「アンチテンプレ」の書き方、つまり「アンチテンプレテンプレ」
Twitterを眺めていると、アンチテンプレについて話題にしていた。
その話題に参加はしなかったが、「アンチテンプレ」の書き方、つまり「アンチテンプレテンプレ」というのは考察すると面白いのではないか? と思い纏める事にした。
まず、私は「アンチテンプレ」という言葉が良くないのでは無いか? と考えた。
アンチテンプレだと、何か「テンプレに逆らう」みたいな印象が拭えない(人に依るとは思うが)。
なのでこのエッセイではアンチテンプレの一つとなりえる「テンプレパロディ」の書き方を説明する。
私の作品で、この「テンプレパロディ」に当てはまる作品は「俺は何度でもお前を追放する」になる。
この作品は、いわゆる「追放ざまあ」の「パロディ」に当たる。
私にとってのパロディとは「if」、つまり「もしもテンプレに登場する人物が○○だったら?」が発想の元となる。
「俺は何度でもお前を追放する」で言えば、「もしも追放する側が、重要人物を追放する事で、その後没落してしまうことを知っていたら?」という事から話作りは始まっているわけだ。
これ自体は、別に突飛な発想では無いだろう。
誰でも思いつくレベルの発想だと思う。
そんな「発想の種」を普段からストックしていき、膨らみそうな物を膨らませれば良いだけだ。
これはなろうに限らず、世の中にある「テンプレ」を、別視点、つまり「主人公以外にスポットライトを当てる」ということを意識すれば簡単になる。
それは例えば「水戸黄門」でも良い。
そこで仮に「もしも格さんが、印籠を紛失してしまったら?」と考える。
印籠を無くしてしまった格さん。
事件が進んでいくと、印籠御披露目タイムが近づくので、見つかるまでは捜査の手を抜く。
なのに普段はあまり役に立たないうっかり八兵衛が、普段には無い冴えを見せて
「お前、こんな時だけ!」
とイライラする。
そして大乱闘は始まり、いよいよ印籠を出すタイミングが近いてくる。
どうしよう、と、格さんの焦りはどんどん募る。
もう御隠居に土下座して、切腹するしかない! と覚悟を決めた瞬間。
「この紋所が目に入らぬかー!」
と叫ぶ助さん。
格さんの頭に???が飛ぶ中
「いやー、一回俺も出してみたかったんだよ!」
と悪びれもせず助さんが言い、二人の乱闘が始まる⋯⋯。
これは誰もが知る「テンプレ」に、「格さんが印籠を無くしたら?」というifを付け加えただけの、簡単な代物だ。
婚約破棄テンプレでも応用できる。
例えば「妹に婚約者を取られる」という良くあるテンプレ。
これも仮に「姉から婚約者を取る妹」に視点を移す。
そして妹は普段から、例えば姉の人形なども欲しがり、その癖すぐに飽きて捨てる、とする。
だが実は妹は姉が大好きで、姉を不幸にする存在に気が付く能力がある、とする。
例えば食べ物なら生死をさ迷う程のアレルギー、人形は呪いの人形、そして婚約者は稀に見るクズ。
そして後に、姉は妹にずっと守られていた事を知り、二人はお互いの大事さに気が付く、といった流れにするのも良いだろう。
と、実際に書いた作品と、一般的に良く知られるテンプレ、なろう独自のテンプレ、それぞれを例に上げてみたが、結局は「テンプレの登場人物が、もしも○○だったら?」で、少し慣れれば簡単に物語は作れるようになるだろう。
というわけで、あなたも「アンチテンプレ」改め「テンプレパロディ」を書いてみませんか?
では、また何かあれば。




