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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

狙われた世界

作者: megu
掲載日:2014/02/09

短編ですが、やや長文です。あと、少し理解力が必要になります。苦手な方は全力で逃げてください。

OKならどうぞ~

ある日、殺人事件が発生した。場所は市街地のど真ん中、時刻は午後4時~4時半と推定される。


ここで何故「推定される」という述べ方をしたかというと、その事件を目撃したという者が、ただの一人もいなかったからだ。


しかも事件は、人がごった返す市街地で起きた。そんな中で、目撃者はおろか怪しい物音や被害者の悲鳴を聞いた者さえいなかったのだ。


更に、被害者は刺殺されたようだが、凶器の刃物が発見される事はなく、指紋など、犯人に結び付く証拠が全く上がらなかったのである。


被害者も恨みを持たれるいわれもない善良な市民であり、人間関係から洗う事も出来なかった。


物的証拠も、状況証拠も、全く掴めない今回の事件。

警察もかなりの難事件であると判断した。


しかし翌日、事態は大きく動いた。と言っても、犯人が見つかったのではない。


昨日と同じ時刻に、ほとんど同じ場所で、再び事件は起こった。またしても、証拠は何一つ上がらなかった。


それだけではない。毎日午後4時~4時半に、同じ街で、似たような事件が起こり始めたのだ。


更に、怪我人も現れた。しかし、彼らもまた、いつ傷を負ったのかが分からず、有益な情報は得られなかった。


警察はこの不気味な事件に頭を抱え、市民は恐怖に震え上がっていた。


ここで、少年Aという人物を紹介しておこう。彼はごく普通の中学生だが、こういったミステリーに興味があり、個人的に事件の真相を探っていた。


また、彼には少女Bという頼もしい助手がいる。彼女は少年Aと同級生で、彼を手助けする献身的な少女だ。


彼女は別段ミステリーや謎解きが好きという訳ではないのだが、ちょっとした興味本意で手伝っているようだ。


少年Aとしては、あまり彼女を危険な事に関わらせたくはないのだが、彼女の好意を裏切る訳にはいかず、甘んじて受け入れている。


二人はまず、ネットから情報を洗う事にした。こういう所に、公に発表されていない情報があったりする。


しかし、それを1週間ほど続けたのだが、めぼしい情報は得られなかった。


そこで今日からは、街で聞き込みを始める事にした。

事件現場に足を踏み入れるため、少年Aは彼女を家に残して行きたかったのだが、彼女が一緒に行くと聞かないので、仕方なく連れていく事にした。


まずは街を回り、市民から話を聞く事にした。まあ予想は出来たが、手がかりはない。


警察も情報を手に出来ていないというのに、自分達がそう易々と情報を掴める筈はない。


という事は、警察署に行っても無駄であろう。情報が入手できないばかりか、「子供が捜査に関わるんじゃない」と追い返されてしまうだろう。


言い忘れていたので一つ付け加えるが、事件現場は全てこの街ではあるが、細かい場所はバラバラである。


また、凶器も、ある時は刃物、ある時は鈍器のような物と様々であった。同一犯ではないという事も考えられる。


たまたま、この街の市長と会う機会があった。二人は市長に自分達が何をしているのかを説明した。それを聞いた市長は、「その探究心はいいが、危ない事に首を突っ込むのには関心しないな」と、穏やかな口調で言った。


この人なら何か知っているかもしれないという根拠のない期待を少年Aは持ったが、残念ながらここでも有益な情報は得られなかった。


ただ、市長は、事件の証拠が世に知れていないかという質問をかなり興味深げにしてきた。


少年Aが「知られていない」と言うと、安堵とも、恍惚ともつかない、何とも言えない表情となった。


次に二人は、最初に事件が起きた市街地にやってきた。時刻は間もなく、午後4時。


少年Aは少女Bに、自分から離れないように忠告し、その時間を固唾を飲んで見守る。


時計の針が4時を指す。しかし何も起きない。5分…10分…20分…少年Aは、辺りに目を凝らすが、何も起きない。


このまま何も起きないのではないかとさえ思えた。

そして時計は、4時半の時刻を指し示した。


その時、悲鳴があがり、観衆の事前の先を見ると、男性が血を流して倒れていた。


そんな馬鹿な…ずっと周りに気を配っていたが、何も異常は見られなかった…。と、少年Aは信じられない気持ちでいた。


まるで何もない空間から、死体が突然現れたかのような…


少女Bが、少年Aの腕を指差す。見ると、彼の右腕に、ナイフで切ったような切り傷があった。もちろん、いつ受けたかは定かではない。


だが、午後4時より前には確実にこんな傷はなかった。


実際にその場に居合わせて、彼は自覚した。これはただの事件ではないと…


何かとてつもない事が、この街で起こっていると…


ふと、少年Aはこんな仮説を立てた。自分達が体感した午後4時~4時半の30分間は、幻だったのではないか。


自分達の意識の外で、とんでもない事が起こっているのではないかと…


かなり強引な考え方だが、最早普通の思考では、この事件は解決出来ない気がした。


翌日、少年Aは少女Bを連れて街をでた。そして、隣街で、午後4時を迎える。


そして、少女Bにここで待つように言い、街へ戻った。


街へ戻った彼が見たのは、何とも衝撃的な光景であった。


何と、街の人々が、まるで気が狂ったかのように争っているではないか!!


それはもう凄い勢いで、たちまち街は無法地帯と化していた。死人が出るのも納得の有り様である。


群衆は、少年Aに襲いかかってきた。ナイフなどの凶器を持っている者もいる。


とりあえず、話の通じる状況ではないと判断した彼は、逃げる事を選択した。


すると驚いた事に、飛んでくる攻撃を当たり前のように回避できるのだ。まるでこの状況に慣れているかのように…


少年Aの視界に、街の区役所が入る。その時、確かに見えたのだ。区役所の窓から、こちらを見下ろす市長の姿が…。その目は正気の光を持っており、明らかにこの事態を自覚している。


しかし、特に焦る風もなく、薄ら笑いすら浮かべて、高みの見物を決め込んでいる。


市長は確実に何かを知っている。


少年Aは一か八か、区役所に駆け込んだ。区役所の中でも、狂人と化した人々が襲ってきた。恐らく今、街中がこの調子なのだろう。


先程、市長がいたと思われる部屋にたどり着き、中に入る。


すると市長が、「よく来たね」と出迎えた。市長の机を見てみると、見たこともない装置が置いてあり、奇怪な音を発していた。


「さては、発動開始時刻に街を出ていたね。この音は最初から聞かないと効果がないからね…」


市長は余裕の表情と口調で言う。


「お前は何者だ!!」


少年Aは怒声を発する。


「やれやれ…その様子では、私の正体に気付いた訳ではないようだね」


そう言うと市長は、一瞬で姿を変えた。甲冑を着けたような顔、全体的にゴツく、硬そうな体。ギョロッとした目…それはまるで、特撮に出てくる宇宙人そのものだった。


「これで分かったかな?」


少年Aは、驚きのあまり声が出なかった。殺人事件を調べていて、まさか宇宙人に行き着くとは…


宇宙人は、少年Aの前で語り始めた。


「私の星は、この地球を手に入れるべく、この星の人類を滅ぼす計画を立てた」


「そこで我々は考えた。どうやって地球人を滅ぼしたらいいかという事を」


「攻撃する必要などない。人間という生き物は、その高い技術を理性で操り、理性によって生活の均衡を保っている」


「君たち人間の理性を壊してやれば、君たちは殺し合い、勝手に滅んでいくだろう」


「この装置は、人間の脳に直接電波を送り、本能をむき出しにさせるものだよ。これによって人間は正気を失い、争い始める」


「残酷で野蛮となった人間は、闘争心にかられた獣も同じだ。ちなみに、君たちが今まで感じていた午後4時~4時半の30分間は、幻さ。そう言われると具体的には思い出せないだろ?」


「更にこの装置は、殺戮だけではなく、その後の処理をも促す働きをしてくれる」


「私が事件の証拠が上がっていないかを君たちに質問したのはそのためだよ。どうやら隠蔽は完璧のようだね」


「本来なら死体を一番隠すべきなのだろうけどそれはあえてしなかった。唯一最大の痕跡を残したら、君たちはどうするのか気になったしね」


「信じられないといった顔をしているね?けど、君もあの抗争に参加していたのだよ。そうでなければここにたどり着ける訳はない」


「さすがに長期的に続けると、身体能力も向上してしまうか…」


「まあ、この街はあくまで実験段階だよ。この実験が成功すれば、地球規模で計画が進行できる」


「明日にでも、電波を無制限に発信してみようか。この街程度、数日で攻略出来る」


「何か質問はあるかい?」


宇宙人は、長々と語り終えた後、少年Aに質疑を求める。


「そんな事…ゆるさない!!」


少年Aは、装置を破壊しようと、机に駆け寄った。

だが、次の瞬間、宇宙人に首を掴まれ、尋常ならざる腕力で持ち上げられた。


「ぐっ…」


爪が首筋に食い込み、少年Aはうめき声をあげる。


「言った筈だ。この街はあくまで実験段階だと…こんなところで、邪魔される訳にはいかないんだよ」


意識が遠退く…。もうダメかと感じた時、室内に、鈍い金属音が響いたかと思うと、少年Aは宇宙人の手からするりと抜け、床に尻餅をついた。


見るとそこには、少女Bの姿があった。彼女もどうにかここにたどり着き、どこからか拾って来た鉄の棒で、宇宙人を後ろから殴りつけたのだ。


宇宙人は、首がへし折れ、「ええええええええええ!!?」という断末魔を発しながら倒れ、死んだ。


二人は、念のため、宇宙人の頭部を完全に引き離し、そして装置を破壊した。


かくして、宇宙人の陰謀は失敗し、街に平和が戻った。しかし、二人が宇宙人の計画を阻止しなかったとしても、計画は失敗しただろう。


何故なら、宇宙人が手を下すまでもなく…


人間は残酷で野蛮な生き物だから…

こんにちはmeguです。「味のない蜜」に続いて2回目の投稿です。前作は日常的な話だったので今回は有り得ない話にしてみました。いかがだったでしょうか?

自分で読み返してみると何ともはや…

長々と駄文を失礼しました。よろしければ、前作の方も見てみてくださいね

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