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なにYOU天然!  作者: 大原英一
本編
14/47

14.キャプつば・ザ・ファイナル

14 2013/01/19


 前回の続き……キャプつば編、今日で完結です。

『ボクは岬太郎』という短編で、スパルタ教育ママがでてきたところまで、だったね。

 スパルタ教育ママって、そういえば、最近見なくなった。

 教育熱心な母親は、もちろん今でもいるのだろうが、ハイソで過保護でSMの女王様みたいなメガネをかけているスパルタ教育ママは、もはや絶滅してしまったようだ。

 ハジメの母親は、なにも息子が憎くて、彼がサッカーをやることを反対しているわけではない。

 その逆で、ハジメがサッカーはおろか、どんなスポーツも苦手だということを、母親は痛いほど熟知しているのだ。息子のブザマな姿が見ていられないのだ。

 ハジメはハジメで、この情けない状況をなんとか克服したいと考えている。彼だって岬くんのようなプレーができるようになるとは、端から思っていないだろう。

 

 ある日、草サッカーチーム同士で試合がおこなわれた。

 岬くんは当然、強力な助っ人として町内チームに招へいされた。それはいいのだが、彼はなんと、この試合にハジメも出してあげないかと皆に提案する。

 町内チームの皆は難色を示した。が、せっかく参加を承諾してくれた岬くんの申し出を、むげに断ることもできない。それに岬くんがいれば、かるく四、五人分の働きはしてくれるだろう。

 ハジメの人数としてのカウントがゼロでもマイナス1でも、充分おつりがくる。

 そういうわけで、ハジメは味噌っかす的なポジションで、無事スタメン入りを果たす。プライド・ゼロか(笑)

 だが、プライドを捨ててもこの状況から逃げださなかったハジメは、やはり賞賛に値する。オレの涙腺は、すでにウルッときている。

 なぜだろう。なんでダメなやつが試合にでると、こんなにも胸が熱くなるのか。もういっそ、チーム全員ダメ選手にしたいくらいだ。

(じつは、翼くんがやってくる以前の、石崎くんがキャプテンだったころの南葛が、まさにこの状況だった。翼くんやロベルトの尽力により、南葛は息を吹き返したのだ)


 試合中、ハジメはこれでもかといわんばかりに、スットコドッコイ度を炸裂させる。その試合に、どういう経緯か忘れたが、スパルタ教育ママが駆けつける。

「ハジメちゃん、もうよしなさい。あなたには無理なのよ」

「イヤだよ、ママ。最後までやらせてよ!」

 ああ、もう涙が……。

 ピッチへ戻ったハジメに、岬くんが絶妙なクロス・ボールをあげる。

「ハジメくん、ボールは友だちだ。飛んで!」

 岬くんの声に合わせ、ハジメが石崎くんばりの顔面ダイヴをかます。


 ゴオオオーーール!!!


 ハジメのヘディング(顔面)シュートにより、町内チームは貴重な一点をもぎとる。

「やった……やったよママ!」

「ハジメちゃん……」

 びっくりしたのは母親だろう。まさかハジメがこんなにやれるなんて、思ってもみなかったはずだ。岬くんに感謝ですね。


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