聖女の素顔
「エリザは聖女ではない。」
ウィリアムの言葉にマリーは静かに頷く。
「エリザが起こした奇跡。第一王子を、甦らせた。否、彼女は……」
「ああ、そうだ。俺は濡れ衣を着せられていた。」
「ウィリアム様!何故違うとおっしゃらなかったのですか?!」
「言ったさ。でも、意味はなかった。」
「エリザは一体何を?」
「エリザは……、言えない。」
「どうしてですか?」
「言えないんだ。お前には、お前だけには……。」
「ウィリアム様……。」
やはり、信頼されていないとマリーは少しへこんだ。
「これからどうするんですか?」
「決まっているだろう。エリザとチャーリーを止める!!」
「ですが、そう簡単に……。」
「お前がいる。」
その言葉はどこか頼りにされているかのように感じた。信頼されていないのではなく、もしかして逆なのではないかとマリーは思った。
「ですが……」
「前回は相手の実力を測るために本気を出さずに挑んだんだ。」
「え?!」
「だから心配するな。お前には……、お前には再び、俺の道具になってもらう。」
「……はい。」
2人は再びエリザとチャーリーの元へと行く事にした。しかし、城には強固なバリアーがはってあり、中にはいれなかった。
「くっ、エリザめ!あの事をチャーリーに知られまいと…」
「ウィリアム様、こういうのはどうでしょうか?」
「?」
★★★★
ウィリアムとマリーは行商人にふんすることにした。
城の中に行商人にふんした2人が難なく入って行く。
「マリー、よくやったな。」
「いえ、ウィリアム様の演技もなかなかのものでした。」
2人は城の中へと入ってゆく。そして、今度は兵士へとふんし、王の間へとなんの不自由なく入っていった。
「チャーリー!エリザ!そこまでだ!」
「「?!」」
「エリザ!本当の事を話してもらうわ!」
「マリー……くっ!」
「貴方が起こした奇跡の真実を!!」