8.ガチ盛り『ワン・ピース』
8 2012/12/28
前回の続きです。
超人気少年マンガ『ワン・ピース』を楽しめない残念なオレについて。
オレはそもそも、好んで少年マンガを読むほうではない。それはオレが、おっさんになったからだ。
むろん前回挙げた『ジョジョ』、挙げなかったが『キャプテン翼』や『キン肉マン』などは、懐かしくてつい読んでしまう。だが、それらを少年マンガと呼ぶことは、もはやできない。それは読者がおっさんになったからだ。
問題は現役のおっさん、おばさんが『ワン・ピース』を楽しみ支持していることだ。いや、別に問題ないか。
むしろ感性が腐ってしまったオレに、問題があるのかもしれない。
ま、楽しめるかどうかはさておき、せっかく『ワン・ピース』を数巻パラパラとめくったので(失礼!)、気づいたことを書いてみたいと思う。
凄いなと感心したのは、やはり画の迫力だ。今さらで本当にすみません。青年誌のリアルな描写とはまた違った、少年マンガ独特の作法といえるかもしれない。
だが、旧き良きオバQを愛するオレは、どうしても苦言を呈さずにはいられない。
『ワン・ピース』は、はっきりいって、サービス過剰だ。ハンバーグもチキンも海老フライも、プリンまでもが乗っている豪華なプレートを思わせる。ラーメンならば全部乗せ、というやつだ。
オレはラーメンならラーメン、味噌ラーメンなら味噌ラーメンで、シンプルに食べたいほうだ。(どうでもいい!)
そっか、つまり、マンガの新しい旧いではなく、これは趣味・嗜好の問題であるらしい。
昨今のガチ盛りブームというやつは、どうもオレは馴染めない。シンプル・イズ・ベストと思っているからだ。シンプルは貧相とは違う。なんでもかんでもガチ盛りにする根性のほうが、よほど貧相に思える。
ま、人気マンガであり続けるためには、イヤでもガチ盛りにならざるを得ないのかもしれない。かつて『ドラゴンボール』が、果てしないパワー・インフレに飲み込まれていったように。
たしかに、オバQの時代と今では、マンガの置かれている状況そのものが違う。ネタもかなり出尽くした感がある。
オバQにラーメン大好き小池さんというキャラがいる、という話を以前した。
小池さんが今の少年誌で活躍していたとしたら、きっと、えらい変貌を余儀なくされただろう。
いきなり剣の道に目覚め、大立ち回りを演じることもあるかもしれない。ギョウザ大好き小山さん(想像です)とかいうライバルが現れ、死闘の末、なんでかしらないが仲間になり、さらに強大な敵に二人でむかう羽目になるかもしれない。
そうやって一人また一人と仲間が増えてゆくのだ。まるでラーメンのどんぶりを具材で埋め尽くすように……。
ラーメンの器に幅の制限はあるが、高さの制限はない。今のマンガの状況を考えると、きっとタワーのごとくトッピングの嵩は増してゆくだろう。
崩れないことを祈るのみだ。