トライアウト シュバッ=͟͟͞͞( ⊃ᐛ∩)
何かと衝撃なことと、まさかのあれが伏線を回収するとは。
「おいおい。まさか俺以外にも来てるやつがいるなんてな。正直驚いたぜ。」
或時は笑いながら話す。随分と余裕な状態だ。
いやむしろ警戒心を解かす為ともいえる。戦闘態勢にはいつでも切り替えられるはずだからな。
油断すれば真っ先に殺される。そんな感じのやつだ。
「それで。肝心の神隠しさんはどうしてここに来たのかな。」
「いやいや。別に俺は敵としてこの場に来たとかじゃないよ。ただ単純に気になったから。まあもしかしたら明日には君たちの味方になってるかもしれないけど。」
「随分と曖昧な返事だな。」
「曖昧に決まってるだろ。5解者。俺はそういう人間なんだよ。君も知ってるだろ。セコンドハンド。」
「そうだな。でもここに来た理由は説明してくれよ。俺も俺で、お前がここにいること自体が、いやここを知っているところから既に、警戒心を解いていないからな。」
櫻木は銃を構える。撃つつもりは無い。たんに攻撃の意志を提示しただけだ。
引き金を引けば終わる。あいつはそういう奴だ。
「銃を下ろせよセコンドハンド。言ったろ。俺はただ様子を見に来ただけだって。まあこういうやつもいるしさ。」
或時は意識を取り戻し起き上がろうとする無名団の1人に近づく。
「やっほー。目ぇ覚めた。」
「お前・・・誰だよ。」
或時は笑顔で返す。
「殺死名十二家系の1人。或時だよ。」
「やっぱお前だ、、、」
或時がその男の頭に手を乗せると、その瞬間首から上が消えた。否潰された。
プレス機のように跡形もなく潰したのだ。
「はっはー。或時。貴様我輩の生かした情報材に手をかけるとは、いい度胸だな。」
日喰比はハンマーを向ける。
「攻撃すればお前も殺す。」
日喰比はお決まりの高笑いも出さずにハンマーを下げた。
「物分りはいいな。」
或時はもう一度櫻木達に体を向け、ポケットに入れていたハンカチを出し、血にまみれた手を拭いた。
「ああそうそう思い出した。セコンドハンド。俺はお前に宣戦布告を行う。」
「宣戦布告?やっぱり敵として来ただろ。お前。」
「いやいや違うよ。まあ俺は賞金首とかマジでどうだっていいんだよ。本当にね。」
「へえ。それでなんの宣戦布告だ。」
「そうだな。君がいつもプレイしてるゲーム。そこで俺のチームとセコンドハンドのチームでチーム対戦をしようかなと思ったんだよ。」
「ゲームでするのかそれを。」
「そうだよ。」
「ちょっと待って。なに。ここに来たのはただゲームの勧誘って事かいな。ほんま怪しさまんてんやで。」
「満天って。まあ目的を話した方が分かりやすいかな。君も薄々気づいてたんじゃない。ガンフラット・オンライン。このゲームが元々何かっていうのを。」
「何か?」
「そもそもこのゲームは殺し屋育成プログラムのシミュレーターなんだよ。当然管理しているのは殺し屋。しかも世界規模のね。」
櫻木は驚いたが、それと同時に納得もいった。
何故殺し屋としての技術やポテンシャル。あまつさえ殺死名の持つ十字の世界や仙人の持つ能力が反映されているのかが。
「これが真実だよ。君が遊ぼうが遊ばまいが、結局のところこのゲームを通して強力な殺し屋を発見し育て、君を探す駒を増やすか、もしくはセコンドハンドが来た時ようの情報収集システムを稼働させるためだよ。」
なるほど。納得がいった。
だからあのゲームはダウンロードなのか。
ソフトだったらこういうこともできないからな。
しかし運が良かったのだろうか。システムはあまり起動しなかったらしいが。
だってあの時からあったならすでに情報は抜き取られているものだが。
「とはいえそのシステムは2ヶ月しか保てなくてな。まあ初期からやってはいたが、結局足にもつかなかったらしい。」
じゃあ本当に運が良かったのか。
「でも。今はもうそのシステムなんざどうだっていい。本命は既に目の前にある。」
「じゃあなんだ。これがお前の持ってきた宣戦布告の内容か。」
「もうそれでいいよ。それ以上言っても無駄だしな。じゃあ日にちだけ。明日の午後10時。ガンフラ内で待っている。お前ら三人にな。」
或時は姿を消す。その瞬間に気絶状態だった無名団全てが跡形もなく消えていった。
「なあさく。アイツの言ったことで少し気になったことがある。」
「・・・なんだ。」
「あの時3人といったけど、あいつの場合3人であっても4人であっても5人であってもそれより多くても戦えるんだろ。」
「まあ・・・概ねそうかな。」
「ならどうして3人に限定させた。まるでこちらの人数を把握したうえで、あえて一人はまた違うことをさせようと思ったのか。」
「おいマインド。」
黄昏がマインドの独り言を止めるように話しかける。
「多分或時は気づいとるんや。」
「何に?」
「決まってるやろ。第三勢力の存在を。」
「はっはー。そうか。むしろそれしかないのか。」
「・・・つまり或時はもう一方に警戒したのか。」
「いや、正確に言えばもう一方という存在をただ知らせただけだ。」
「どういうことだよさく。」
「簡単だよ。或時はわざとそれを伝えただけだ。俺たちの戦力の分散。むしろ防衛ラインを築かせることで意識を少しでも傾かせるために。」
言い換えれば、或時は戦う前から心を揺さぶらせた。本調子を出しにくいように第三勢力という別の敵に焦点を向かせるように。
「でも。その第三勢力はある程度推測できる。」
「できるのかマインド。」
「ああできるんだよ黄昏。むしろそれは多分俺にしかできない物かもな。」
マインドは誇らしげに言い放った。むしろこれしかないと断定したかのような。
「じゃあ俺らは或時のところを行けばいいんだな。」
「ああ。こっちは任せろ。」
「はっはー。なら心配ないな。必ず生きて帰って来いよ。」
「ああ。」
マインドはバックヤードに帰る。
そして櫻木、日喰比、黄昏はゲーム内に入り、練習する。
翌日午後10時
[バトル:カオスマーケット まもなく開始します。]
殺し屋コラム
ガンフラット・オンラインについて
元々は殺し屋の育成プログラムの一環として用意されたもの。
ボスバトルなどのNPCも数々の殺し屋をモチーフにして作られたものである。
そしてガンフラット・オンラインは殺し屋以外にも一般の人が使えるようにされている。
根本的なシステムはある一人の殺し屋が開発したものだ。




