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なにYOU天然!  作者: 大原英一
番外編
37/47

過剰な演技

 テレビはあまり観ないオレだが、あいかわらず大河ドラマは欠かさず観ている。今年は軍師・官兵衛だ。

 あらすじは、まあ、どうでもよろしい。オレはあまり筋には捕らわれない。酒を飲みつつボーっと画面を眺めて、なにか引っかかる部分があれば、それでいい。


 とある回で、こんなシーンがあった。

 官兵衛の義姉が敵方に回ってしまい、彼自らがその一族を滅ぼさなければならなくなった。

 官兵衛は義姉とその娘たち(10歳前後?)だけは救出しようとするのだが、義姉は早まって娘たちと自刃しようとする。

 寸前のところで官兵衛は間に合い、義姉の行動を阻止する。このへんはドラマだねー、と思う。

 そして官兵衛が絶叫。「生きよ!」

 なんか某ワンピースでも似たようなシーンがあったような……まあ、いいでしょう。


 過剰な演技、それが今日のテーマだ。が、オレが言いたいのは官兵衛役の岡田君のことではない。

 娘たちと自刃しようとする義姉役、でもない。

 二人いる娘のうちの片方、彼女の演技がとても印象的だった。名前がわからないので仮に子役Aと呼ぼう。

 子役A演じる娘が何を恐れていたのか、ちょっと判断できない。母親が向けた刃だったのか、あるいは乗り込んできた武者(官兵衛)だったのか。いずれにしても、緊迫したシーンである。

 子役Aはまさに、これ以上ないくらい恐怖に満ちた表情をしていた。


 その表情を見ておっさんのオレは図らずも、きゅん、となってしまった。ちなみにオレはロリコンじゃない。迫真の演技に胸を打たれたのだ。

 迫真の演技といえば聞こえはいいが、同時にわざとらしくもある。

 演出家の指導が目に見える気がする。ここは、これこれこういう怖いシーンだから、とびきり驚いてね、みたいに。

 あるいは演出家の期待以上に子役Aが大げさな演技をしたのかもしれない。過剰な演技というやつだ。

 もちろん子役Aに責任はない。最終的にOKを出したのは、演出おとなの判断だろう。


 考えてみれば、子役Aにとって過剰な演技をするほか選択肢はなかったかもしれない。刃を向けられた経験などないはずだし、戦乱の世の倣いなど想像の外だろうから。

 オレがもし、おなじ演技をしてみろと言われたら、子役Aと同等かそれ以上の大根役者っぷりを晒すのではないか。

 子役の演技とは、つまり、素人演技のことなのだ。一部の天才子役は別かもしれないが、大体はそうだろう。そうでなきゃ逆に怖い。

 また、だからこそ、彼(彼女)らの演技は真に迫っていて胸を打つのではないか。

 オレだけ?


 余談だがオレはダスティン・ホフマンのような、いわゆるわざとらしい役者さんが好みだ。

 ダスティン・ホフマンのわざとらしい演技が熟練のなせる技か、それとも天然かは、神のみぞ知るところである。

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