表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤星の抗戦  作者: 轟蓮次
4/31

侵略の幕開け4

筆者の知能の限界…どこまでやれるでしょうか?

――報道は動き始めたが、その裏に潜む真意はまだ見えない。

智之はテレビに映るニュース速報をじっと見つめていた。

『政府は侵略者との通信を試みる決定を下す』

その赤い文字がスクリーンを横切り、キャスターが穏やかな口調で内容を読み上げている。

しかし、その言葉が穏やかに聞こえるほど、背景にある緊迫感が伝わってくる。

智之は、これが果たして正しい手段なのかを確信することはできなかった。


「交渉か…敵の目的が交渉可能なものなら、政府は正しい選択をしたかもしれない。」


智之はそう呟きながら、手に持っていた携帯を握り直した。

ネット掲示板やSNSで目にした情報が頭を巡る。

交通管制の混乱、通信障害、軍の動き――それらは全て、敵の計画的な行動に思えた。

もし侵略者の目的が完全な支配であれば、交渉は単なる時間稼ぎに過ぎない可能性がある。

智之は窓の外に目を向けた。街は静かだ。深夜の時間帯も相まって、人々の生活が一時停止したかのような印象を受ける。その静けさが、彼に一層の違和感を抱かせる。


智之は再びネット掲示板にアクセスした。

一般市民から寄せられる断片的な情報が、どこかに重要な手がかりを含んでいるかもしれない。

『政府が交渉を試みるが、これは成功するのか?』

『自衛隊の動きが増えている。都市封鎖の準備か?』

『この交渉で敵がどう動くか…最悪の事態になる可能性はある。』

情報は錯綜していた。

智之は慎重に読み進めながら、特定のキーワードを探す。

政府が交渉を開始したことで、侵略者側に動きがあるかもしれない――その兆候を読み取る必要があった。


智之はそう思いながら、ネット掲示板を見つめ続けた。

政府が交渉を開始することで何が起きるのか。

彼の思考は次第に深く、静かな焦燥がその胸を占め始める。


静けさが破られる瞬間。

智之はネット掲示板の情報を読み続けていた。

その中で、誰かが「街に異変が起きている」と投稿していた。

これまでの沈黙が破られる兆しなのだろうか。

彼は不安を抱えながら、画面に集中した。

そして、その投稿が更新される。新たな目撃情報が寄せられていた。


「UFOから大量の小型ドローンが降下している!街中に飛び回っているぞ!」

「ドローンが異常な動きをしている。どこに向かっているのか分からない。」


智之は背筋が寒くなるような感覚を覚えた。

それまで静かだった侵略者が、ついに動き出したのだ。

彼は窓の外を見た。

遠くの空に小さな点が次々と現れ、それがまるで群れをなして降りてくるように見える。

その点が近づくにつれ、それが小型の無人機――ドローンであることがはっきりと分かった。

無音に近い滑らかな動きが、さらに不気味さを増している。


「何をしている…?」

智之は自問する。

その時、つけっぱなしにしていたテレビから警報音とともにアナウンサーの緊迫した声が発せられた。

『速報:侵略者が無人機を発進。政府が動きを追跡中』

智之はテレビ画面に目を向けた。このニュースを目にした人々がどう反応するのか。街の静けさが不気味に感じられる中、彼は一層慎重に動きを考えなければならないと自覚していた。


ドローンの不気味な群れは、静けさを破壊した。

智之は窓の外を見つめていた。

空を埋め尽くすように広がる小型ドローンの群れが、まるで自分たちの存在を誇示するかのように動き回っている。その動きは滑らかで、異様に統率されていた。

遠くで悲鳴が聞こえた。

智之は視線を走らせる。

街角に集まる数人の民間人の頭上にドローンが現れ、一瞬の静止の後、それは鋭く低空に降りてきた。


「なんだ…?」


智之は息を呑んだ。

ドローンが人々を包囲するように動き回り、その後、素早く何かを操作する音が響いた。

その動作はほとんど機械的で感情が見えない。

しかし、その結末は恐怖を伴っていた――ドローンが何かを発射し、民間人を拘束するような装置を展開する。


彼らは叫びながら抵抗するが、その声は無情にも機械の動作音にかき消される。

一人、また一人とドローンによって捕獲され、引き上げられるようにして消えていく。


「これは…」


智之は呟きながら、拳を握りしめた。

侵略者は人類に対する攻撃の第一歩を踏み出したのだ。

その目的が何であれ、明らかなのは、彼らが対話ではなく力で支配を試みているということだった。


政府の会議室は再び騒然となっていた。

スクリーンに映る各地の映像では、ドローンが民間人を捕獲する様子が次々と確認されていた。


「これは戦争だ!」


一人の閣僚が叫び、机を叩いた。


「冷静に!」


冴島が鋭い声を上げる。

「敵はまだ全面的な攻撃を仕掛けていない。捕獲は人類に対する心理的な挑戦だ。我々が暴発すれば、次はもっと大規模な行動を起こすだろう。」

「では、どうする?人々が捕らえられているのを放置するのか?」


閣僚たちの間で激しい議論が続く。


「まずは現状を国民に周知し、敵の意図を探るしかない。」


冴島は続けた。


「敵の行動を読み取れる者を招集し、対策を練るべきだ。」

「拐われた民間人はどうするんだ!」

「今は無事を祈るしかない」


ニュース速報が再び流れる。

『速報:ドローンが民間人を捕獲。政府は国民に警戒を呼びかけ』

画面に映るその文字が、人々の間に新たな恐怖を広げていく。


その頃防衛省内では、緊急対応が別の形で進行していた。

会議室に出席できなかった一人の高官――彼は、自衛隊に緊急発進を命じた。

彼の胸には焦燥が募り、民間人の捕獲を止めるべく、どうしても一手を打たなければならないと判断したのだ。


「防衛ラインを越えて侵略者が侵攻を続けるようなら撃墜せよ。」


その言葉が、部隊の指揮官に伝えられる。

こうして、数機の戦闘機が夜の闇を切り裂くように発進していく。

パイロットたちは、スクリーンに映る侵略者の宇宙船を目視しながら、それぞれのポジションを維持する。


「目標を視認した。」


戦闘機の先頭機が通信を入れる。

巨大な宇宙船はまるで黒い影のように夜空に漂い、その巨大なシルエットは圧倒的だった。

戦闘機のレーダーが異常を検知し続けている。

飛行物体から放射されるエネルギーは、人類の技術では計り知れないものだった。


「攻撃許可を。」


パイロットの声に応じ、地上の司令部から短い指示が送られる。


「撃て。」


ミサイルが一斉に発射される。夜空を切り裂くような軌跡を描き、宇宙船へと向かう。

しかし――その直前、宇宙船の周囲に青白い光が広がり、ミサイルを弾くような防御フィールドが展開された。


「ミサイルが効かない!」


パイロットたちは焦りの声を上げる。

次の瞬間、宇宙船から小型の無人機が大量に放出される。

ドローンたちは統率された動きで戦闘機を囲むように配置し、鋭い軌道で迎撃を開始する。


「攻撃を受けている!応援を要請する!」


戦闘機の通信が司令部に届く。

ドローンの攻撃は精密で、一機また一機と戦闘機が撃墜されていく。

パイロットたちは必死に回避行動を取るが、そのスピードと数に圧倒されていた。

防衛省の指揮官たちは、スクリーンに映る戦闘機とドローンの交戦を見守りながら、次の一手を考えなければならなかった。


「宇宙船の防御フィールドが想定以上の強度だ。通常兵器は効果がない。」


若い技術官が報告する。

その時、スクリーンに映る戦闘機が最後の攻撃を仕掛ける。

一筋のミサイルが放たれ、宇宙船の影へと突き進む。

しかし、それもまた防御フィールドに吸収されるように消えた。


「クソ…!全機撤退せよ。」


司令部からの指示が伝えられる。

夜空の闇は再び静寂を取り戻した。

しかし、その静けさは恐怖を伴っていた。

侵略者が明確に敵意を示し、自分たちの通常の兵器では太刀打ちできない…それが確定した瞬間だった。


戦場からもたらされた報告に、会議室の空気は一変した。

防衛省の通信士が緊急報告を伝えると、会議室の中はざわつき始めた。


「ミサイルが効果なし…だと?それじゃあ、どうやってあの宇宙船を止めるんだ!」


国防高官の一人が立ち上がり、机を強く叩いた。

額に浮かぶ汗が、その動揺を物語っている。


「報告によれば、宇宙船は防御フィールドを展開し、我々の兵器を完全に無効化しています。そして、小型の無人機による反撃で戦闘機が次々と撃墜されました。」


冷静を装いながらも声を震わせる官僚が、指揮所からの報告を読み上げる。


「戦力で劣ると分かっていて、なぜ攻撃命令を出したのか!」


外交官の一人が怒声を上げた。


「そんな事はこっちが聞きたい!誰が出撃を命じた!?」


防衛高官が応じ、激しい口論が始まる。

冴島はそのやり取りを見つめながら、深く息を吐いた。

慌てふためく高官たちの間で、冷静に判断する者はほとんどいない。

このままでは、決断を下すどころか、混乱が深まるばかりだ。


「静粛に!」


冴島が鋭い声を放つと、会議室の中がようやく静まり返った。


「ここで互いを責め合っても、状況は好転しない。我々が今必要なのは、次の一手を冷静に考えることだ」


彼の言葉に、他の高官たちは視線を落とす。


「だが、次の一手と言っても…どうすれば?」


一人の閣僚が弱々しい声で呟く。


「まず、敵の目的を改めて考えるべきだ。」


冴島は資料を手に取り、机に広げた。


「彼らは力を誇示することで、人類に恐怖を植え付けようとしている。我々が感情に流されれば、それこそ敵の思う壺だ。」

「だが、これ以上市民が犠牲になるのを黙って見ているわけにはいかない!」


他の閣僚が反論する。


「だからこそ、あらゆる可能性を模索しなければならない。それも迅速にだ」


冴島の声は冷静だが、そこには隠れた力強さがあった。


「短絡的な行動は、さらなる惨事を招く。それを肝に銘じるべきだ」


会議室の中は再び静寂に包まれる。そこに鳴り響くのは、スクリーンに映し出された映像の音声だけだ。宇宙船が夜空に沈黙を続ける中、地上での混乱はますます拡大しつつあった。


読んで頂きありがとうございます。

誤字脱字や感想などお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ