4月11日
前回、真理と小春の設定を逆にしていました。
申し訳ないです<(_ _)>
入学式から三日後の今日、授業が始まりました。
中等部からの持ち上がりだとしても、新年度はすることが多いので、この三日はバタバタでした。
今年は誰もAクラスから落ちることはなく、顔ぶれは昨年と全く同じでしたので、皆さんもほっとし
ているようでした。
と、いうのも白鳳のAクラスとBクラスは伝統的に仲が悪いのです。
白鳳のAクラスというのは有名で、家柄・頭脳がそろっているエリートクラスというブランド力をっ
もています(何人かは頭脳だけですが)。
Aクラスにいるというのは家格がとても良いということの代名詞となり、Bクラスはあと一歩足りない
ということになってしまいます。Aクラスには差別するような方はいないのですがBクラスの方は私のよ
うな頭脳でAクラスにいる人のせいで自分はBなんだと思っている人が多く、何かと当たってくるのです。
そして彼らを牽制するのにAの人たちも動くので、AもBもクラスの団結力はものすごく高くなります。
(亮様によると学院はそれを狙ってこんなクラス分けをしている節もあるそうです。)
そんな関係なので、Aクラスの顔触れが変わるということはBクラスの人間が入ってくるということでな
かなか面倒なことになるので、顔ぶれが変わらないということはうれしいことなのです。純粋に仲のいい
友達と同じクラスなのを喜ぶ気持ちもちゃんとありますが。
ちなみに、BクラスはCにもDにもあまり好かれていません。Bは見下す人が多いですから…。
昼休みは中等部の時と同じように、真理、小春、要君、尊君、彰人の6人で食べました。久々にたくさんしゃべることができたのですが、いろいろとっつこまれて疲れました。
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私たちは大抵、雨の日以外は昼休みを中庭で過ごします。私と小春がお弁当を作ってくるときもありますが、二つずつある食堂か購買で食べる物を買って中庭に移動することがほとんどです。
6人の中で唯一のカップルである真理と要君も一緒です。前に二人きりでなくていいのかと聞いたところ、
「お昼はみんなで食べたほうがいいの!さららもいじれないし!」
と言われました。いじるならどうぞ二人で食べて来いと言ったら土下座されましたが。
今日もいつもと同じように料理を持って中庭に移動しています。話題は今日のBクラスとの衝突でした。
「にしてもあいつらも暇よね。毎度毎度さらら達に突っ掛って。こっちに嫌味言いに来る間に勉強でもしてるほうがAに上がれるんじゃない?」
「来なくていいけどね。でもさらら、今日は青柳先輩が助けてくれたんだって?」
真理の嫌味にサクッと返し、要君が私に聞いてきました。
「はい。桜様が止めに入りました」
私たちの大の頭脳でのAクラスは私を含め彰人、中口恵美さん、西川悠斗 《にしかわゆうと》、盛沢徹の5人です。
今日は私と恵美さんが廊下を移動しているときに突っ掛ってきました。
私と恵美さんは日直で資料を運んでいました。結構な量で二人とも視界が塞がれていましたし、しかもこちらからは見通しの悪い曲がり角だったので人が来たのに気づかず、ぶつかってしまいました。
こけたときに手をついてしまい資料を落としてしまいましたが、取りあえずどこも痛いところはなかったので相手は大丈夫だったか聞こうとしたところ、降ってきたのはこんな言葉でした。
「ふん。庶民は前も見て歩けないのか。しかもぶつかって謝りもしないなんて」
見上げた先にいたのはBクラスの生徒でした。
こちらからの見通しは悪いけれども向こう側からはよく見える廊下でしたのでどうしてぶつかったのだろうと思っていましたが、Bクラスの人はわざとぶつかっって来たのでした。
「ぶつかってきたのはあなたでしょう!それに倒れた女の子を助けもしないなんて!!大丈夫?さららちゃん」
恵美さんが反論しましたが、元から無効にはこちらの言うことを聞く気はありませんので無視です。
「卑しい人間が触ったから制服が汚れてしまった。ああクリーニング代を出せなんて言わないぞ?お前なんかに払えるわけなんだからな。いや、お前は使用人なんだから洗濯なんて朝飯前か」
Bクラスの人の言うことなど、気にしていられないので適当に済ませようとしたのですがそこに凛とした声が響きました。
「あなたのような人の制服を洗ういわれはこの子にはないわ!」
私を立たせ、散らばった資料を集めて下さったのは桜様でした。
「あなた緑川さん達にわざとぶつかって行ったでしょう。なのにこの子達が前方不注意?そこはあなたが避けるか、もっと言えば荷物の半分を持つくらいしなさいよ!その上転んだ女の子の手助けもしないで!」
桜様は私たちを後ろにかばい、Bクラスの人に説教をしています。私も恵美さんも慣れているのでまたかとしか思いませんでしたし、今回は内容がべただなという感想しか持っていませんでした。(恵美さんが反論したのは決まりです。反論しておかないと、クラスのみんなに怒られるのです。)
逆に言われる私たちよりも周りのクラスの人たちが熱くなることが多く、桜様もそうなっていたようでした。
Bクラスの人は桜様の説教により顔を赤らめて(照れと屈辱)「覚えてろ!」と毒づき去っていきました。あの人はいつもテンプレ通りなので微笑ましいです。
桜様は私に心配そうな視線を送っていましたが、
「青柳先輩、お助けいただきありがとうございました」
というと「気を付けて」とだけいい去って行きました。
教室に戻った時に報告|(義務)はしてあるのでクラスのみんなが何があったかは知っています。
「ずっとドキドキでしたけどね。桜様は結構うっかりですからどこで口を滑らすかと」
「私は不思議でしょうがないけどね。どうしてそこまで隠したいんだか」
真理はことあるごとに聞いてきますが、私が返す言葉はいつも同じです。
「私のようなものが一条家と関係があるなんて一条家の顔に泥を塗るだけですから」
答えると全員の眉間にしわが寄りましたが、このやり取りをした時はいつもなので気にしません。
「まあ、おバカなさららの理屈は置い「おバカとは何ですか」置いといて…。俺は中等部からだからよく知らないけど、幼等部の時は一条先輩達と普通にしてたんだろ?なんでみんな知らないんだ?」
彰人は珍しく、本当に一般家庭の子供です。(成績でAにいる人もCクラス程度の子息や令嬢だったりします。)中等部からの外部試験奨学金制度で白鵬に入学式しましたので、初等部までのことは私達の話でしか知りません。
「うーん小さい頃のことだし、初等部の高学年までは家格って気にしないからさららが亮さん達といても何の疑問も持たれなかったって感じかな」
「みんな、単純」
尊君がそう推測し、小春が短く評価しました。
尊君のお父様の会社は一条家の傘下で亮様ともよく顔を合わせているので、他の人よりも少し砕けた感じになっています。
そして小春は無口です。偶にしゃべると結構痛い言葉を発します。
ちなみに、要君のおうちは関東一帯を占めている極道です。警視総監の娘の真理と付き合うとなった時はドラマが生まれると思いました。今のところ双方の母親は知っていますが、父親は知りません。二人には悪いですが、これからの展開が見ものです。
「そういえばさ、私噂で聞いたんだけど一条先輩なんか改革するらしいよ」
真理は情報通で、最新情報は大体真理から聞きます。
「改革ってどんな?」
「まだ詳しくはわからないの。そういう噂があるだけ」
「へー。さららは聞いてないの?」
彰人が私に聞きますが、最近はそんなに話さないし、亮様は企画などのことはたとえ重要なことでなくても絶対に話したりしません。
「今初めて聞きました」
「何をするんだろうね」
「ま、一条先輩なら悪いようにはならないと思うよ」
尊君がまとめたところでちょうどチャイムが鳴ったので、みんなが腰をあげました。
「そうね。ってことで、さらら保健室行くわよ」
真理が私の腕を引っ張りました。男の子達はびっくりして事らを見ます。
「真理?どうして私が保健室に行かなくてはならないのですか?」
「さらら、あんたBのやつに転ばされた時、手をひねってるでしょ?隠しても無駄よ」
「うっ。やっぱり真理には隠せませんか」
「分かったなら大人しくついてきなさい。要、先生によろしく」
「うん。さらら、いつも言っているだろう?隠し事はしないようにって。みんなに伝えないと、報復項目が増えたって」
要君が黒い笑みで笑います。
「亮さん達にも報告するからね、さらら」
だから言いたくなかったのですが。
「諦め、肝心」
「小春~」
尊君、小春に追い打ちをかけられます。
私は肩を落としながら真理・小春に付き添われて保健室に行き、保健師の先生に放っておいたことを叱られたのでした。
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何とも疲れた昼休みでした。(主に後半)帰ってきてからは尊君から連絡をもらっていた亮様に叱られ、桜様に謝られ、旦那様達に心配され、とっても疲れた一日でした。