11.どこでもドァーッ!
11 2013/01/11
ドラえもんの道具で、どれが一番欲しいかと聞かれたら、迷わず「どこでもドア」と答えるだろう。
一般に「どこでもドア」は空間を超える道具、タイムマシンは時間を超える道具(装置?)に分類される。
だが、オレがのび太だったら、どうしても試したいことがある。
のび太の部屋で、しずかちゃんと話しながら、「どこでもドア」を開けるのだ。行き先は、しずかちゃんの家のバス・ルーム(笑)
そこに入浴中の彼女がいないと、どうして断言できるだろう。
しずかちゃんは今、のび太の部屋にいる。だから自宅のバス・ルームには、いるはずがない。どうしてそう、いい切れるのか。
空間ワープとは文字どおり、空間を歪ませることだ。本来は離れている二つの地点を、ムリクリくっつける。たしかに、これだけなら時制は変わらない(はず。なんか、次元まで歪みそうだけど)。
だが「どこでもドア」がこの原理を採用していると、いったい誰が決めたのか。
あるいは全く別のロジックで、この不思議なドアは機能しているかもしれないのだ。
空間を超えるもっともシンプルな方法、それはいわずもがな、移動だ。
「どこでもドア」が瞬間移動の装置であると、考えられないだろうか。いい歳こいて、何をしょうもないことを考えているのか……暇なんです、要するに。
ドアを開けるだけで、どこでも好きな場所へ、一瞬で行ける。なんて素晴らしい。
だが、思い描いた世界がそこに在るという保証は、実はどこにもない。
例えば、あなたは今、電車である目的地へ向かっているとする。
その場所が実際に存在するかどうかは、確率的にしか推測できない。
たぶん大丈夫だろ? くらいの、きわめていい加減な推測だ。
「どこでもドア」は、この電車のスピードをめっさ速くしたバージョンと考えて問題ない。
基本は同じ、世界はかくも不安定、なのだ。
だからだから、ドアを開けたとき、しずかちゃんが入浴中であることは、確率的に充分あり得る。
さて、問題はしずかちゃんがまだ、ドアのこっち側(のび太の部屋)にいることだったね。
でもバス・ルームを覗いた状態で、背後にたしかに彼女がいると、どうしていえよう。それこそ確率的にしか推測できない。
なので、もしかすると、バス・ルームで入浴中の彼女が正で、背後にあった(はずの)現実が否なのかもしれない。
昔からいうでしょう、振り返ってはいけない、と。振り返ったら……