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追憶のリアム  作者: うさみかずと
連邦からの亡命者
22/25

それぞれの正義2

 弾丸はゲルマンの右に大きくそれた。リアムの腕は震えていた。ゲルマンはにやりと笑うとリアムを思いっきり蹴飛ばして、リアムは後ろに倒れた。そして右手に掴んだリボルバーごと踏みつけると、狂気に満ちた軍人は、不気味なほど静かに殺すべき相手を見た。訓練のように淀みのない動きで短刀を抜き左手を添えて振り落とす。

 リアムの左手が右手袖に入って、そこにあるナイフを掴んだ。

「ほう」

 すんでのところでリアムは、短刀を払いのけ立ち上がった。息が荒れる。一気に汗が噴き出して体温が急激に上がるのを感じた。

「ようやく私を殺す覚悟が出来たか」

 リアムはじっとゲルマンを観察していた。上体を少しかがめ膝にあった余計な力を抜いた。

「覚悟?」

 リアムはつぶやく。

「そうだ。中尉、お前にはまだ守るべきものがいる。しかし私にはもういない。何もかも失った・・・だから私は躊躇なんかしない。お前に私を殺すことが出来るか?」

 ゲルマンは短刀を振り上げリアムに襲い掛かる。リアムは、ナイフで相手の軌道を少しずらして致命傷を避けながら反撃の糸口を探していた。

 ガキィィィィィ。

 振り下ろされた短刀をナイフ一本、両手で支え頭の上で受けとめた。上からの力が加わりナイフが震える。

「中尉。お前もバカだな。こんな国もどうなってもいいだろ。かつてはお前も憎んでいたじゃないか。恋人をなくし、全てを失ったじゃないか。お前もこっち側だろ?」

 リアムは、下半身に力をためた。そして叫びながら押し返す。懐が、がら空きになったゲルマンの腹部に蹴りを入れ、ゲルマンは後退した。

「大尉。確かに俺はあんたの言う通りバカだ。でもな・・・もう失うものはないと誇らしげに語るバカには絶対になりたくない」

 リアムは再びリボルバーを構えた。今度はしっかり狙って引き金を引いた。

「うっ!」

 リアムの放った弾丸はゲルマンの右肩に命中した。

「この・・・」

 ゲルマンは、短刀を手放した。その瞬間リアムは一気に距離を詰めリボルバーのグリップでゲルマンの脳天をぶっ叩こうとする。しかしゲルマンはひるむことなくリアムの肘の関節を蹴飛ばすと、手から離れたリボルバーがどこかに飛んで行ってしまった。

「最後に言い残すところは?」

 予備に携帯していたハンドガンを左手に持ちリアムに向ける。さっきの攻撃で肘がマヒしてしまったリアムはなすすべがないが、笑みをこぼして言った。

「俺は、守るべきもののためにすべてを捨てられるそんなバカでありたい。だから俺は・・・俺たちは負けない」

「俺たち?」

 ゲルマンがそう言った瞬間に銃声が響いて、左手にあったハンドガンに命中し吹っ飛んだ。

「遅い。遅刻だぞアイザック」

 部屋の入り口に立つ。右頬を真っ赤な紅葉に染めたアイザックにリアムは言った。

「ごめん。ごめん。冥土の旅にでたつもりが忘れ物をしたようで・・・戻ってきたよ。リアム」




就活と部活で更新遅れます。短めですいません。

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