変動
季節は秋。過ごしやすい季節の中で今日も彼女は素敵だった。
毎日の日々が過ぎていきその日までの記憶が少しずつ枯れ葉のように無くなっていくことの恐しさを感じ始めていた。
10月、体育大会が開催される月。動くことが好きな私には嬉しい季節だが、さすがに着込まないと寒く感じる。
「最近朝冷えてきたなー」
「寒そうやな」
「そういえばさ、もうすぐ体育大会やん?
今年もリレー出る気?」
「もちろん。優勝取りに行くで」
「そら咲の足やったら絶対勝つやん。
で、賞品はどうするん?」
「それは私の勝ってやろ」
もちろん桑野先生に貰ってもらうつもり。まだ彼女のことを愛しく思っているのも事実。だが気持ちが固まらないのも事実。どうすればいいのか分からない状態にいた。
「…さん、立花さん!」
「はい、何ですか?」
「そろそろ教室閉めるけど…」
「すいません、何かボーとしてて」
「無理はしちゃ駄目よ」
「ありがとうございます」
彼女の優しさが心に響く。ズキズキと。心配してくれるとは嬉しいものだ。眼中にないと分かっているから、1人の女として見てくれていないと分かっているから虚しくも辛くもなってしまう。
どうもみきさかです。またお見苦しいものをすいませんがこれからもよろしくお願いします。