16.キャプつば・リターンズ
16 2013/01/25
南葛と書いてナンカツ、修哲と書いてシューテツと読む、ごめんなさい、また『キャプつば』ネタです。
アニメ版DVDの第2巻を借りてきましたよ。第5話から第8話まで収録されているやつ。これがまあ、面白いの泣けるのって……矢も盾も堪らず筆を執った次第であります。
若林くんサイドから行こうか。天才ゴールキーパー・若林源三の名を知らない人は、まさかいないよね? ああ、でもどうなんだろう、やっぱ若い世代は知らないかもなあ。
いいっす、知らなくても。とにかくすごいキーパーだと思ってもらえればいい。例によって、ぶっとんだ設定が目白押しだ。
なにがすごいって、まず、若林くんの家がすごい。豪邸という範疇をかるく超えている。ほとんど城だ。『ハイジ』にでてくるクララの家か(笑)
若林くんがなぜサッカーをはじめたか、なぜキーパーというポジションを選んだのか、なぜ三上さんという初老の専属コーチがついているのか、そのへんの事情はあきらかになっていない。
天才に謎はつきものだ。
翼くんこと大空翼にも謎は多い。とりあえず、ズバ抜けてサッカーが上手いことは周知の事実だが、なぜそうなったかは不明である。
わかっているのは、幼児のころサッカーボールごとダンプ・カーにはねられたが、ボールがクッションとなり九死に一生を得たこと。
こんな設定、ふつう思いつくか? 本当の天才は作者の高橋陽一先生かもしれない。
大空家の家庭環境も、じつは、けっこう謎が多い。父親が外国船の船長で渡航期間が長いため、家を留守にしがちだという設定に、一応はなっている。だが、この一家がなぜ急に南葛市へ越してきたのかが、わからない。
翼くんにしても、小さいころから独りでボールばかり蹴っていたのに、南葛へきた途端に頭角をあらわすのである。潜伏してたのか(笑)
『翼』史上もっとも熱い戦いとされるのが、南葛小対修哲小の対抗戦だ。少なくともオレ的にはそうだ。
少年誌で連載する漫画にとって、コミックスの第1、2巻というのは、打ち切りの明暗をわける最初の山場だ。『翼』はこの対抗戦を描くことで、その後80巻以上にもおよぶ(青年誌含む)長期連載を勝ち取ったのである。
サッカー部同士の試合のみならず、全校をあげての対抗戦という設定も心にくい。南葛小へ転校の手続きにやってきた岬くんが、スムーズに敵地・修哲小へ足を運ぶ流れをつくっている。
それともうひとつ、長い航海から帰ったばかりの大空船長(翼くんの父親)も、このスポーツの祭典に駆けつける。まさに祭りの支度は整った、というわけだ。
いよいよキック・オフを告げるホイッスルが鳴った。
南葛イレブンをベンチで指揮するのはロベルト本郷。ロベルトは試合前半、キー・プレーヤーである翼くんを守備的ポジションに据え、修哲の圧倒的攻撃を防ぐ作戦にでた。
これに業を煮やしたのは、いうまでもない、修哲のキャプテン若林くんだ。
若林くんは、この試合は翼がオレから一点奪えるかどうかの勝負だ、と豪語するくらい、翼くんとの直接対決に執着している。
前半終了間際、若林くんは挑発するかのように、なんと敵である翼くんに直接ボールをパスする。
「いかん翼、挑発にのってはダメだ」と、目で訴えるロベルト。
そこへ一人の観客が大声で呼びかける。
(次回へつづく)