秋月透と蓮見楓の関係
新キャラ登場
前回のあらすじ
俺の初恋の相手が蓮見だったという事実が判明
◇
人の痛みを知れと大人はよく言うけど、人の痛みは知らない方がいい、何で好き好んで自分意外の痛みを知らなきゃならないんだと俺は思う。
人の痛みを知ったってただ苦しくなるだけだ、
俺は知っている、人の痛みを知れ何て言葉は体の良い綺麗事だってことを
この世はそんな綺麗事ばかりに埋め尽くされていることを
誰も人の痛みを知ろうとしないことを
だから俺は思う
人の痛みを知れと言うことはもっと傷つけと言っていると同じことだと俺はそんなことを言う人たちにこう言いたい。
人の痛みを知る前に人の優しさを知りたい
◇
あれから、俺と蓮見の関係は変わったかと聞かれれば、変わってないと答えるしかないだろう、
あれ以来、俺と蓮見は特に会話することなく過ごしている、お互いの世界に干渉しないよう入りすぎないように
蓮見がはーちゃんだったのは驚きだが、それを知って今さら仲良くするってのもおかしい話だしする気もない、それは向こうも同じみたいで、こちらに興味がないようで、休み時間はいつも難しそうな本を読んでいる。
俺も基本休み時間はウォークマンを聞き周りの音を遮断している。
やはりSEK○OWA最高
ボーカルの声に癒される
して、コノハはと言うと最近勉強にはまっているのか、俺の教科書を面白そうに眺めている。
そして、時々俺に質問をしてくるのだ。まっそれで授業中も横で静かにしてくれるのでこっちとしては有難い限りだ。
「ねーねいーちゃん、この問題ってどうやるの?」
と俺の机に開いてある数学のワークの問題を指で指し俺に聞いてくる。
コノハはあの話を聞いてから俺のことをいーちゃんと呼ぶようになった。
「……そこはXを二乗して掛けるんだよ」
俺は小さい声で呟く
しかし横の蓮見には聞こえてたみたいだ。
こちらを蓮見のきれいな瞳が覗く
どういう罵倒が来るかと身構えたが蓮見が発した言葉は
「あなた最近独り言多いけど大丈夫?」
と言う俺を心配する言葉だった。
あの蓮見が心配するって俺どれだけ変だったの?
しかもとても優しい声色で言われるから余計悲しくなるからやめて
全てコノハのせいなんだけどな
「ん、あー大丈夫、ちょっとこの問題を考えててな」
とさっきコノハが指差した問題を指差し言う
「へー貴方も休み時間に勉強なんてするのね」
と対して興味無さそうに言う
「まっ、まーな」
「それより、明日忘れないでね」
「ん、分かってるよ」
それきり蓮見はまた本を読み始めた。
◇
次の日
俺は合同雪中運動会の準備のため俺の高校のグラウンドにいた。
雪が積もっていて辺り一面真っ白
遠くをずっと眺めていると距離感が分からなくなりそうだ。
雪も、ベタ雪で雪玉を作るのには適している。
小学生達が来るまで後一時間
やることは大体終わった。
しかし大変なのはこれからだ、
今日のスケジュールは主に、
雪合戦
雪だるま作り
鬼ごっこ
運動会とは名前だけのような内容だ。
しかし準備や審判はそれなりに大変みたいだ。
「はぁーめんどくせー」
大きく息を吐くと白い息が出る。
「あら、もう疲れてるの?」
不意に後ろから声をかけられた。
振り返ってみると
白いコートに白いニット帽。
蓮見楓がいた。
「おう、これからなにすればいいんだ?」
「特にもうないわ、後は審判とか雑用かしらね。そう言えばもうすぐ高校生組が来ると思うわ、聞いてみたらほとんど私たちのクラスの人たちだったわよ。」
「ふーん、全く興味ねーよ」
名前とか覚えてねーし
俺はコノハの方をチラッとみた。
コノハは雪でキャッキャはしゃいで遊んでる。一人で遊んでいて楽しいのか?
もちろん姿は俺にしか見えない
しかし、ほんと子供だよなあいつ
たまに神様だと言うことを忘れてしまう。
遠くの方から
賑やかな声が聞こえてきた、どうやら高校生組が到着のようだ、意外と結構な数がいるな
するとその中の一人がこちらに歩いてくる。
「おー蓮見さんじゃないか」
蓮見を呼ぶ声がして、蓮見の方をチラッと見ると蓮見は心底嫌そうな顔をしていた。
そんな顔始めてみた、俺にさえそんな顔しないのに……どんだけ嫌なんだよ
「まさか君もこれに参加してたとはね」
馴れ馴れしく蓮見に話しかけてきたのは、いわゆる爽やかイケメンだ、オーラがすごいな
確か、いっつもクラスを仕切っている奴だな。
名前は知らないが……
「貴方も来たのね秋月君」
蓮見はとても冷たい声で答える
しかし秋月はそんなの気にしてないようで言葉を続ける。
「それで君の横にいるのは、えっと同じクラスの……」
秋月はチラッと困ったように俺を見る。
向こうも俺の名前を覚えていないようだ。当たり前か
しかし
あまりこういうタイプとは関わりたくないし今すぐこの場から離れたいのだが、さすがに
名乗らない訳にはいかないので
「夏川だ」
と俺は俯きながらボソッと答える
「そうか、俺は秋月透だ。改めてよろしく」
と気分を害したわけではなく爽やかに握手を求めてきた。
どんだけイケメンなんだよこいつは
「あーよろしく」
俺は軽く握手をする。
すると秋月はニコッと笑う
爽やかオーラーが眩しすぎる
そんなこと思っていると
遠くの方から秋月の友達っぽい人達が秋月を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい秋月君、先生が今から説明するってー」
「あー今行く、二人も行こ」
「私たちは選手として参加してるわけではないから行かないわ」
「そうなのか?」
と俺の方を見る、なぜ俺を見る?
「……俺達はただの手伝いだよ。」
「そうか、じゃあ後でな」
と秋月は速足で皆のところ走り去っていった。
あいつ、最初から最後まで爽やかだったな、通りでモテるはずだよ
そんなことを考えていると蓮見が
「はぁーあの人は昔から苦手だわあの、爽やかさ何とかならないかしら、ウザいわ」
と大きく息を吐く
さっきの反応見てそうかなーとは思ったが、そこまでとは……
「女子ってああ言う爽やか系が好きなんじゃないのか?」
しかもイケメンだし
すると怪訝な顔をしてこっちをにらんできた。
にらんだだけで人を殺せるような殺気を出してるんだけど、俺殺されるの?
ごめんコノハ俺の人生ここまでだ
と色々諦めてたら蓮見が
とても低いトーンで言った。
「他の女子みたいにこの私があの人に惚れるとでも思ってるのかしら」
冬なのに俺の額に冷や汗が垂れる
「わ、悪かったって、だからそんなに睨まないで」
蓮見はフンと
不機嫌そうに後ろを向きこう言った。
「そんなことよりもう小学生も来るわよ、迎えの準備しなさい」
「はいはい」
◇
雪合戦
高校生側は5人で小学生側は20人と4倍の差でやっている,
まー小学生にはちょうどいいハンデか
それにしても、小学生は男女お互いに10人ずつと別れていて男子は雪合戦、女子は雪だるま作りと別れて遊んでどっちにも高校生が5人ずつついているが、どうみても小学生も高校生も同じくらい楽しんでるよな、精神レベル同じかよお前ら。
「まだまだ子供だよね、あんなはしゃいじゃって」
コノハは
「お前もさっきまではしゃいで遊んでたけどな」
するとコノハは頬を膨れませながら言う
「いーちゃんはなにも仕事してないみたいだけどいいの?」
「俺の仕事はだいたい終わったよ、後は審判とかかな、あるとしたら」
「ふーん、つまんないなー」
コノハはプカプカ浮かびながら俺の周りを回る。鬱陶しい
しかし、急になにかを見つけたようで、俺の後ろで立ち止まり俺の方をトントンと叩いた。
なにかまた面白いものを見つけたのかと俺はコノハの方を向くと
コノハにはいつもの笑顔はなかった。
コノハは雪だるまを作っている女子たちを指を指し
「ねーあの子なんか寂しそうなんだけど…」
とコノハの方が寂しそうに言う
「あの子?」
赤いスキーウェアを来て黒いニット帽を被っている小さな女の子がみんなが雪だるまを楽しそうに作ってるなか、一人ポツンと隅っこで座っていた、そして、周りの子はその子を見て笑いながらヒソヒソ言い合っている
「確かにあれは…」
仲間はずれ、陰口、小学生女子の典型的ないじめ方法だ、女子は暴力を振るわない、言葉や行動で相手を傷つける
「でもあれは俺達じゃどうしようもないだろ、向こうの問題だろ」
「んーそうかな、君なら出来そうな気がするんだけどなー。ねっ」
と意地悪そうに微笑しながら俺に問う
「……俺にどうしろって言うんだよ」
コノハはそうだね、まずは、とウーンと少し考えて手をポンと叩き
「まずはさりげなく接触してみようよ」と言った。
「俺がか?」
「他に誰がいるの?」
確かにこの場にはコミュ障の俺しかいないな
コノハに逆らってもいいこと無さそうだし、あの子のことも知っちゃったからほっとけないし
「わかったよ」
周りでは
男子の叫び声
女子の笑い声
審判の笛の音
色んな音が聞こえる
けどあの子の回りだけ音という音が遮断されているように静かだ。
まるでその子の周りだけが違う空間のように感じられた。
爽やかイケメン、クラスに一人はいると思う。
そして、いじめもクラスに一人はされていると思う