25.睨みオヤジ
25 2013/02/18
悪い子のところには、睨みオヤジがくるぞーーっ(笑)
会社から駅まで三〇分歩いている。第19話でも触れたが、某有名公園沿いにぐるっと歩いているのだ。
その途中、おもに夜の帰り道だが、睨みオヤジとオレが呼んでいる人物とちょくちょく出くわす。
オレらは知り合いでもなんでもない。顔見知りといえばそうだが、むこうがオレを意識しているかは、わからない。たぶん、してないだろう(笑)
彼はお爺ちゃんだ。とうにリタイアはしていると思う。そういった人が、夜の九時半くらいに公園沿いを歩いている。散歩だよね、きっと。見えているの、オレだけじゃないよね?
睨みオヤジは怖い顔をしている。悲愴感もちょっと漂わせている。でかくてぶ厚い眼鏡をかけている。視線の先がよくわからない。
オレは彼とすれ違うとき、どうしても彼の顔を見てしまう。五メートルくらい手前から、あれが睨みオヤジだとわかっている。歩きかたと、でかい眼鏡でわかるのだ。
どうしても彼の顔を見てしまう。これはいわば確認作業だ。睨みオヤジ、今夜も怖い顔しているかなって。
これがまた裏切られることがない。めっちゃ怖い顔をしている。オレを睨んですらいる(笑)
あからさまに顔をこちらへ向けるわけではないが、オレが彼の視界にはいると、彼はすごく怖い顔をしている。きっと、ずっとその顔をしているのだろう。
自分でも不思議だが、イヤな感じはまったくしない。むしろ安心する。睨みオヤジが怖い顔をしているのはきわめて正常な状態だ。
だから、こちらもつい期待してしまう。どうか正常であってくれ、間違っても笑顔など見せないでくれと。それで彼の顔をつい見てしまう。
それにしても怖い顔だ。うちの甥っ子(もうすぐ二歳)が見たら、一〇〇パー泣くだろう。
睨みオヤジにいったい何があったのか。彼の半生を紐解いてみたい衝動に駆られる。こう見えておせっかいなんです、オレ。
いやしかし、これまでがどうだったかなんて、別にどうでもいいことかもしれない。大事なことはいま現在、彼が怖い顔をしているということだ。
彼はいま、とても幸せかもしれない。そうじゃない、とどうして断言できよう。怖い顔をした幸せ者がいたって全然いい。
あるいは逆か。幸せだってバレないように、幸せが外へ逃げ出さないように、彼はあえて鬼の仮面をかぶっているのか。
そう考えるとナマハゲの見方も違ってくる。
あれは子どもサイドの通過儀礼のように見えるが、じつは鬼サイドの陽気なダンスではないのか。
そう考えると、睨みオヤジへのオレの見方も変わってくる。ま、本人にはものすごく、どうでもいいことだろう。
……という妄想ですからね? とは、うちの残念な同僚タキオカの口ぐせだ。(このネタ2回目)




