18.クイズ! 100人に聞きました
18 2013/02/02
『クイズ! 100人に聞きました』(以下、『100聞』と略す)という番組が昔あった。いわゆる「あるある」ネタのクイズ番組だ。
「あるある」にもメジャーとマイナー、ふたつの観点があると思う。
メジャーは多数派のほう。母集団が100人だとすれば、そのなかで単純に数が多いほうがよいとする判断だ。
マイナーはその逆。一般の人がほとんどやらない、あるいは周囲に眉をひそめられるような行動や性癖でも、「あるある」とつい頷いてしまうマニアックな価値判断をする。
『100聞』はその前者だ。最近の番組では『帰れまテン』が近いかな、しいていえば、だけど。
『帰れまテン』は100人よりもっと多い母集団から、客層ごとの好みを推理して回答するランク・イン形式のクイズだ。10位までのランキングをすべていい当てないと帰れない、という制約がある代わりに、ノー・ミスで10個いい当てれば賞金がでるシステムになっている。
『100聞』はそこまで凝ってはいなくて、単純にメジャーな回答が高得点につながるので、それを競うクイズ番組である。
今回なぜ、こんな古くさい番組の話をするかというと、ちょっと面白い演出があったからだ。たとえば次のような問題があったとする。
「新橋のサラリーマン100人に聞きました。冬場に食べたいものとは?」
この問いに、ゲストがなるべくメジャーそうな回答をする。
デーレーレーレーレー、と結果発表の音楽が流れる。と同時に、
あるあるあるあるあるあるあるある……!!!!
という喚声があがるのだ。これがスタジオにいる観客のリアルな声なのか、あらかじめ録音された音声なのか、ちょっと判断がつかない。が、毎回かならず、この「あるあるある……」の声があがる。まさに「あるある」だ。
この番組がやっていた当時はまだ子どもだったので、たいして不思議に思わなかったが、いま考えるとかなり違和感がある。
すでに用意された結果に対して、「あるあるある……」と観客が叫ぶことに、いったいなんの意味があるというのか。願望か(笑)
某有名カルト教団のネタで「修行するぞ修行するぞ修行するぞ……」というのが昔あった。同じ言葉の連呼には、なにか人を発奮させる作用があるのかもしれない。
この「あるあるある……」も、同じ効果を狙っているのか。スタジオ内で擬似的な熱狂を生みだすみたいな。
いずれにしても、現在では廃れてしまった演出であり、応援のしかただと考えられる。
もしサッカー場で「シュートシュートシュート……」や「ゴールゴールゴール……」なんて声援をし続けるサポーターがいたとしたら、ちょっとヤバい人だと思われてもしかたないよね。