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『いーちゃん』

今回やっと主人公の名前が出てきます

前回のあらすじ


保健室で美少女と会話したり異世界で大変なことが起こってるらしいことを知った。





昔、俺には幼馴染みがいた。


名は覚えていないが、

はーちゃんと俺は読んでいて、相手は俺をいーちゃんと読んで、とても仲良しだった記憶がある。


はーちゃん、いーちゃん


子供らしい安直なあだ名だ、しかしとても気に入っていた。


俺とはーちゃんは結婚の約束もしていた、っても幼稚園のときの話だけど、こういう話は誰だってあるもんだ、今思えばあの頃が一番楽しかったな


俺の思い出の中で珍しく楽しい思い出……


しかし小学校1年の時、俺は遠くに引っ越すことになりはーちゃんとは別れ離れになりそっから音信不通になった。



今頃はーちゃんはなにしてるんだろ、そんなことをたまにふと思い出すことがある。


多分俺のことなんか忘れて

普通に友達を作り普通に勉強をし普通に恋人を作って幸せに暮らしているのだろう。



……それは俺にはなし得なかった幸せの形だ






休日は2日とも

昼に目覚めてコノハに町を冒険しようって言われて付き合わされた、しかもあれ買えこれ買えとくる、独り暮らしにはかなりきつい出費だった、あいつ神様だから食べる必要はないのに、スーパーでパンやらお菓子を買わせるし

休みの日なのに休ませてくれないとか、生きてきた中で最悪の休日だった。


そして、月曜日


今日はコノハは透明になって俺についてくる気満々だ


「いいか、コノハ絶対に話すなよ、そして姿も表すな」


「分かってるって、しつこいなー」


この会話をするのは3回目

その度に

にこにこしながらコノハは言うがどうも信用できない。


しかしついてくるのはしょうがない、俺には止めようがないしな



俺はダルそうに静かに教室に入る


そして自分の席に鞄を乗っけて教科書を出そうとすると

横から透き通って心地よい声が聞こえてきた。


「おはよう」

俺の横の席の人って蓮見だよな?

あれ、ってことは今蓮見が言ったのか?誰に、あいつ友達いないって言ってなかったか?

誰に言ったかと思い周りを見渡すが俺以外に誰もいない


そこから導かれる答えは……え、今もしかして俺に言ったのか?

ってことは今俺は無視した形になる訳だが……

蓮見の方をちらっとみると

蓮見がガン見していて


「お・は・よ・う」

と強い口調でゆっくりと言われた。

表情全体は笑ってはいるが


目が笑ってない


俺はビビって思わず

「おはようございます」


と敬語で挨拶をしてしまった。


もう完全に上司と部下の関係だな俺たちって



「……まさか貴方に無視されるとは思わなかったわ」


「いや、すまん、だってまさか俺に言ったとは思わなかったんだよ」


だって朝の挨拶って仲がいい奴同士がする神聖な儀式だろ?


だから蓮見が俺に挨拶してくるとは思えなかった。


「つか、急にどうしたんだよ、この前まで俺のこと眼中にもないって感じだったのに」


急に態度を変えられても困るんだが……


蓮見が優しいってなんかきもちわるい


「そんなことないわよ、今も貴方なんて眼中になんてない」


あ、いつも通りの蓮見だった



「あ、そうですか、って言うかいい加減貴方じゃなくて名前で読んでほしいんですけど」


「嫌よ」


きっぱりと断られた!!


しかも即答で


そんなことを話していると

教室の扉がガラッと開かれた。


「よーし皆座れ~ホームルーム始めるぞ~」


とダルそうに教室に入ってきたのは俺たちの担任


名前は確か……あっ三海堂静也って名前だった気がする

ってかこの人

常にジャージとサングラスをしているけど教師って服装は自由なの?


しかもなぜか生徒に人気なんだよな


そんなことを考えているといつのまにかHRは終わろうとしていて三海堂先生は最後になにかを思い出したのか付け足して


「おっと、そういえばそこの二人後で職員室までこい」


俺と蓮見を指差し教室を出ていった。


えっなぜ俺たち二人?


俺はなぜ俺たち二人を一緒に呼びつけたかさっぱりわからないが蓮見はなにか納得した顔つきで席を立ち教室を出た。


俺もその後を追う


「おい、何でおまえも呼ばれてるんだ?」

俺だけだったら……まー色々思い当たることはあるんだが……。


「まー私は前から提案されてはいたから、でもまさか貴方も行くとは思わなかったわ」


「提案?そして行く?なんの話だ?」


「貴方こそなんの話しているの?」


話が全くと言っていいほど噛み合っていない。


「失礼します」


「失礼しまーす」



「おう来たか、早速だがこれやってみねーか?蓮見にはOK貰ったんだがおまえはどうだ?」

先生の元に行くと早々にそう言われ一枚のプリントを手渡された。


そのプリントにはこう書いてあった。


「第25回合同雪中運動会?」


「そうだ、これは小学生と高校生が雪を使って遊ぼーって企画なんだ。参加者は揃ったんだが、次はスタッフが少なくなってな、お前やらねーか?」



「嫌ですよ、こんなめんどくさいの」


「簡単な仕事だし金出るぞ?」


「やります」


「よし、これでスタッフの方も大丈夫ッと」



そう言うと、何やら紙に俺の名前と蓮見の名前を書き他にも色々と書き込んでいる。……こういう時先生って大変だなと染々思う


「よし、来週の日曜日な詳しいことはそこの紙を読んでおけ」



教室に戻り自分の席に座る、一時間目まではまだ5分くらい時間がある。

俺はもらったプリントにもう一度目を落とす


それにしても

つい金に目がくらんで引き受けてしまったがこれ超めんどくせー


そして、チラッと横を見る蓮見もプリントを読んでいた

「意外だな、おまえがこういうイベントを引き受けるって」


「こういうのって進学に有利なのよ、塵も積もれば山となるってね」


フフンと得意気に言う姿はどこか親に工作を見せる子供の姿に似ている。


子供っぽいとこあるんだなこいつにも、ほんと純粋だよなこいつは……




「へーそりゃ立派なことで」


俺は適当に返事をしたが


それが癪に障ったのか、イラつきを隠さず

「そうよ、貴方みたいに金に目が眩んだ愚か者とは違うのよ」

と体ごとこっちに向く



「対して変わんないだろ、同じことをやる訳だし、ただモチベーションが俺は金でおまえは内申点それだけの違いだ」


「な、その違いは大きいわよ!」


と目を大きく開き抗議するが


「自分の利益になるためだけに動く、同じだろ?」


「私は違うわ、相手のことも思って行動してるわよ今回も先生がどうしてもというから引き受けただけで」


その言葉に嘘はないだろ


蓮見は先生のことを思い今回のことを承諾したのだろう、それは頭でわかっていても、反論したくなる自分がいる。頭では理解していても体は理解しようとはしてくれない


「お前も同じだよ、そんなのは建前上の理由だ、そんなのは自分を美しく見せるための化粧にすぎない、人間は自分のためしか行動できない」


そこまで言い俺は蓮見の反応を待つ、

恐らく激怒するだろう、俺を罵るだろう。


しかし蓮見は、怒りもしなく罵りもしない。悲しさと絶望が混ざった表情でみつめてくるだけだ



「貴方はいつからそんな風に……」


そうポツリ言い、席を立ち教室を出ていこうとする。


「おい、もうチャイムなるぞ」


「具合悪いから保健室行くっていっておいて」


それだけ言い残し教室を出ていった。


何で俺はあそこまで向きに反論したんだろう、くそっさっきの表情が頭から離れない、


恐らくこのまま授業を受けても頭に入ってこないだろう。


「……コノハいるんだろ」


「いるよ」

姿は見えないが

小さく俺だけに聞こえるような声が耳元で囁く

「お前さっきの俺みてどう思った?」

するとコノハはクスクス笑いながら

「ただの意地悪だよね、君は羨ましいんでしょ、彼女のことが立場は似ているけど自分には持ってないものを持っているそんな彼女が」


「ああ、そうなのかもな」


コノハの言葉にはそうなのかもと納得させられる力強さがある。



「追いかけなよ、彼女は屋上に向かってるよ」


「ああ!」


……追いかけて何を言うのかはなにも考えてはいないし、なにも言えないのかもしれない、けど彼女は俺に言いたいことはあるはずだ、言いたいことがたくさん、俺はそれを全て聞き入れる、そんなものは自己満足と言われるかもしれないけど、黙って聞くだけなら俺にもできる。



屋上へ繋がる階段を駆け上がる、途中先生に見つかんなかったのはコノハのお陰だ、いや、実際先生とは遭遇したんだがコノハが俺の姿を一時的に認識されない魔法を

使ってくれた。



ほんと、神様ってすげーな


階段を駆け上がったせいで乱れた息を整えて、屋上への扉をゆっくりと開ける、


そこには手すりに手をかけ遠くを眺めている蓮見がいた、しかしその瞳には景色など写しておらず、何かを考えている。


俺の存在など気づいていないみたいだ。


風に揺れる黒髪はとてもきれいで屋上で黄昏る美少女と様になっている。


俺はしばらくその姿に見とれていたら蓮見がこちらに気づく


そして、一瞬でさっきの表情は嘘だと言うかのように敵対心丸出しの表情になる


「何の用かしら?」


「あ、いや、さっきはその……悪かった、すまん」


俺は頭を下げれるだけ下げた。


すると蓮見は、小さく溜め息をつき

「別にいいわよ、気にしてないから」


「でも、さっきは…」


さっきあんなに


「違うのよ、ただ残念だったのよ」


そう言って哀れむかのように俺を見つめてくる。


なんだよ、そのかわいそうな奴を見るような目は……


「何が残念なんだよ」


「貴方が変わってしまったことよ」


「なっ……お前昔の俺を知っているのか」


そんなはずない、俺を知る人なんてここら辺にはいないはずだ、だからわざわざ独り暮らしまでして遠くの高校を受けたのに……


「えー昔はそんなにひねくれてはいなくて昔はもっと……輝いていたわ」


蓮見は俺の方に近づいてくる


そして、俺のネクタイを掴み顔を近づけこう言った。


「夏川一色君、いや、いーちゃん」


その言葉に昔の記憶が甦る

それは、幼稚園の記憶、小学校の記憶

俺をいーちゃんと呼ぶのは昔も一人しかいなかった。


「お前、もしかして……」


いや、嘘だ、こいつが、あいつの訳がない、けど他に考えれない、


そこで思考が停止する、そして、思わず思い出したニックネームがこぼれた。

「……はーちゃん」


その言葉に蓮見は嬉しそうに頬をを朱色に染め答える。


「やっと気づいたのね」


その言葉に俺は思考を戻す


そして、俺が覚えている昔のはーちゃんと俺が見てる今の蓮見を比べる


確かに面影はある、その長い黒髪は昔と変わらない。

でも、

「いや、お前変わりすぎだろ」


「あらそう、貴方こそ変わりすぎよ、主に内面が」


それはお互い様だよ、と言おうとしたのをなんとか抑える、それ言ったらまたボロクソ言われそうだし



はぁ-昔はもっと素直だったはずなのになーこいつも


なんかショックだ、俺の初恋の相手が蓮見だったなんて……





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