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「step」  作者: 華南
22/42

崩壊

無理矢理シーンがあります。

閲覧に気をつけて下さい。

Act.22  崩壊




忍がマンションから去った後も夏流は玄関に座り込んでいた。

今しがたあった自分の状況に体中が震え、唇はガチガチと音を立て力が入らない。


忍の激情をマトモに受けて、夏流の気持ちは混乱していた。



(怖い…


坂下君が怖い。


彼の誕生日迄、後、3週間も無い…。


もう、嫌!


彼とこれからも付き合うなんて、絶対に出来ない。


だれか、助けて!)


ぼろぼろと止めど無く涙が溢れた。

零れる涙を拭う事なく感情の赴くまま、夏流は泣き続けた。



最初から忍の一方的な告白で付き合いが始まった関係だ。

自分が恋愛感情を持ってからの関係ではない。


心が少し揺れ動き彼に心が傾きかけた。

だけど彼の感情は自分の許容を超えている。


彼の心を受け止める程、私は彼の事を想っていない…。


だから。


夏流は涙を拭い、心を強く引き締めた。




(言おう、坂下君に。


別れの言葉を。


ううん、別れも何も彼から始まった恋愛だもの。

私はただ、彼に翻弄されただけ。


だから…


心に彼の存在があっても、だけど、これ以上、私には彼と向き合えない。


明日、彼とあって気持ちを伝えよう。


大丈夫、夏流。


気持ちを強く持てば、きっと彼にも伝わるはずだから…。)


決意を固め、どうにか体を落ち着けせて立ち上がり、夏流は部屋の中に戻った。


その夜、お互いがなかなか寝付けないまま、夜を過ごした。



次の朝。


夏流は忍に逢いたいとメールを送った。


緊張してメールを打つ指先に力が入らず、なかなか文章が打てなかったが、これ以上先延ばしにしては言い出せなくと思い、迷いながらも送った。


その後、すぐに忍から返事が来た。


謝罪の言葉が添えてあったメールを見て、昨日の事が鮮明に頭に過った。

震えがまた体を襲った。


夏流は自分の体が震えが走る様子に、もうどうしようもないんだ、と自分自身を納得させた。

頭で彼の事を想っても、体が彼を拒絶している。


それが今の自分なんだ…、と、夏流は実感した。



マンションの近くの公園に行くと既に忍が待っていた。


少し陰りのある表情が夏流の目に映った。

夏流の姿を見て、忍は淡く微笑み、そして昨日の自分の行動を深く反省してると謝罪した。


謝る忍の姿に、ずきりと、胸に鋭い痛みが走った。


心が少し揺れ動いたが、でも、それに気持ちが流されていたら、ずっと別れを切り出せない。

別れの言葉を言うと決めた事だ。

もう、引き返せない。


彼がどんなに自分の事を想っていても、私にはもう無理なの。


「…坂下君」


唇が震える…。


「夏流?」


「お願いがあるの。


もう、付き合うの、やめましょう。


初めから貴方から、始まった交際だったし、それに私」


「…」


「貴方の想いについていけない。

これ以上、無理なの!


お願い、もう、私を解放して」


「…嫌だ」


「坂下君!」


「…バカだった、俺は。

自分の感情にもっと、正直になればよかった。


昨日、躊躇した自分が愚かだったよ。」


底冷えがする様な言葉に、夏流の全身は凍り付いた。

夏流を見つめる瞳には、既に感情の色は消え、何も映していなかった。

ただそこに、姿が反射されているだけ。


「な、何言ってる?」


「夏流。

俺から離れる事が出来ると思っているの?

君は最初から俺のモノだっていっているだろう?」


「ち、違うわ。

私は最初から貴方のモノでは、ない。

勝手に貴方が思っているだけ!」


自分に向ける冷笑を浮かべた微笑みが、彼の容貌を際立たせてる。

壮絶な迄の美しさだ。

一瞬、彼の姿に心を奪われたが、更なる忍の言葉に我を取り戻した。



「物わかりが悪いね、夏流は。

何の為にその頭脳は存在している?

言葉に対しての認識は持ち合わせていないとは思わなかったよ。」


だんだんと距離を詰め寄り自分に近づいている忍が怖くて、夏流はその場から逃げようと踵を返した。

走り出そうとする夏流の腕を掴み自分に引き寄せる。


夏流の顎を掴み、見つめる瞳は何処迄も暗かった。


「今から証明するよ。

夏流は俺のモノだって。」


「…嫌よ。

放して、坂下君」


抵抗する夏流の腕を更に強く握り歩いて行く忍。

腕を掴まれる力の強さに顔は痛みに歪み、夏流は呻いた。

何度も放す様訴え叫ぶ夏流を無視して、タクシーを呼び引き込む。


「何処に行くの?」と問いただす言葉に返答は無かった。


タクシーがついた場所を見て、夏流は戦慄が走った。

そこは以前夏流が倒れて運ばれていたマンションだった。


暴れる夏流を無理矢理エレベーターに連れ込み、ボタンを押す。

抵抗する夏流の顎を掴み唇を奪った。


強引に自分の唇を奪う忍に抵抗すべく夏流は忍の唇を噛んだ。

一瞬、唇を放したが、直ぐに夏流の唇を奪った。

切れた唇に血が滲み、お互いの口内に血の味が広がっていた。



エレベーターが止まりドアが開く迄、忍は夏流の唇を奪っていた。

執拗に口内を侵す忍に、夏流は既に抵抗を諦めていた。



マンションのドアを開け、寝室に夏流を引き込む。

そしてすかさず夏流をベットに横たえ、馬乗りになり夏流の自由を奪う。


驚愕が全身に巡り、涙が視界を歪める。

忍の瞳は相変わらず何も映さない。


「ねえ、お願い。

もうやめて、坂下君。


こんな事をしても、私は貴方のものにはならない。」


「…」


「お願い!」


懸命に訴え拘束から逃れようと夏流は抵抗したが、自分を捉える忍の腕の強さに敵うはずがなく、夏流は絶望した。


もう、逃れられない…。


一つ一つ暴いていく忍に、夏流は抵抗せず、ぼんやりと状況を受け入れていた。


体全体に忍の熱が伝わる。


心をよそに自分の体が熱を伴う。


時々痛みを伴う甘い疼きが自分を襲った。


だけど、それだけ。


冷えゆく心を見つめながら、進められる行為の中、夏流は忍と結ばれていった…。


読んで頂き有り難うございます。

これから、痛い展開が続きます…。

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