表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/38

文章力要る、要らない問題(解決せず)

 よく、なろうで人気が出るには文章力が要る、要らないなんて議論を目にする。


 私は人気が出る、出ないはともかく「あるに越したことはない」派です。

 そりゃあ、無いよりあったほうが良いよね。


 では小説を書く上での文章力とは何だろうか。


 これは私の個人的な考えでしかないが、「ゲームにおけるグラフィックス」あたりに該当すると思っている。


 素晴らしいグラフィックスは、それだけで人を感嘆させる力がある。

 

 でも。


 それだけで「面白いゲーム」と言えるかどうかだ。


 ロマンシング・サガというゲームがある。

 国産RPGにおいて伝説的なゲームだから、説明なんて不要かもしれないが。


 プレイしたのはもうかなり前だが、私はその中で、今でも心に残る演出が二つほどある。


 ひとつは、ロマンシング・サガの初作。


 ラストバトルを迎えたプレイヤーが、敵のボスへとゆっくり歩み寄る。


 そして、姿を見せたボスとともに流れる専用BGMの格好良さ。


 思い出すだけでも、当時の興奮が蘇る気持ちだ。


 これはゲームならでは、という表現だと思う。



 もう一つが、同作の二番目、ロマンシング・サガ2だ。


 詳しくは書かないがこの2は、どんどん主人公が代わるというゲームのシステム上、主人公の影が薄い。


 そんな中、私が今でも心に残る演出は、初代主人公にちなんだものだ。


 初代の主人公、皇帝の次男ジェラールは心優しい青年ゆえ、周囲に少し頼りなく映っている。


 兄からも「ジェラールは戦いに向いていない」と評される。

 そんな評価をジェラール自身も受け入れながらも、皇帝の次男として、皇帝とともに戦いに赴く。


 皇帝と共に戦い、戦果を上げ戻ったジェラールだったが、そこで留守中に別の勢力との戦闘があり、城を守っていた兄が戦死する場面に出くわす。


 皇帝は復讐を誓うが、それを果たすにはある条件があった。


 それは皇帝自身の命に代えて相手の技を見切り、ジェラールへと受け継がせること。


 皇帝はそれを見事に果たし、ジェラールへと技と意志を託す。


 皇帝から意志を託されたジェラールは、父と兄の仇討ちの為に出陣する。


「ジェラール様にはついていけないよ」


 などという者がいる中、ジェラールの出陣を城内に伝えるために、伝令の兵士が叫ぶ。


「ジェラール様の⋯⋯」


 そこまで言った兵士は己の過ちに気づき、自分の言葉を訂正しながら叫ぶ。


「皇帝陛下の御出陣ー!」



 見事としか言えない。


 その兵士の言い直しだけで、普段は優しさが目立ち、周囲に少し甘く見られていたジェラールが、兄と父の死を乗り越え、皇帝として相応しい威厳と意志を周囲に発しているというのが、ありありと伝わる。


 当時は最先端とはいえ、今見れば懐かしいとしか言えないグラフィックス。

 表情なんてわからないし、グラフィックスよる細かい心理描写なんて皆無だ。

 そして、くどくどとした説明もない。


 それが、この兵士のちょっとした言い直しだけで、何年も私の心に残る場面を演出してるのだ。


 面白さとは人によるとは思うが、つまりそういうことなのだろうと思う。


 誰かの心に残せる場面を描くのは、文章力でも、シンプルな演出でも良い。


 などと思った次第です。


 では、またなにかあれば。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ