エピローグ
ちょっと早めですが、今回で完結です。
次回作は、近いうちに!
「てなわけできたぞー!! この愚弟がぁ!!!」
「何なんだよいきなり。ノックぐらいしろよな、馬鹿姉」
光の門を潜り、更にはアファロアと書かれたドアを無理やり鍵を開錠して部屋の中へと入っていく。そこには、黒い髪の毛を持った若き少年の姿があった。机や椅子など、どこにでもありそうな平凡な自室のような場所に。
赤いマントを羽織っており、血のような赤い瞳で俺達を睨んでいる。
「あ、あの方がアファロア様ですか?」
「そういえばくるねえは会ったこと無かったんだね」
「う、うん。って、くるねえ!?」
「なに驚いてるんだい? 僕は、くるねえの後輩。弟分だよ?」
おー、くるねえか。なんだかいい響きだな。俺も時々そう呼んでみるかな。クルルベルの驚いた顔が目に浮かぶぜ。
だが、今は目の前の創造神達だ。もうぷんぷんなママは、いったい何をしに来たんだよ今だに睨んでいるアファロアへと近づいていく。
「なんだよじゃない。今月の勝負、私が勝ったでしょ? なんでこっちに攻めてくるの!?」
「はあ? なに言ってんだよ。今月の勝負は、引き分けだっただろう」
「引き分け? どういうことなんだ?」
「どうもこうもないっての」
頭を掻きながら、立ち上がるアファロアはめんどくさそうに説明し始める。
「今月の勝負は、旗取り。どちらかが先に旗を取ったほうが勝ちってやつだったんだけど。同時に旗を掴んだことで引き分けになったんだ。引き分けなんて、今までになかったからどうしたものかと考えた結果……侵略とまではいかないがちょっかいぐらいはいいってことになったんだよ」
「なるほどなるほど。って言ってるけど、どうなんだ? ママ」
ちなみに、いつもは俺が勝負を見守っているのだが、今回に限ってはあの馬鹿と一緒に居たから勝負を見守ることができなかった。
なので、ママが気持ちいい感じに勝ってきたぁ! と言ってきた時は一安心したんだけど。
「そんな約束してない!!」
「嘘つけ!! 絶対言ったっての!!」
「言ってないもん!! そんなのアファロアが都合のいいように記憶改善しただけでしょ!!」
「そういうなら馬鹿姉だってそうなるだろうが!! 都合のいいことだけ覚えてて、他は忘れてるんだろ!!」
「そんなことない!!」
「あるっての!!」
「ない! ない!! ないぃっ!!!」
「あぁっ! たくっ!! 少しは成長しろよ!! 母親になったんだろ、お前!?」
と、俺のことを見るアファロア。
「母親としてはちゃんとやってるもん!! ほら!!」
などと言って、俺の腕の中に収まってくるので、俺は頭を撫でる。
「ほらじゃねぇ!! どう見ても、キリバのほうが親じゃんか!?」
「ふっふっふ。母親だからって、頭を撫でられないってことはないんだよ?」
「そのドヤ顔うぜぇ……!」
「第一! アファロアは」
「そういう馬鹿姉だって!!」
結局俺達を無視して言い争いが始まってしまった。こうなるとかなり長い。俺達は、言い争いが終わるまで待っていることにした。
アファロアが食べようとしていた菓子を食べながら。
「あ、あの止めなくていいんですか? それに、これはアファロア様の」
「遠慮するなって。それに、ああなったら中々止まらないんだ。下手に介入するよりも、疲れるまで待つのが一番なんだ」
「兄貴は随分と慣れてるみたいだね」
「まあな」
これで、何度もママとアファロアの勝負を見てきたんだ。かなりの確立で言い争いになることも多々あるので、もう慣れてしまった。
これが、創造神達の日常。
喧嘩別れをした今でも付き合いはあり、こうして喧嘩をしている。ママも、アファロアもなんだかんだ言って寂しいんだろうなぁと俺は思っている。
「今日も平和平和」
「平和、なんでしょうか?」
「平和なんじゃないかな?」
うん、平和が一番。争いごとなんてないほうが一番なんだ。ママ達の言い争いが終わったら、平和のため冒険者として、また頑張らないとな。




