過剰な演技
テレビはあまり観ないオレだが、あいかわらず大河ドラマは欠かさず観ている。今年は軍師・官兵衛だ。
あらすじは、まあ、どうでもよろしい。オレはあまり筋には捕らわれない。酒を飲みつつボーっと画面を眺めて、なにか引っかかる部分があれば、それでいい。
とある回で、こんなシーンがあった。
官兵衛の義姉が敵方に回ってしまい、彼自らがその一族を滅ぼさなければならなくなった。
官兵衛は義姉とその娘たち(10歳前後?)だけは救出しようとするのだが、義姉は早まって娘たちと自刃しようとする。
寸前のところで官兵衛は間に合い、義姉の行動を阻止する。このへんはドラマだねー、と思う。
そして官兵衛が絶叫。「生きよ!」
なんか某ワンピースでも似たようなシーンがあったような……まあ、いいでしょう。
過剰な演技、それが今日のテーマだ。が、オレが言いたいのは官兵衛役の岡田君のことではない。
娘たちと自刃しようとする義姉役、でもない。
二人いる娘のうちの片方、彼女の演技がとても印象的だった。名前がわからないので仮に子役Aと呼ぼう。
子役A演じる娘が何を恐れていたのか、ちょっと判断できない。母親が向けた刃だったのか、あるいは乗り込んできた武者(官兵衛)だったのか。いずれにしても、緊迫したシーンである。
子役Aはまさに、これ以上ないくらい恐怖に満ちた表情をしていた。
その表情を見ておっさんのオレは図らずも、きゅん、となってしまった。ちなみにオレはロリコンじゃない。迫真の演技に胸を打たれたのだ。
迫真の演技といえば聞こえはいいが、同時にわざとらしくもある。
演出家の指導が目に見える気がする。ここは、これこれこういう怖いシーンだから、とびきり驚いてね、みたいに。
あるいは演出家の期待以上に子役Aが大げさな演技をしたのかもしれない。過剰な演技というやつだ。
もちろん子役Aに責任はない。最終的にOKを出したのは、演出の判断だろう。
考えてみれば、子役Aにとって過剰な演技をするほか選択肢はなかったかもしれない。刃を向けられた経験などないはずだし、戦乱の世の倣いなど想像の外だろうから。
オレがもし、おなじ演技をしてみろと言われたら、子役Aと同等かそれ以上の大根役者っぷりを晒すのではないか。
子役の演技とは、つまり、素人演技のことなのだ。一部の天才子役は別かもしれないが、大体はそうだろう。そうでなきゃ逆に怖い。
また、だからこそ、彼(彼女)らの演技は真に迫っていて胸を打つのではないか。
オレだけ?
余談だがオレはダスティン・ホフマンのような、いわゆるわざとらしい役者さんが好みだ。
ダスティン・ホフマンのわざとらしい演技が熟練のなせる技か、それとも天然かは、神のみぞ知るところである。




