聖女の真実
「貴方が起こした奇跡の真実を!!」
「奇跡の真実?どういうことだ?エリザ?」
チャーリーはウィリアムとマリーが何を言っているのかわからない。
「チャーリー様!この者たちの言う事を聞いてはいけません!!」
エリザは焦る。だが、時すでに遅し、マリーとウィリアムがここにたどり着いた時点で勝敗は決まっていた。
「エリザ!貴方は第一王子チャーリー様を仮死させたのね!」
「!」
「?!」
エリザは顔を歪ませる。チャーリーは信じられないというような顔をしていた。
「チャーリー様!奴らの言葉など信じるに値しません!」
「エリザ、本当なのか?!」
「違います!チャーリー様!どうかこの女の言う事を聞かないで……」
ウィリアムはチャーリーに詰め寄る。
「エリザは俺を脅してきた!お前を殺した罪を俺が被るようにな!そして、自分と婚約するようにと!さもなければマリーの命はない、と……な」
「?!」
マリーはその言葉に目を丸くした。ウィリアムは最初から悪ではなかったのだ。マリーを思うが故に自ら罪を被っていたのだ。
「エリザ!ここまでだ!諦めて投降しろ!!」
「くっ……くふっ」
ウィリアムの叫びにエリザは笑った。
「「「?!」」」
その瞬間、マリーが苦しみ始める。
「いや、やだ!やめて!入ってこないで!!」
「マリー?!」
ウィリアムが倒れるマリーを支える。しかし、眼を開けたマリーは別人のように変わっていた。
「ありがとう、ウィリアム。でもね、」
マリーがそういった瞬間にエリザの体が消えて消滅する。
「ふはっ!残念!貴方の愛したマリーはもういないわ!今日から私がマリーよ?」
エリザは満面の笑みでせせら笑う。
「どういうことだ?!」
「私、マリーの身体をもらったの!」
「?!ふざけるな!!マリーを返せぇ!!」
「だからー、無駄だってばー!もうあの女の意識なんか残っちゃいないんだから!ふふっ!」
「そんな……マリー……嘘だ……」
「嘘だと思う?本当よ?おばかさん?」
ウィリアムは絶望した。
「ああ、これで名実共に私が聖女になったわ!欲しいものもなんでも手に入る!素晴らしいわ!」
その場には醜い笑顔のエリザがマリーの顔で立っていた。