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追憶のリアム  作者: うさみかずと
連邦からの亡命者
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それぞれの正義4

首謀者のゲルマン大尉が戦死した情報は瞬く間に戦場と化してセントラル中央政府本部に知れ渡った。それはすなわちバレンタイン大佐とグントラム総統閣下の援軍による残党狩りが始まったことを意味する。

 ゲルマンの亡骸を囲むように座り込んだリアムとアイザックの耳にもせん滅作戦の実行と残兵の断末魔の響きがうっすらとしかし、確かに聞こえてきた。


「リアム、オレは分からないんだ」


「何がだ?」


「もう連邦との戦争は終ったんじゃないのか、なのになんで今度は同じ国で生まれ育った奴らと殺し合いをしなければならないんだ? なぁ正義って何なんだ? 俺たちは何と戦ってるんだ?」


「同じ正義でも道理が一つじゃないから大尉は死んだんだ」


 つぶやきリアムは立ち上がった。ハンドガンに残りの銃弾をつめる。


「どこに行く! リアム!」

 

 アイザックの言葉を背中に受けて、振り返る。


「オレはオレの正義を実行する」


「リアム!」


 アイザックは遠ざかる戦友の背中を眺め続けるしかなかった。その冷え切った目つきは、雷撃隊で恋人のカトレアを失って修羅に落ちたいつかの目つきによく似ていた。


 優秀な指揮官を失った軍ほど脆いものはない。経験の浅い兵士のほとんどは右往左往しながら乱雑に引き金を引くだけで、挟み撃ちにされたあげくなすすべもなく倒れていく。せん滅作戦が完了したのはゲルマン大尉死後三時間ほどたったころだった。捕らえられたごくわずかな将校たちは軍法会議にかけられて、よほどのことがない限り反逆者として銃殺刑は免れない。


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