27.いわゆるゲームブック的な
27 2013/02/22
オレが小学生のころ、ゲームブックなるものがあって、クラスではそこそこ人気を博していた。ほぼ男子限定ではあったが。
当時はまだ初代ドラクエが発売されて間もないころだった。いまでは考えられないことだが、その当時はRPGに手を染める女子は稀だった。勇者や魔法使いに憧れるのはほとんど男子で、女子は光GENJIなどの話に花を咲かせていた。少年のオレからしたら女子はかなり、大人びた存在だったのだ。今回の話とは関係ない(笑)
ゲームブックをご存知だろうか。最近ではまったく見かけなくなった。
文章の節ごとに項番が振ってあって、はじめは序章から読んでいくのだが、つぎは項番144(たとえば)に飛んだりする。
著者の指示によって、あるいは読者自身の選択によって、ページのあちらこちらを捲る羽目になる、たいへん忙しい読み物である……てかゲームである。
プレイヤーたる読者が選択をあやまったり、敵に負けてしまうと、物語はそこで終了となる。ゲームオーバー。このあたりは一般のゲームと同じだ。
ゲームオーバーになったら、また序章からやり直し(読み直し)。今度は同じあやまちをしないよう、慎重に選択しつつ読み進めていく。
敵とのバトルは、たいていサイコロの出目によるヒット・ポイントの奪い合いだ。もちろん、物語のなかで手に入れたアイテム等を活用することで、バトルを有利に展開できる場合もある。
というわけで、たかだか一冊の本を読み終わるまでに、途方もない時間と労力が要求される。クリアするのが面倒くさくなって、結末を知らないまま投げ出されたゲームブックも数多あったのではないか。
さて、オレにとって衝撃的だった一冊のゲームブックがある。『ブラック・オニキス』というタイトルだった、と記憶している。
もちろん、その本はとうの昔にどこかへやってしまった。以来、ブック〇フなどでも一度も見かけたことはない。
典型的な、というか本格的なRPGだったと思う。主人公(読者)は戦士で、レベルを上げつつアイテムを集めつつ……とそれはいいのだが、魔法使いなどの仲間を集めるくだりで、ある画期的な仕かけがあった。
「ようダンナ、オレを仲間にしないかい?」
と、ちょっとキザで顎のしゃくれた魔法使いが声をかけてくる。顎のしゃくれ具合については、挿絵によるものだったか、単にオレの想像だったか、記憶が定かではない。
ともかく、主人公たる読者は選択をせまられる。
皆さんなら、どうします? ふつう仲間にするよね。だってそのほうが面白いし、あとで役立つかもしれないし。
ところが、彼を仲間にしては、いけないのだ。彼は魔法使いとしては、ほとんど役に立たない愚物なのである。
さらに彼を仲間にすると、そのあと出会えたかもしれない本物の大魔法使い殿に会えなくなる、という仰天の仕かけがなされている。
日本でも有数のピュアな少年だった(当社比)オレに、そこまで読めるわけがないだろう!
なのでオレは、毎回この使えない仲間たちと冒険するものだから、いつまでたっても物語をクリアできずにいた。
当時のある日のこと、友人のオギヤ君と『ブラック・オニキス』の話になった。
「(オニキス)あれ、難しすぎるよ」とオレ。
「そう、オレはクリアしたよ」
「マジで? よくあんな弱い仲間で戦えるね」
「えっ、まさか『しゃくれ』や『ブタ』を仲間にしてないよね?」とオギヤ君は教えてくれた。
そこでオレは、はじめて「しゃくれた魔法使い」や「太った盗賊」を先に仲間にしてはいけない、と知ったのである。
わかるかっ(笑)




