5話ガチャガチャだとよ!
「あ、ああぁぁぁぁ!はぁ……はぁ……」
俺は、叫び声を上げて目を覚ますと椅子に座っており、変わらず天使が自分を見つめてきている。
「記憶は、見れましたか?その様子だと無粋な質問ですね……」
「死の記憶を抜き取っておくのは、確かに大事だな……」
悪夢を見た後のように荒れる呼吸を整え、俺は答える。天使の同情する表情が目に入るが、そこまで考える余裕がない。
「ひどい汗ですね、どうぞ」
天使がどこから取り出したのかわからないタオルを渡してくる。
「あ、どうも。はぁ〜良い匂いだなぁ!」
顔にタオルを押し付けつつ汗を拭く。それにしても、死んでいるにも関わらず汗が噴き出すものなんだなぁ〜と思う。汗が出ないのも出ないで変な感覚を感じるだろうが……
「ふふっ、もちろん良い匂いですよ!私と同じ匂いです」
自信満々に言う天使に、先程まで思いっきり匂いを嗅いでいたのが少し恥ずかしくなる。
「それでは、最初の話に戻りますね!貴方には、転生して貰おうと思います」
「転生かぁ……出来たら、平穏に暮らしたいんですけど」
「そうですね〜、人生は何が起きるかわかりませんからね。なんとも言えません!」
さすがに思い通りとはならないようだ。
「さて、スキルを与えますよ!ここに来てください」
「ああ……スキルあるんですね。厄介な異世界が想像出来るなぁ」
優秀スキルとかが優遇される世界とかだろうなぁと思う。結果によっては、すぐに激萎えする可能性もある。
「まぁまぁ、最初からテンション下げないで下さいよ。さあ、ガチャですよぉ〜」
パンパカパーンというようなBGMが聞こえた気がして、目の前に100円のガチャガチャのような物が目の前に現れるのだった。