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ラリカ=ヴェニシエスは猫?とゆく。  作者: 弓弦
第一章「ラリカ=ヴェニシエスは猫と出会った」
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第九話「アンコウさん家の白ミルマル」

 

 翌日、私が目を覚ました時、ベッドに彼女の姿はなかった。


 『まさか』と最悪の事態を想像して――居ても立っても居られずラリカ嬢の部屋を飛び出す。


「――おや、起きたのですね」


 ……するとそこには、普通にいつもと同じ様子で、食事の準備をしているラリカ嬢がいた。

 慌てて飛び出してきた私に、赤い宝玉のような瞳を見開きながら、優しく微笑みかける。


「にゃぁ! にゃっ! ふなーお!!」


 そんな、こちらの気持ちなど想像すらしていない様子の彼女に向かって、安堵しながらも抗議の声をあげた。


「うわ! どうしたのですか? そ、そんなにお腹が減りましたか?」


 ……伝わらない


 ……私の剣幕に戸惑いながら、見当違いの返答をするラリカ嬢に、理不尽とは自覚しつつも僅かに怒りを覚える。


 ――第一、ミルマルだからって食べる事ばかり考えてると思うな。

 ミルマルだって考えているのだ――ッ!


「ふなおっ!」


「……もしかして私がいないから心配してくれたのですか?」


「にゃ!」


「ああ、もうっ! お前ってばいい子ですねぇー!」


 ラリカ嬢はまるで小さな子供が風邪をひいた親を心配した時のような顔をすると、そういってがばっと私に抱きついてきてぐりぐり頬擦りしはじめた。


 正直に言えば、柔らかいラリカ嬢の頬はともかく。力強く抱きしめられれば、今の小さい体躯(たいく)のことだ。窒息してもおかしくない。だが……優しく力加減されたそれはただただ心地よかった。


「そんなお前はちょっと豪華な御飯にしてあげましょう!」


 そういってラリカ嬢は立ち上がると台所の辺りをごそごそとまさぐり、何かを取り出した。振り返ったラリカ嬢の手元を見ると……何か魚のようなものを持っている。


「これは、『ボウズ』という魚で、海でとれるのですが、塩漬けになっていて、ノルンにもあっておいしいんですよ。一匹あげますから。心して食べるのですよ。どうせ、今日は二人きりで朝ごはんなのです。おいしく楽しく食べましょう!」


 ――そういって、極めて上機嫌に軽く身を弾ませながら、彼女は食事の準備に戻った。

 ……どうやら、今日のご飯は、ペット的には豪勢な食事になるらしい。


 まるで昨晩のことなど、なかったかのように振る舞っている。


 『どうせミルマル相手なのだから、もう少し甘えればよいもの』をとも思うが、残り少ない人生として、前向きに彼女は生きているのかもしれない。


 そう思い、納得しようとした。


 ――そう、納得しようと思うのだが。

 それゆえに昨晩の彼女の泣き顔が忘れられないのだ。


 『死にたくない』


 確かに昨晩彼女はそういった。そこには、じわじわと近付いて行く、どうしようもない死への恐怖が感じられて仕方がない。


 ――ああ、その気持ちは……よく分かる。

 それはそうだ。私とて一度死んでからまだ一週間ほどしか経っていない。


 私は死んだとき、雪華の手がかりを前にしてこの世を去らねばならないことに歯痒はがゆさを感じながら死んでいった。


 今までの人生。『死にかけたこと』は数え切れないほどある。だが、あの時の一種の興奮状態を超えて、自分が『死んでしまった』という事実を冷静に思い返してしまうと、地の底にいた巨大な穴に飛び込んだ時のような恐怖が、後から後から襲ってくる。


 ……それは。ともすれば世界に独り、所在をなくし、行き場をなくしてしまったような気持ちだ。


 ――目の前の小さな女の子には、そんな気持ちになってほしくはない。

 そのために、きっと何かできることがあるはずだ。


 あと『二週間』……わずか『二週間』だ。


 だが、何としてでもラリカ嬢を助ける方法を見つけてみせる。

 それこそ、きっと最大の恩返しになるはずだ……!


***


 ――だが、ラリカ嬢を助けるためには、何が原因かを突き止めなくてはならない。


 そもそもの原因が『魔法』という今まで生きてきて、まったく馴染みのない存在である。

 その時点で、苦労することは目に見えていた。


 しかし、幸いにして、私には『神様』を名乗るやから雪華ゆきはなから受け取った、魔力の流れを見る目と、術式に関する莫大な知識がある。それらを活用すれば、なにがしかの解決策が見つかるかもしれない。

 

 ラリカ嬢は昨晩、『魔力が蓄積されすぎて、容量を超えて死に至る』と言っていた。


 確かに、ラリカ嬢の体内にある魔力量を見てみれば、道行く人々とは比べられないような量が蓄積されていることがわかる。そして、昨日の話によれば、『魔法を使えば』その問題は解決するだろうと言っていた。


 ――ということはだ。物事を整理して考えてみよう。


 まず第一に解決しなくてはならない問題とは、『ラリカ嬢の体内に蓄積された魔力』という直接の死因ではなく、『どうすれば魔法を使えるようになるのか』ということだろう。


 ならばそれこそ、いま自分の持っている無駄知識が役立つところだ。きっと、ラリカ嬢の魔法をじっくり観察して、話し合っていけばなにか糸口が見つかるはず……だ。


「……あっ」


 そこまで考えて、一つの重大な問題に気が付いた。


 ――さて。意思疎通(そつう)はどうしたものか……?


 さすがに、魔力の使い方について話し合うのに「ふにゃふにゃにゃあにゃあ」言って伝えるのは些か無理がある。となれば、いよいよ持って、ラリカ嬢と話し合いを行う必要があるかもしれない。


 ……だが、どうしたものか。

 ……実は、翻訳魔法や、意思伝達の魔法を使えば、言語自体はどうとでもなるだろうことはすでに分かっている。


 『ならば、話しかければ良いではないか?』そう、言ってしまえばそれだけの話だ。


 そう……それはたしかにそうだ。そうなのだ。

 この姿になった当初であれば、私もその通りだとすぐさま実行に移しただろう。


 ただ……数日間とはいえ。毎日同じ毛布で眠っていたり、ふにふにされたりもふもふされたりのなんやかんやの事実が、声を発するのを躊躇ためらわせるのだ。


 いくら今は『ミルマル』なる奇怪な生物の体を持っていようとも。つい先日まで人として――さらに言えば成人男子であったという自負がある。そんな私が、果たして幼気な少女と共に、寝所を共にしていたと口にして良いものなのか……?


 ……脳裏に浮かぶかつての友が、それは無いだろうという侮蔑の表情を向けていた。


 言い訳させてもらえるのなら、最初は本当に歩くことさえ覚束(おぼつか)なかったし、それについては、心の広いラリカ嬢のことだ、許してくれるのではないかとも思う。


 ただ、『そのあと』については、『なんで、言葉を発しなかったの?』と聞かれた日には、『言い訳しようもございません』としか返せなかろう。


 でも、一つだけ言いたい。

 ――だって、あったかいし仕方ないじゃないと。


 ……いや、それとて決して邪な気持ち故の話ではない。ただ……彼女の持つ温かさが少し懐かしくなったのだ。『異世界』などという寄る辺無き場所で、かつての世界を思い出すような暖かさに、ついつい甘えてしまったというのが正直な所だ。

 

 『命がかかっているのに何を悠長な』という話なのかも知れない。

 だが、いやいやいやいや。待ってほしい。


 これはある意味重大な案件だ。ここで一つ話の運び方を間違えれば、アドバイスをするどころか、今後一切話を聞いてもらえない可能性さえ出てくる。


 嫌われることなく、自分が人語じんごかいすることを理解してもらわなくてはならないのだ。


 けっして、けっして『一緒に毛布で眠りたいから、なにも知らないミルマルを演じていた、成人男性の卑劣漢ひれつかん』ではないと理解してもらわねばならないのだ。


 ああ、しかしそうなってくると、第一声というのは、非常に大切だろう。


 ……そうだ。いかにも、一昔前の魔法使いが出てくる漫画のマスコットキャラのごとく、かわいらしいキャラとして話してみてはどうだろうか。


 それとも、いっそいかにも、『今話せるようになったばかり』だという演技で話しかけるべきだろうか?

 

 そう、丁度かすれた声から初めて……


「ぁ、r、らぁりk、あ……」などと……


 ――『ガシャン!』と、すぐ真後ろで何かが落ちる音と、何かが落ちた衝撃に床板を通して伝わってきた。


 慌てて、音のした方を振り向くと、そこには私からぶらりと長く伸びる尻尾の横、数センチの距離に、人一人刺し殺せそうなナイフが床に突き立っていた。


 ――っ、怖っ!


 ぎらりとした輝きを放つ鋭利な刃先がすでにして私の方を向いているあたり……なんとも言えず恐怖を誘われる。慌てて、刃先まで後数センチろいう尻尾をナイフから遠ざけた。


 危なげなナイフから体を遠ざけてから――そんなところにナイフが刺さっている原因に気がついた。

 ……まさかと思いながらも、確信に近い感覚を覚えながらおそるおそる視線を上げていく。


 じぃぃぃっと穴があくほどこちらを見つめる視線がそこにあった。

 光の反射を受けて、色素の薄い瞳が赤っぽく輝いている。


 ――ああ、猫でも、冷汗ひやあせは出るんだな。と初めて知った。

 誤魔化すように、先端だけ尻尾を動かしてみる。


 ふりふりふりふり


 ふりふりふり……


「くろみゃー、お前今、しゃべりましたね?」


 ああ。駄目だ。これは疑問形だが……確実に確信してる。


「み、みゃぁ……」


 駄目だということは承知の上で、とりあえず、誤魔化すように鳴いてみる。まったくもって、情けないことこの上ない。


「誤魔化しては駄目ですよ。さっき、私の名前、呼びましたね?」


 ――案の定、ごまかす事はできなかった。


 これは、観念して話しかけるしかないらしい。

 この後どうするべきなのかと考えながら、口を開いた。


「ら、ラリカ……」


 ――言葉を発した瞬間、ある種の爆発(、、)が起こった。


「~~ッ! くろみゃー!! お前、話せるようになったのですか!? おー! おおーッ! すごいですッ! やりましたねッ! お前は天才ですっ! ……いえ、確かに、人と暮らしている、知能の高い生物の中には人の話をかいするようになるものがいるとは聞いたことがありますが……っ! まさか数日で話せるようになるなんて思いもしませんでしたよ!? 私がずっと話しかけてたからでしょうか……? いえ、それにしても早すぎですね……そうです。時々お前は私の言う事が分かっているのではないかと思っていましたが、やはりお前は頭の良い子ですっ! しかも、初めての言葉が『ラリカ』ですよっ! 『ラリカ』もう、なんですか! お前。かわいすぎますよ。くろみゃー……そんなにお前はご主人様の事が好きなのですね! 私も大好きですよ~~ッ!!」


 なにやらテンションが最高潮に達してしまったらしいラリカ嬢に。ぎゅうぎゅうと締め付けられるように抱きしめられる。先程抱きしめられたときに比べ、力を抑えるのを忘れているのか、遠慮なく締め付けられていく。


 ――く、苦しい……潰れる……


「ああ! そうだっ! 一度言葉の壁を超えた生き物は、すらすらと話せるようになるといいます。ひょっとして、お前ももう普通に話せるのですか?」


 ――まさか、こんなところで第二の今生も終わりを迎えてしまうのかと覚悟を決めたとき――ふっと拘束がゆるんで楽になった。


 自由になった頭を左右に振って落ち着かせると、視線を上に向ける。すると、それに合わせるようにラリカ嬢が私の顔を覗き込んで視線をあわせてきた。


 ――私との会話を御所望ごしょもうらしい。どうやら、今は動転して意識していないだけかもしれないが、私が話す事自体は全く問題なさそうだ。


 ――なるほど。であるなら、出来ればこの辺りで会話の主導権を握っておきたい。


 ……できれば、ラリカ嬢を元気付けられるよう、多少なりとも説得力の話し方を心がけたほうが良いだろう。ならば、ここからは……『この話し方』だな。


 ……『昔の自分』と、高校で出会った『悪友』の事を思い出す。


 それは尊大で……自信過剰。高慢。そんなちょっと面倒くさい話し方だ。


 だが、同時にそれは確かに、困難を私と共に乗り越えてくれた話し方で……彼女がこの話し方に嫌悪感を抱かずいてくれることを切に願う。


「……ふむ。『ラリカ(、、、)』。御明察だ。私はどうやら人の言葉を話す事が出来るようになったようだ。しか――」


「かぁわぃぃいいいい!! なんですか!? そんな可愛い見た目をしながらしゃべり方はそんな話し方なんですね! 」


 ……威厳も、なにも。あったものではなかった。『嫌われる』『嫌われない』という次元ですらない。……ただただ、地獄の拘束が再開される。


「まっ、待てっ!……そのっ、少し待てと言って――」


 ぐりぐり


「くっ、け、毛並みが乱れる。それに第一、息が、息ができない。やめっ」


 ぐりぐりぐりぐり


 胸元に押しつけられて、ぼんやりと意識レベルが低下していく。その気のある者ならば、ラリカの体温や柔らかさを感じて至福しふくの時間になるのかもしれないが……如何せんいまの私には命の危険しか感じない。


「――ああっ! すみませんっ! くろみゃー! しっかりするのです!」

 

 私が、ぴくりとも動かなくなった事で、異常を感じ取ってくれるまで、ラリカの情熱的なアプローチは続いたのだった。



***



「――ついつい興奮してしまいました」


「……ああ。分かってくれたのならいい……」


 対面で椅子を向かい合わせ、私とラリカは向かい合っていた。


 ラリカは椅子に座り、両手を軽く握って膝の上に揃えて置いてこちらに軽く身を乗り出している。


 私は、努めて平静を保ちながら、背筋をピンと伸ばして品よく椅子の上に腰かけた。気分はいかにも『わたくしお嬢様でしてよ』という、血統書付きの猫の気分で演じている。


「本当に……普通に話せるのですね。なんだか、くろみゃーとこうやって話していると変な感じです」


「その……今さらだが、私が話している事自体には驚かないのか?」


「いいえ。もちろん驚いてますよ? ……ですが、それ以上に嬉しいです。お前の事は拾ったときからさといミルマルだと思っていましたから。いつか伝説の『アンコウさん家の白ミルマル』よろしく話し出すんじゃないかと期待してましたが、まさか私が生きている間に話せるようになるとは思ってもみませんでしたから」


 先程の自分の態度を思い出したのか、照れたように頬をかきながらラリカは答える。その姿はただただ愛らしいのだが、先程殺されかけた事を思うと素直に笑えない。


 ――いや、それ以前に『アンコウさん家の白ミルマル』とはなんなのか。


「拾ってもらった事には、本当に感謝のしようもない」


「……具合は大丈夫なのですか? 私も、ミルマルを診察するのは初めてだったので、本当に大丈夫なのか分からず、ずっと不安だったのですが」


御蔭様おかげさまでというところだ。見ての通りぴんぴんしている」


 そういって、目の前で左右に体を振って見せると、ラリカがほっとした様子で微笑んだ。


「そうですか。元気になってよかった。でも、どうしてあんなところで倒れていたのですか?」


「それが、正直言って分からんのだ。気がつくとあそこに倒れていたからな」


「そうなのですか。その前は何をしていたか覚えていますか?」


 ……それは、探ろうとする意図など無い、純粋に興味本位の質問なのだろう

 だが、自分の身の上を話せない以上。その質問に私は答える訳には行かなかった。


「――ここがどういうところすら分からないのだよ……」


 ……それは、『なるべく嘘をつかない』ようにした、単なる誤魔化しだった。


 だが、その言葉を聞いたラリカの表情が、さっと心配そうに曇るのを見て、罪悪感に胸が刺激される。


「記憶喪失という奴でしょうか?」


「どこかで記憶が飛んでいる可能性は否定できないな」


 重ねて誤魔化しを口にすると、ラリカは自分の口元に手を当てながら何事かを考え込むように中空を見上げ――それから華が咲くような笑みを私へと向けた。


「そうですか……まあ、ミルマルですし、人とは違う所も多いでしょうしね。なんにせよ、くろみゃーと話せるようになって嬉しいです」


「――私も、ラリカと話せるようになって嬉しいぞ」


 ――こればかりは、紛れもない本心だった。


 『ミルマル』と『人』それぞれが同じような事を言うのが愉快に思われ、思わず笑いをこぼすと、それに釣られたようにふふっとラリカが上品な笑い声を上げる。


 どうやら、どうやってコミュニケーションをとっていくのかという最大の難問は無事に解決したようだ。


 これで私は、『人の言葉を話せるちょっと頭の良いミルマル』……そういうことになった。


 記憶についても……嘘は言っていない。およそ理想的な状況と言っていい。

 人の言葉を話すミルマルに先例があったというのはもっけの幸いだった。


 結果オーライという奴だろう。完璧だ。


 そう。だから……あとは。

 ラリカの魔法の問題について一緒に解決を目指すだけだ――っ!



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◆◇◆ ラリカ=ヴェニシエスは猫?とゆく。 ◆◇◆

「ラリカ=ヴェニシエスは猫?とゆく。」
◆◇◆                   ◆◇◆

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*******↓ 『もうひとつ』の物語 ↓******

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