十七 ( ˆᴘˆ )ウプ
ネット小説大賞さんから感想いただきました。
そして名前の件は個人的に面白いものだなあ。と思っていました。
もう修正されているんですけどね。
橙色の十字。
しかも今は半覚醒じゃなく、ただの覚醒。
もしかして半覚醒は何かしらの条件が必要ってことなのか。
明星は日喰比の瞳を見ながら分析する。
しかし日喰比との共鳴が何かしらの作用で絶たれているため、情報が掴めずにいる。
「はっはー。まだまだ盛りだくさんだぞ。我輩はただ舞台に降り立っただけにすぎない。貴様には我輩からのプレゼントとして、最高のショーを見せよう。」
「ショー?もしかして陽無と同じような。」
「ああ。十獄療法のことか。いな、それよりも画期的で新鮮味があるぞ。何せ、ショーだからな。」
そのセリフが終わると同時に日喰比はハンマーを投げる。
投げたハンマーは初め明星の真横を通過する。
それと同時に日喰比は距離を詰め、二発の拳が明星にクリーンヒットする。
こいつ。早くなっている。
いや、恐らくカポエイラの効果。
ダンサーのスキル カポエイラの能力はリズムを一定数消費するとその分に応じて速度を上げる。
日喰比はリズムを三つ使うことで速さを60%上昇させている。
そして現在二発攻撃したことでリズムが二個たまる。
明星は足を金属に変え、変則的に伸ばし、日喰比に刺しに行く。
日喰比はその攻撃を避ける。
しかしその金属はいきなり消えてなくなる。
まさか、気体化したのか。なら拡散させ、
その時日喰比は膝をついてしまう。
何故だ。同じ攻撃のはず。
「流石にあれをさせられたら、対策もする。」
今行ったのは化合金属を気体化させたときに発生した、毒ガス。
酸化銅や塩化鉄などを大量に生産。そこから気体化させ、金属、酸素、塩素に分離させる。
特に酸素は息を大きく吸った瞬間即時に効果を発揮する。
人間にとって必要要素である酸素も、多量摂取すれば毒となる。
しかしここまでリアルに設定するのに苦労した。しかも酸素による効果はちゃんとダメージが入るようになっている。普通の毒じゃ、ダメージが入ることはあまりないからな。
「はっはー。どうやら我輩の方が有利ということか。」
ち。私の様子を見て考えたな。あそこは酸素濃度がかなり高い。もし金属による攻撃を行ってもすぐにサビるからばれる。
かといって私がその中に行っても今度は私の体が酸素という毒に侵される。
でもね。まだ知らないんでしょ。
私はまだ武器を使っていない。
明星はサブマシンガンを取り出し、撃つ。
フルオート銃。そして小型銃弾。これなら避けることもできない。
すると日喰比は立ち上がり、手を上に挙げる。
「日喰比劇場 第一幕 代替わり」
すると明星の後ろからハンマーが飛んでくる。
あれは、さっき投げた。
明星はすぐさましゃがむと、日喰比は勢いよくハンマーを受け取り、銃弾を全て跳ね返した。
その瞬間風圧で周囲に立ち込めていた純粋酸素が薄れていく。
「実は我輩の劇団。日喰比劇団では、新人がエースを奪って始まるようになっている。もちろん新人でなくとも、裏方がそれを行うこともあるがな。」
日喰比はハンマーを持ち、走り出す。
明星はサブマシンガンを体にしまい、片手を金属のハンマーに変える。
「はっはー。それでこそ決闘というものだ。」
「決闘なんて、私あんまり好きじゃないけどさ。今、楽しいって思ってる。」
明星は金属の壁を日喰比の前に出現させる。そしてそこから壁を壊し、日喰比に攻撃する。
しかし日喰比はハンマーの攻撃部分を持ち、持ち手の先を明星のハンマーに当てる。
そしてそのまま明星のハンマーを掴み、持ち手と一緒に下へと押し込む。
日喰比劇団 第二幕 火空葬
シーソー原理による攻撃。相手の体勢を崩し、自身の攻撃へと転換する。
しかし明星の頭は粉々に砕ける。本人じゃなく、金属の像のほうが。
いや、むしろそっちか。自分の頭をハンマーに変えるとはな。
明星は体を大きく回転させ、サブマシンガンを構える。
「日喰比劇団 第三幕 the witch」
すると日喰比はハンマーを捨て明星から離れる。
明星は咄嗟に動く日喰比に反応できず、日喰比を一瞬探す様子を見せる。
the witch単なる気配消しによる動作だがな。音もなく消える。何かに目線をやってしまうと、いなくなったことに気づきにくい。
そして返してもらうぞ。日喰比劇団 第四幕 ガイアリターン
日喰比はサブマシンガンを避け、そこから走りハンマーの持ち手を強く押す。
明星はその時にはもういなかったが、そんなのは関係ない。この攻撃は単なる範囲攻撃だからな。
ハンマーは地面に強く差し込まれ、その部分だけひび割れ陥没した。
その地響きによる影響か金属の板に潜んでいた明星はバランスを崩し、姿を現した。
でも彼女は笑っていた。
そう、明星は罠を仕込んでいた。
日喰比は既に明星によってひそかに作られた檻の中にいた。
「なるほどな。近距離による戦闘を行うことで、明星。貴様に注目させることで、フィールド全体の変化に気づきにくくしたという訳か。」
リスク踏まえての環境変化。かなり面白い。
だがな。お前は確実に攻撃することができない。そうだろう。
日喰比劇団 第五幕 禁夜叉
「それを待ってた。檻を壊す。もしくは持ち手を壊して檻の間を縫って攻撃する。でも、私は一歩も外に出ていないよ。」
まさかあれは、さっきまでつけていた金属の皮膜。
「だから今、これが聞くと思った。」
日喰比の横腹に金属が張り付く。
そしてそれを明星は拳で破壊する。
ガンフラでは装備による破壊時にダメージが上乗せされる設定となっている。
少しだけ耐久力のある金属を強制的に装備させ、そこから破壊するように攻撃するとダメージが上乗するように仕掛けるといったもの。
よし、これで。
「日喰比劇団 第六幕」
は。まだ耐えてるってこと。
幸運だ。フラの効果である再生能力の向上がまだ消えていない。
そしてお前は姿を現した。アーマーを捨ててな。
「凶凛」
一撃がハンマーに当たる。そして、そこから杭を打つように日喰比の拳がハンマーの打撃部に直撃する。
その瞬間、檻が粉々に砕け、明星の体が吹っ飛ぶ。
今ので分かった。日喰比の未来が見えないわけが。
こいつの領域。侵食型だ。私の軌跡証明が無効になるのは、こいつの領域がそれを喰らっているからだ。
そして明星は立って着地した。
その時に日喰比はナートゥダンスをし、攻撃力を上げる。
「ところで、ナートゥをご存じか。」
「終わった後に言うかよそのセリフをよ。」
その時日喰比のハンマーにひびが大きく入る。
その様子を明星は見逃さない。しかし、明星の体力はあとわずか。そして今までの戦いによって脳による処理は限界を迎えている。
そして日喰比も同様。あと僅かの体力と武器の耐久値。
両者互いに様子を見ている。
その時、互いの目に認識不可の情報が真正面から横切る。
音速さえも掴むことが難しいほどの速さで、突っ切ったのだ。
黄昏と陽無が。
次回黄昏と陽無との戦闘に移ります。




