表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/13

12:気付き




 ――私はラインハルト様の屋敷が大好きだった。

 日当たりがよくてお洗濯ものが乾かしやすいですし、そして何より裏庭には、『露天温泉』があるんですから……!


「はぁ~、あったまりますね~……!」


 ある日の夜、私は一日の疲れを取るべくゆっくりとお湯に浸かっていた。

 月を見上げながらホッと息を吐く。夜風が少し冷たいけれど、火照る身体に気持ちいい。


「ふふっ、今日も身体をピカピカにしておかないとですね……」


 微笑みを零しながら腕を撫でる。


 ……最近の私はナマイキにも、美容というものに気遣うようになっていた。

 国王であるラインハルト様の側に立つ者として、いつまでも垢抜けないままではいられないと思ったからだ。


 それに何より、愛しい彼には綺麗な自分に触れてほしい。

 そんなことをよく思うようになっていた。


「まぁシルフィーナ姉様から散々野暮(やぼ)ったいと言われた私ですから、磨いたところでそこそこがやっとでしょうけど……」


 (性格はともかく)容姿だけは輝いていた彼女がそう言うのだから、自分にはあまり魅力がないのだろう。

 特に王城にいた時はいつも死んだ目をしていたし、『アンタの顔を見てると雰囲気が暗くなるのよ』と義姉によく罵られていた。


「あはは……そんな自分の顔が嫌で前髪を長くして、義姉からさらに暗くなったと馬鹿にされていましたっけ……」


 なんとも間抜けな話だと苦笑してしまう。


 義姉とのエピソードはそんな和気あいあいとは言い難いモノばかりだが、家族で一番絡みがあったのは彼女だ。

 今どうしているか少しだけ心配だったりもする。


「……まぁ図太いあの人のことですし、それなりに上手くやってるかもですね。一緒に教育を受けさせられていた頃には、よく宿題を代わりにやれと言ってきたり……」


 私より一つ年上なんですから、どうせ自分でも出来るでしょうに。

 なのにあの人はよく宿題を解かせたり、授業の時もめんどうなのか私に答えさせてばかりいた。


「あと私よりも身長が十センチ低いことを気にしてか、こちらを睨みつけながら牛乳をガブガブ飲んでましたっけ……」


 はてさて、どうしてあんなに恨めしそうな目で見てきたんでしょうか……?

 私なんて姉様よりは高いといっても、平均身長より少し低いくらいですのに。


 義姉としてのプライドが許せなかったんですかね~と、私は胸の前で腕を組みながら考えるのだった。

 


 と、そんな時。


「うふふっ、レーナちゃんってば独り言が外まで聞こえているわよ?」


 優しげな声と共に、湯けむりの先から一人の女性が現れた……!

 ――革命軍の情報担当にして、私の憧れであるマリア様だ!


「はわっ!? マ、マリア様いらしてたんですか!?」


「えぇ。また色々と国王陛下に報告することがあったしね。隣、いいかしら?」


「は、はいっ!」


 優雅な所作でかけ湯を行い、マリア様も温泉に入ってくる。


 ……いつもは葬儀用のゴシックドレスを纏っている彼女だけど、今は当然裸だ。

 服の下に隠されていた完璧すぎる美体が露わになっていた。


「ふう〜、やっぱり温泉は気持ちいいわねえ」


「そ、そうですね……!」


 ……わ、私も女性のはずなのに、顔が熱くなってしまうのはなぜでしょうか……!

 ラインハルト様の裸を初めて見たときのような気持ちが、なんでかちょっぴり湧き上がってきて……。


「あらあらっ、レーナちゃんってばお顔が真っ赤よ? もしかしてのぼせちゃった?」


「あっ、いえいえいえいえっ! 大丈夫ですよっ、全然……!」


 う、うぐぐぐ……マリア様に心配されてしまった……なんという失態……!


 ああ、それにしても本当に憧れちゃいますねーマリア様。

 余裕たっぷりな大人の女性って感じで、私みたいな自信のない弱い子とは大違いです。


 それに容姿もとっても綺麗。

 特に今日は普段顔にかかっている黒いベールもないため、その美貌が完全に露わに……………………って、あれ?


「マリア……様?」


 ――どうしてでしょうか。

 マリア様のお顔が、私なんかと似て見えるのは――。

  


レーナ「私みたいな、はしたない胸の気弱メイドなんてモテませんよね……」


ラインハルト+男性国民「うおおおおおおおお!!!」


・ただの萌え要素の塊ーー!


【作者からのお願い】

『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマーク登録をお願いします。

また、↓に☆がありますのでこれをタップいただけると評価ポイントが入ります。

本作を評価していただけるととても励みになりますので、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] (あとがきより) >レーナ「私みたいな、はしたない胸の気弱メイドなんてモテませんよね……」 >ラインハルト+男性国民「うおおおおおおおお!!!」 >・萌え要素の塊ーー! 2424&282…
[一言] どんな作品でもメインヒロインはれる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ