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4月7日


先日の前書きに書き忘れたのですが、現在私は15歳。いよいよ明日高校に入学致します。

亮様と桜様は一つ年上の高校2年生、燐様は私の一つ年下て明日中学3年生となります。我が弟(しょう)は歳が離れており、昨年小学校に入学しました。

明日の入学式、私は不安で仕方がありません。いえ、別に友達ができるかとか、そういう事に関しては全く心配しておりませんが、(私は幼等部から大学までエスカレーター式の学校に通っています)問題は誰が保護者席にいるのかということです。両親が来るのは間違いないのでしょうが…私の今までの入学式、卒業式、そして昨年の翔の入学式を思うと、中々憂鬱です。 



 そう、今までの私の入学式と卒業式に一条家の皆様と青柳家の皆様が参列なさっていたのでした……。



私は亮様達と同じ良家の子女が通う星華白鵬せいかはくおう学院に通っています。恐れ多いことに旦那様が学費を出して下さっています。

 この学院には幼稚舎、初等部、中等部、高等部、大学、大学院あります。

 亮様達と一緒に育った私はここの幼稚舎に通う事に何の疑問もありませんでしたが、初等部入学の頃には私のような者が星華に通うのはおかしいと思うようになっていました。

 両親に聞けば旦那様のご好意だと言われたので公立に進学すると旦那様に直談判しに行ったのですが、あっさり惨敗。中等部入学の時にも直談判しに行ったのですが、旦那様だけでなく亮様、桜様にも諭されて結局、白鵬の初等部、中等部と進学してしまいました。高校も抵抗するつもりでしたが、先にくぎを刺されて敗北。

 弟は皆様と年が離れているので守れるものがいないからという理由で、幼稚園と小学校は近隣の私立へ通い、中等部から白鵬に入れるそうです。子供は露骨ですからね。使用人の子供が雇い主の子供の遊び相手とかでなく白鵬なんかにいたら確実にいじめられます。弟がいじめられるのなんて絶対嫌ですからね…。

 翔は幼稚園の友達と同じところに行くので特にごねることもありませんでした。まあ、翔は亮様が大好きなので、亮様に言われたらなんでも素直に聞くのだろうけど…。


 旦那様は律儀な方なので貢献人の義務(学費を払って頂いている)とおっしゃって私の入学式や卒業式にも参列して下さっています。なぜか奥様だけでなく、青柳のおじさまとおばさまも…。

年のせいで3年連続でそのたぐいの行事があるのですが、毎回きちんと4人で参列なさいます。

 また、それはお子様達も同じなのです。

 もちろん在校生としての参加もあるのですが、保護者席でも参加されています。

私が入学の時は亮様と桜様が在校生で、燐様が保護者席。卒業の時は燐様が在校生で、亮様と桜様が保護者席。という具合に…


 もちろんそれは弟の翔に対してもでした。

 私の場合は白鵬学院なこともあり、旦那様のような方が沢山いらっしゃるのであまり目立ちませんでした。(誰のための参列だということでは騒がれましたが)

 しかし、翔は普通の私立なので旦那様方のような方はおらず、ものすごく目立っておりました。

ですがそれは予想していたのでまあいいのです。(あまりよくはありませんが、いいのです。翔は天然なのでひがみを受けたりはないでしょう)

 年の離れた子なので翔は皆の弟分です。なのでよく遊んでもらっていたし、亮様、桜様、燐様も出席なさっていました。皆様御容貌が整っておいでですのでとてもキラキラしています。ですから、平凡顔の私がかすむのもわかります。

分かりますが、式の後に声をかけて

「あれ?お姉ちゃんも来てたの?いないと思ってた」

はないと思います!

 メイド見習いをしていたので、確かにあまり翔と遊んだりはできませんでしたが、それでもちゃんと家族のふれあいはしてきたつもりでした。なのに……

 年の離れた可愛い弟の入学式に行かない姉はいないとおもいます!




 ショックのあまりそこから家に帰るまでのあまり記憶がありませんが皆様が慰めて下さっていたのはなんとなく覚えています。無視してしまいとても申し訳なかったです。

 そしてその日から最も弟と遊ぶようにしました。





 話がれてしまいましたが、とにかく卒業式や入学式には総出で出席なさる方々なのです。

 ああまたあのいたたまれない時間がやってくるのでしょうか。













 昼間、さららの部屋に3人の人影がある。

 それはこの家の息子の亮、恋人の桜、その弟の燐だった。

 亮がさららの日記を持ち3人で覗き込んでいる。

「くっ。さらら日記の中でも丁寧語だ」

「本当。それにしてもさららちゃん自分の魅力全く分かっていないのね。しかもいつまでたっても”様”付けだし」

「まあ姉さん、そのうち取ってみせるよ。僕と亮兄さんで」

燐が腹黒い笑みを浮かべる。

「まあ燐が高等部に上がってからだな。その方が面白い」

「どうして高等部なの?」

「高等部は中等部よりも色々と面白いんだよ」

不思議そうな顔の桜の頭を亮が撫でる。

「それにしてもまだあの時のこと気にしているんださらら」

「こうして書くくらいだからな……翔はいつも仕事に一生懸命だから来ないと思ってたから来てくれてうれしいと言おうとしてたのにな」

「さららちゃん途中で固まっちゃったからね。弁解しようとしても逃げちゃうし」

「ま、問題ないだろう。今も特に支障はないし」

「でも、さららもまさか日記が読まれているなんて思ってもいないだろうね。悪いよね僕たちも」

「さららちゃんの観察は私たちの生きがいよ!読まなくてどうするの!」

「落着け桜。そろそろ出ないと入学式が始まる」

「あら、もうそんな時間?早く行きましょう」

 3人はさららの日記を元に戻し、部屋を出て行く。

 自分が主人達に観察されているとは露にも思っていないさららであった。

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