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教室で
side黒峰陽子
教室に戻ると、石橋君が近づいてきた。
「あ、あの……」
「……何?」
私は緊張で表情が強張り、声も硬くなった。
「こ、今度の日曜日にデートしてください」
消えるようなか細い声で石橋君はデートのお誘いをしてきた。
(……ん!?)
私は衝撃で空回りし始めた思考を纏めようと苦心した。
(え、デート!?私と!?あ、恋人だし当たり前かな……いや、え!?昨日の今日でいきなり!?)
「ダメですか?」
私が黙っていたのが不安にさせたのだろう。おずおずと怯えたように私にそう聞いてきた。
「いいけど……」
「本当ですか!?……よかった〜」
石橋君は私の答えにホッとしたのか、自身の席に戻ってから小さくガッツポーズをしたのが見えた。そして私は少し、緊張の糸を緩めた。
(……やっぱり私でいいのかな?)
石橋君が何故私に告白したのか、とても不思議に感じた。
あけましておめでとうございます!