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#6 【それぞれの夜】

アニセカ小説大賞応募作品です。

「あぁ、眠てぇ……」

 悠希が多少の気だるさを感じているのは、夕べ一睡も出来なかったからだ。

 昨夜、亜夢から聞かされたエデンシステムズとシャドウフェイスの話が頭から離れず、気がついた時には夜空がバーミリオンカラーに染まっていた。

 バイクの後部座席から、「大丈夫?」と亜夢の声が聞こえた。

「あと少しで終わりだからな、もう一踏ん張りだ」

 悠希は数時間の睡眠でこと足りるショートスリーパーである。多少の眠気はあったものの、完徹したことにより逆にハイになっていたため、調子はすこぶる良かった。そのおかげか、予定よりも三十分程早く仕事を終えることが出来た。

 帰路の途中、悠希は様々な憶測を巡らせていた。

 亜夢が逃げ出したと話すエデンシステムズの研究施設(ラボ)。それは当然のことながら公にはされていない。つまり、隠ぺいされ秘密裏に稼働する施設だということだ。

 もしかしたら――悠希はある仮説を立てた。その施設は(ソウル)レベルの高い子供達をシャドウフェイスに拉致させて、収容していると考えられなくはないか。そして、 その中で四つの精霊に適合する魂レベルを持っていた亜夢が、エクストレジアのインプラント先に選ばれた。そして彼女は被検体ラットと呼ばれ――

「おっと!」

 赤信号、悠希は急ブレーキをかけて停車した。

「悠希、本当に大丈夫? 今日はなんかぼ~っとしてるわよ」

「わりぃ、運転に集中しねーとな……ん?」

 悠希の鼻先を(こう)ばしい香りが通過した。交差点の角にステーキハウスの明かりが目に入った。「ステーキか」

「いい匂いね、おなか空いてきたわ」

「だな。これからたらふく肉を食わせてやんよ」

 信号が青に変わった瞬間、悠希は勢い良くアクセルを開けた。

 いずれにしろ、エデンがかなりきな臭いことだけは確かだ、と悠希は思った。親父のエクストレジアの研究とエデン、そしてシャドウが大きく関わっているに違いない。これは調べてみる価値がありそうだ。


***


 大きな窓から街並みが一望できるステーキハウス。丸みを帯びた木製のテーブルと椅子、暖かい色調のウォールパネル、そして高級感のある照明が店内を照らす。

「お待たせしました。追加のサーロインステーキになります」

 一番奥のテーブル席に料理を運んできた女性店員が、新しい料理を客の目の前に置いた。そして、幾重にも重ねられた皿を回収すると、「ごゆっくどうぞ」と会釈をした。

 その客は運ばれてきた分厚いサーロインステーキにソースをかけて、フォークとナイフで肉を刻み、おもむろに口へ運んだ。半分ほど食べ進めると、粒マスタードを乗せて、更に食べ進め、あっと言う間にサーロインステーキを完食した。

 そして、一息つく間もなく店員を呼ぶと、サーロインステーキを更に注文した。

 女性店員が追加注文を受けるのはこれで十五回目だった。彼女は座っている客を見上げた。

「仕事の後は腹が減るんだ」

 客は口元を少し弛ませると、低い声でいった。

 その後、二十枚のサーロインステーキを平らげ、席を立ちレジへと向かった。

「沢山食べて頂いて、ありがとうございました」

 女性店員は客を見上げながら声をかけた。

「旨かった」

 客は一言告げ、会計を手早く済ませると、女性店員に一枚の写真を見せた。

「この娘を見たことはないか?」

 女性店員は暫く画面を見つめて、「……いえ、存じ上げません」と答えた。こんな綺麗な金髪の子、一度見たら忘れないだろう、と彼女は思った。それにこの蒼い瞳も印象的だ。

「そうか」

 客は一言呟き、店を後にした。


***


「さてと、次がラスイチだ。ちゃちゃっと回収して、ウマイ飯にありつこーぜ」

 最南部ディープサウスの繁華街にやって来た悠希と亜夢は、バイクを停めて歩みを進めた。

 夕暮れ時、これから夜の仕事へ向かう女性達の香りが、時おり風に乗って悠希と亜夢の鼻先をかすめる。

 本日最後の回収先は、繁華街のキャバクラに勤める二十代の女性が住むアパートだった。

 回収するレンタル精霊石オリジンは、通称『ジュエル』。

 その名の通り、煌びやかな装飾が施された精霊石オリジンで、機能性よりもファッション性が重視されているため、北部ノースのセレブから圧倒的な支持を得ている。

 非常に高額なジュエルは、南部ではレンタルされる割合が大半を占めている。期限内に返却されないことが多く、今回の回収先のキャバクラ嬢もその一人だ。

 しばらく歩いていると、悠希はなにやら周辺がざわざわしていることに気づいた。

「あん? なんだよ、このギャラリーは」

 目的のアパート付近に黒山の人だかりが出来ている。

 群衆の合間から視線を滑り込ませてみると、黄色い規制線の向こう側に警察官の姿が見えた。「事件か? とりあえず拓斗に連絡を……」

「ねぇ、なんでこんなにいっぱい人がいるの?」

 振り返ると、亜夢が野次馬に参加している男性に声をかけていた。

「あぁ、立てこもり事件らしいよ」

「立てこもりってなに?」

「あそこのアパートで犯人が人質をとって籠城してるってことだよ。それより、キミかわいいねぇ。どこの店の子? とりあえず僕とお茶でもどう?」

「は? お茶? あたし喉よりもおなかが空いて――」

 悠希は亜夢の腕を掴んで野次馬達から離れた。

「なによ」

「あのな、お前は訳アリなんだ。警察がいるところであんまり目立つんじゃねーよ」

「……あぁ、ごめん。じゃあ回収には行かないの?」 

「んなわけねーだろ。回収業務は一〇〇パー完遂だ」

 悠希は携帯電話で拓斗に連絡をした。

『悠希さん? どうかしました?』

「ちょっと調べてほしいことがある」

 拓斗にアパートの立てこもり事件を調べさせた結果、人質に取られているのは回収先のキャバクラ嬢だということが判明した。

「おいおいマジかよ。コイツは難儀なことになっちまったな」

「どうするの?」

 回収先のキャバクラ嬢が居る部屋は、アパートの最上階だった。悠希は亜夢と共にアパートの裏側へ移動した。

「拓斗の情報によると、警察はランブルフォースに出動要請をしたらしい。アイツらが来ちまったら詰みだ」

 アメリカから導入された、対テロリストのスペシャリストで構成された特殊機動部隊、通称ランブルフォース。

 その制圧率はほぼ一〇〇パーセントを誇り、エデンシティ最強の番犬として名高い。

 亜夢は悠希の説明に頷き、

「それならさ、捕まえた後に返してもらえばいいじゃん」

「いいや、それは不可能だ。南部の警察はマフィア並みにタチがわりぃからな」 

 南部の治安が劣悪になった理由の一つに、警察の機能が崩壊していることが挙げられる。

 市民から搾取することなど日常茶飯事。その上、ランブルフォースに制圧された場合、現場に置いてある、ありとあらゆるモノが証拠品という名目で押収されてしまう。

 そうなると、キャバクラ嬢が借りているジュエルも回収出来なくなってしまう――その事態だけは何がなんでも避けたい。

 悠希は亜夢に強く言い聞かせた。

「でもさ、どうやって部屋に入るつもり? 入り口の方はケーサツいっぱい居るじゃない」

 悠希はアパートの屋上を見上げた。

「……亜夢、背中に乗れ」

「は? なんで?」

「いいから早く乗れって、時間ねーんだから」

「もぉ……なんなのよ」

 亜夢がブツブツ言いながら渋々背中へ乗ると、悠希は腰を落とした状態で真上を見据える。

 ――ドン!

 悠希は凄まじい勢いで真上に飛び上がり、アパートの屋上へ着地した。そして、亜夢を下ろすと、屋上からベランダへ移動して、カーテンの隙間から中の状況を覗き見た。

「……どんな感じなの?」

 遅れてベランダへ降りた亜夢は、ヒソヒソ声で悠希に尋ねた。 

「……男が女を羽交い締めにして、首もとにナイフ突きつけてやがる」

「じゃあ、この窓ガラス壊して入れば?」

「それは派手すぎるし、人質が危ねーから脚下。まずは犯人から引き離さねーとな」

 悠希はエアコンの室外機の上に乗って、室内へ繋がるダクトホースを掴むと、いとも簡単に焼き切った。そして、その断面を右の手のひらで塞いだ。

 その様子を見守っていた亜夢は、首を傾げた。

「……ねぇ、なにをしてるの?」

「この部屋を、サウナルームにしてやるのさ」

 悠希自身が発熱し、ベランダの気温が段々と上がっていく。

「ふ~ん、で? サウナってなに?」

「それはまぁ……後で教えてやんよ」


***


 アパートの三階、散らかった部屋の中で男が女の耳元でささやいた。

「一緒に、死のう」

 取り返しのつかないことをしてしまった──天井を見上げながら男は悔やんだ。強盗未遂、拉致監禁、殺人未遂等、ざっと並べただけでも犯罪のフルコース。

 外は警察に囲まれているし、完全に詰んだ。だからもう死のう、自分から全てを奪ったこの女と共に。

「いや……いやぁ!」 

 首元にぺたりと張り付けられた包丁から伝わる冷たさに、女は思わず悲鳴を上げた。

 それが物理的な感触なのか、精神的な感覚なのか、恐怖に支配された女にはもう、判別することが出来なかった。

 なんでこんなことに?

 こうならないように、こうなる前にこの男を出禁にしたのに。

 狭い部屋の中で、密着する男と女の思いが交錯する。

「お願い……お願いだから離して、私には北部ノースで叶えたい夢があるの。だから……」

「夢? 他人の人生を狂わせておいて夢? ハハハ、よくそんな綺麗な言葉が、そんな汚い口から出るもんだねぇ」

「狂わせたなんて……私はキャストとして、精一杯お客さんのあなたを楽しませたじゃない」

「楽しませた? 黙れ……黙れ黙れ黙れ! おれのこと、好きって言ったじゃないか! だからおれは君を指名した! 指名し続けた!」

「確かに言ったけど、でもそれは単なる社交辞令であって、恋愛感情なんて欠片もないわ。わかるでしょ? 商売なの」

「うるさいっ! 思わせぶりな態度ばかり取りやがってこの売女が!」

 小太りの男は更にその身体を女に密着させ、首もとに突きつけている包丁を女の眼前に移動させた。

「……ひっ!」

 切っ先が女の眼球スレスレまで迫る。 

「綺麗な二重だねぇ、美容整形? おれがもっと綺麗にしてやろうか?」

「やっ! やめ……て」

 女の息が荒くなっていく。密着するその背中は汗でびっしょりだ。

「なんか……暑いな」

 女の汗は恐怖から滲み出た冷や汗かと思ったが、どうやら違う。部屋の室温がどんどん上がっていることに男は気づいた。

 吸い込む息が熱を帯びている──まるでサウナようだ。 

 男は立ち上がると、女の髪を鷲掴み、引きずりながらエアコンの真下へ移動した。

「いっ……たぁああい! 離して!」 

「うるさい! 黙ってろ!」

 エアコンから熱風が吹き出ている上に、何となく焦げ臭い。プラスチックを燃やしたような刺激臭が鼻をついた。

 故障か? 

 男は熱風をかいくぐり、エアコンの電源を切った。そして、カーテンを少しめくって外の様子を伺った。しかし、異常はない。 

 暑さと臭気に耐えかねた男は、施錠を解き、窓を開けた。

「……はぁあああ」

 新鮮な空気が男の顔を吹き抜ける──

 あまりの心地よさに、何度も深呼吸を繰り返した後、ふと、ベランダの左側に視線を移した。

 見上げると、室外機の上に男が立っている。

 赤いレザージャケットを羽織った、赤髪の紅い瞳の男と目が──合った。

「……よぉ、ととのったか?」


***


 ベランダの窓を開け、顔を出した男。

 悠希は左足を振り上げると、男の口元目掛けてエンジニアブーツの爪先を思いきり蹴り下ろした。

 ゴキン!

「ぎょぶっ!」

 鈍い音と共に男は仰け反り、そのまま床に後頭部を打ち付けた。

「邪魔するぜ」

 悠希は土足で室内に入り、ベランダの奥で待機していた亜夢に手招きする。

「あーあ、前歯折れちゃってるよ。やりすぎじゃない?」

「あん? ランブルフォースに踏み込まれたら前歯だけじゃ済まねーよ。全身複雑骨折に比べたらマシだろ」

 悠希は床に転がっていたガムテープを拾い上げると、失神している男を後ろ手にして縛った。

「これでよし。さて……」

 唖然とした表情で床に四つん這いになっている女の前に、悠希はしゃがみこんだ。

「どーも。アンタがレンタルしてるジュエルの返却期限が三ヶ月以上過ぎてるんで、回収に来ました。レガリアの者です」

「……え? あの、ええっと」

 女は理解が追い付かないのか、困惑した様子でオロオロしている。

「おい、時間がねーんだ。さっさとジュエルを出せ。ランブルフォースが来ちまうだろうが」

 女は四つん這いのまま、物が散乱したリビングを手探りする。

「ったく……亜夢、手分けして捜すぞ」

 数分後──

「悠希、コレ?」

 亜夢から手渡された小さな箱の中身を確認すると、華美な装飾に彩られた精霊石オリジンが納められていた。

「お手柄だぜ亜夢。よし、今日の仕事は終わりだ。帰るぞ」

「……あっ、あの」

「なんすか?」

「助けてくれて、ありがとうございました」

「こんなのジュエルを回収出来ないことに比べりゃ、お安い御用っすよ。あ……請求書」

 

【請求書】

■レンタル料(日割り)三万円

■延滞金一五七万円

■手数料、その他雑費三十五万円

合計一九五万円也

有限会社レガリア


「……はい?」

「エアコンの修理代十五万円は雑費から引いときました。後で同様の通知が届くんでよろしく」

 悠希と亜夢は速やかにベランダから部屋を出て行った。


***


「凄い……南部サウスにもこんな場所があるのね」

 普段、仕事ではあまり通ることのない街並みには、お洒落なカフェやレストラン、高級ショップが立ち並び、モダンなファッションに身を包んだ老若男女が闊歩(かっぽ)していた。

 すっかり日も落ち、色鮮やかな看板や、煌びやかなイルミネーションが街路を彩る中、バイクで進んでいくと、やがて高層ビルや高級ブティック、タワーマンションが立ち並ぶエリアに差し掛かった。

 悠希は目的のタワーマンションの地下駐車場にバイクを滑り込ませると、駐輪場に停めた。

 二人は高級車が数多く泊められた駐車場を通り抜け、一面大理石で出来た天井の高いエントランスの先にあるエレベーターに乗り込んだ。

 ここはミラージュのオーナー、葉月涼子が住むタワーマンション。今夜は最上階にある涼子の部屋で、亜夢の歓迎会が開かれる。

 賭け試合で儲かった配当金で、亜夢の歓迎会を開こうと提案したのは悠希だった。当初、歓迎会は事務所でやるつもりだったが、「是非、私の家で!」という涼子の強引な一声で、会場はここに決まったのだった。

「やぁ、お疲れさま。遠慮なく上がってくれたまえ」

 涼子の先導で玄関を抜けてリビングに入ると、窓一面に広がる夜景が、亜夢の目に飛び込んできた。高層ビルの灯りが点々と輝いて、北部と南部を分け隔てる分界線が一文字に煌めく。

 亜夢が窓際で棒立ちになって見惚れていると、準備のために先に来ていた拓斗が出迎えた。

「二人共、お疲れさまでした。もう少しですから、待っててください」

 

*** 


「おい亜夢。塩タンばっか食い過ぎだぞ。もっとバランス良く食えよ」

 生まれて初めての焼き肉を頬張った亜夢は、「お……美味しい。何コレ」と、感嘆の声を上げたのを最後に箸を止めることなく、一心不乱に焼き肉を食べ進めていた。

「そう言う悠希さんもハラミばかり食べ過ぎですけどね。二人共、もう少しまんべんなく食べてくださいよ~。焼き肉以外にもオードブル用意してあるんですからぁ」

 拓斗が呆れた様子で悠希と亜夢をたしなめると、泥酔した涼子が乱入してきた。 

「悠希ぃ、食べてる~? 胃が爆ぜるまで食べてねぇ」

「おい、酒くせーよ。まだ始まってから三十分も経ってないのに、ワイン何本飲んでんだ?」

「フフ……そういう悠希も既にニンニクくさ夫じゃないかぁ」

 赤ら顔の涼子は目を据わらせて、悠希に迫った。

「うぜぇな」 

 悠希はあきれ顔で涼子を眺めた。

 涼子は普段着ている白衣から一変し、パッションピンク色のワンピースに着替えていて、すっかりリラックスモードだ。普段の怪しい闇医者ルックとは真逆で、プライベートではカワイイ服や小物が大好きというギャップが、彼女の変態性を物語る。

「たまにはハメはずさないとぉ、赤髪が黒髪になっちゃうぞ」

「うるせぇ! 余計なお世話だ!」

 涼子は悠希にクダを巻き続けながら、手に持つワイングラスをグロスが煌めく薄紅色のルージュで潤った唇へ運んだ。

「あ~ん、おいし」

「酒ばっか飲んでないで、涼子さんも焼き肉食えよ」

「私はいつ如何なる時でも食べられる身分だから気にするな」

 涼子は笑顔でそう悠希に告げて、テーブルに置いてあるワインボトルを手にとり、グラスへ注ぎはじめた。

「ちっ、アコギな商売で儲けて、こんなとこに住んでる成功者から見たら、『はした肉』ってか? このサケノミホマレ」

「ハハハ、私が所有する競争馬の名前で呼ぶのはやめてくれ」

 涼子は注いだばかりのワインをグイッと飲み、「確かに、この赤紫色の液体は、世間一般の常識では紛れもなくお酒に分類される。しかし、私にとってこれは単なる葡萄ジュースに過ぎない。何故なら、私の内臓機関は取り込んだアルコール成分を、ものの数分で分解出来る機能を持っているのだ」

「そのくだりは聞き飽きてんよ。それよりも、エクストレジアについて何か解ったことはねーのか?」

「あるよ」

「あんのかよ」

「それはまた後で話す。ワインのお代わりを注いでくれ」

 涼子は悠希の目の前にワイングラスを掲げた。

「あん? 今新しいの持ってきたばっかじゃねーかよ。つか、自分で飲めばいいだろ」

「手酌ばかりでは寂しいじゃないか」

「仕方ねーな、一杯だけだぞ」

 ワイングラスに赤ワインを注ぐと、涼子は喉をごきゅごきゅと鳴らしながら、注がれたばかりの赤ワインを一気に飲み干し、「ん~……おいしぃ」と、酒気の交じった吐息を漏らした。

「ピッチ速ぇわ。つか、このワイン一本いくらするんだ?」

「八十万ぐらいだったかな?」 

 その値段を聞いた瞬間、悠希は驚くどころか呆れて一気に冷めた。

「……ちょっとトイレ行ってくるわ」


 トイレを済ませた悠希は席に戻らず、夜景が煌めく窓際に並べられたオードブルを品定めした。

 カニとシーフードのサラダにトリュフと鶏肉のパテ、野菜とチーズのタルト、魚介と野菜のグリルなどなど、高級店顔負けの料理が皿に盛り付けられている。

「お。これ、伊勢エビか? すげーな」

 取り皿を手にした時、「悠希さん」と拓斗に声をかけられた。

「あん? お前どこ行ってたんだよ?」

「酔っぱらう前の葉月さんに許可を得て、PCルームで少し作業をしてました。お見せしたいモノがあるので、ちょっと来てもらっていいですか?」

 悠希は廊下を抜けた先のPCルームで、拓斗にモニターを見せられた。

「コレ、エクストレジアじゃねーか」

「そうです。分析データをお借りしました」

 画面にはMRIのデータを3D表示した画像と、詳細がびっしりと表示されていた。

「数字やら記号の羅列はよくわかんねーけどさ、これに四大精霊が封入されてるなんて驚きだな」

 拓斗は興奮を抑えきれない様子で、

「幼い頃から様々な精霊石を研究してきましたけど、こんな神話級に出会えるなんて夢にも思っていませんでした。本当にこれは奇跡ですよ」

「それで、見せたいものって何だ?」

「ええ、エクストレジアの刻印なんですけど」

 拓斗はズームで刻印を拡大させた。「この刻印、六芒星ヘキサグラムを模しているんでしょうけど、封入されているのは四つの属性なんですよね。おかしくないですか?」

「どういう意味だよ」

「仮説ですが、この刻印は封入出来る精霊の数を示したモノなんじゃないかと」

「数?」

「はい。エクストレジアに封入されている属性は、火、水、風、土の四種類です。この刻印がそれぞれの属性に対応しているとしたら、後二つ……封入可能なのでは?」

「お、おぉ……確かに」

「まぁ、所詮精霊石オリジンオタクの仮説でしかないので、あまり真に受けないでくださいね。あと、これはまた別の話しなんですけど、今朝、他店のバイヤーと精霊石オリジンの仕入れ情報を話していた際に出た話題なんですが、繁華街で殺人事件があったそうですよ」

「そんな事件、日常茶飯事だろ」

「いや、死体に首が無かったそうなので」

「首無し死体?」

「ええ。少し気になったのでネットでその事件を調べてみたんですけど、その事件に関する情報が一切なかったんですよ。たとえ治安が劣悪だとしても、首無し死体が出たら流石にローカルニュースに記事の一つぐらい載ると思いません?」

「確かに、そうだな」

「警察が捜査上問題が発生するのを懸念して報道規制をしているのか、あるいは……」

 拓斗が続きを言いかけたその時、涼子が突然現れた。

「な~にしてんのぉ」

「おい! 抱きつくんじゃねえよ!」

 悠希は背後から突然抱きつかれて思わず声を上げた。

「私も交ぜてよぉ」

「胸グリグリすんじゃねぇ! 燃やすぞテメー!」

 横っ面に胸を押し付けられた悠希は、拓斗に鋭い視線を送りつけ、助けを強要した。

 拓斗は咳払いをして冷静に、

「葉月さん、戯れはその辺りでやめてあげてください。悠希さんが圧死します」

「え~、仕方ないなぁ」

「あのなぁ、酔っぱらいすぎだ。アルコールを瞬時に分解出来る内蔵機関じゃねーのかよ? 逆セクハラで訴えンぞ!」

 悠希はようやく解放されて安堵した。

 涼子は火照った顔で、

「ねぇ、今日ここに泊まってかない?」

「泊まらねーよ! つか、さっき言ってたエクストレジアに関する情報、早く教えろ」

「つれないなぁ、わかったわよ。あれはね、オリハルコンだったの」

「……オリハルコン? なんだそれ」

「地球には存在しない鉱石で、エルフみたいな妖精を召喚すると、稀に採取できるんだ。エクストレジアは、そこに結晶化した四大精霊が封入されてるんだけど、精霊が住む世界の物質だからなのか、他の精霊に対して特殊な引力が発生している可能性がある」

「特殊な引力……か。そう考えると、あの時、精霊石オリジンから亜夢が魔力を吸いとったことも合点がいくな」

(さっき拓斗が分析した六芒星(ヘキサグラム)にも関連してるかも知れない)

 悠希は二人に、亜夢が魔力エーテルを吸収した一件について話し、さらに昨晩亜夢から聞いた話を伝えた。

「マジですか……それが本当なら、エデンってめちゃくちゃきな臭い企業じゃないですか」

「ふむふむ、闇バイヤーからエデンはヤバイという話を今まで何度か耳にしたことはあったけど、研究施設ラボの話は初耳だな」

「この話を踏まえて涼子さんに頼みがある。エデンの研究施設ラボのこと、もう少し詳しく調べてほしい」


***


 南部サウス、繁華街の高級クラブ。店の奥にあるVIPルームは、禁断の領域を示すように暗く、妖しい照明が揺らめいている。

 その一角にシャドウフェイスのボス、アレクサンドル・ボルドーが重厚なソファに身を委ねながらフルーツを嗜んでいた。

 黒ぶち眼鏡に白髪交じりの頭髪、無精ひげ、小太りの躯体。どこからどうみても普通を極めた初老男性。季節感を無視するアロハシャツが唯一の個性だが、威厳や貫禄といったマフィアのボスをイメージさせる要素は微塵もない。

「うん、とてもジューシーだね」

 ボルドーは無邪気な子供のように葡萄を手掴みで頬張る。その最中、見張りの手下達に案内されて痩駆な影が姿を現した。

「ご無沙汰しております、ボルドー氏」

「おやおや、ミスターナイトじゃないか。君が姿を見せるなんて、珍しいね」

「ええ、エンジェルが逃亡した件について、お伺いしたいことがありまして」

「なるほど。まぁまぁ、そんなところに突っ立ってないで」 

 ボルドーはナイトに着席を促した。「エンジェルの捕獲にはウチの『エース』を向かわせてあるはずだが、なにか問題でも?」

「それ以前の問題ですよ。綾瀬氏は自身の失態を隠蔽するため、独断でエンジェルの捜索をあなた方に依頼した……この私を介さずにです」

 ボルドーは柔和な表情のまま、葡萄を食べる手をピタリと止めた。

「不満かね?」

 僅かに声色が低くなった。機嫌を損ねたか――ナイトはそう察しながらも続けた。

「私のコネクションとリソースは広範囲、様々な困難に対処するためのツールとなることは、もはや説明不要。にもかかわらず、今回の一件を綾瀬氏から直接承けた理由を伺いたいのです」

 暫しの沈黙が流れ、部屋に緊迫した静寂が漂う中、ボルドーは静かに頷いた。

「エデンの二代目CEO、丈一郎氏には生前、世話になっていてね。息子の喜一郎君から直接依頼を受けたのは、その恩義があったからだよ」

「……そうですか。ならば私も今回に限り、目を瞑りましょう」

 返答次第では、シャドウフェイスと対立することもやむを得ない覚悟だったが、ナイトは目を細め、ボルドーの言葉を受け入れた。

「君に黙って承けたことはすまなかった。そのお詫びといってはなんだが……」

 ボルドーが側近に指示すると、手下の若い衆がファイルを丁寧にナイトへ手渡した。

 そこにはエンジェルの足取りに関する情報、画像が整然と収められていた。

 ナイトは一枚一枚細部まで丁寧に目を通し、重要な情報を吟味していった。

「たったの数日でこれだけ正確な情報を得るとは、流石は南部サウス最大のマフィア組織……感服致しました」

「捕獲したあとの裏ルートも、既に全て押さえてある。明後日にはエンジェルをエデンの研究施設へ届けられるだろう」

 ナイトはファイルを閉じ、ボルドーに眼を向けた。

「この情報は、とても重要な価値を持ちます」

「ハハハ、有能なフィクサーに褒められるのはなんだか気恥ずかしいな」

「エンジェルの身柄確保と同時に、この機会を利用して邪魔になる『不穏分子』を一掃しましょう。勿論、私の能力とリソースも最大限に駆使して尽力致します」

 ナイトの申し入れに対して、ボルドーは満足気な微笑みを浮かべ、葡萄を一房手に取って差し出した。

「ミスターナイト、君には期待しているよ」


***


「お疲れ様です」

 運転手はナイトの表情をバックミラー越しに伺った。「嬉しそうですね」

「わかるかい? 面白そうな情報を仕入れたんだ。わざわざ南部まで足を運んだ甲斐があったよ」

 ナイトは携帯電話で通話を始めた。

「私だ、内偵を依頼したい。対象者はシャドウフェイスの『掃除人スイーパー』と、レガリアの『代表』についてだ。詳細は追って送信する」

 速やかに通話を終えると、アームレストの中から葉巻を取り出して火をつけた。

「……綾瀬はそろそろ始末すべきか。首をすげ替える時期が来たのかも知れんな」

 そう呟くと、流れゆく車窓を眺めた。

 悠希・アルヴァレスか――葉巻をくゆらせながら、ナイトは口角をわずかに上げた。

(久しぶりに好奇心を掻き立てられる人間に出会えたな)


***


「……なぁ、なんかオイシイ儲け話ないか?」

「そんなのがあればとっくにやってますって。どうしたんですか?」

 深夜、パトカーに乗る二人の若い警察官が、南部サウス郊外の河川敷をパトロールしていた。

 眼鏡の警察官は、運転席に座る細身の警察官の問い掛けにうなだれた。

「競艇でボロ負けした」

「それはそれは、ご愁傷さまです」

「年の瀬も近いっていうのに、このままじゃ年を越せるかどうか……」

 深々とため息をつくと、細身の警察官は「先輩」と身を乗り出して、

「そんなこと言っても同情は買わないですからね。僕だってカツカツなんですから」

「そうだな。お前もキャバクラ通いで金溶かしてるもんな。金欠はお互い様か……ん? おい、アイツあんなところで何やってんだ?」

 眼鏡の警察官は窓の外をあごで示した。

「こんな時間に怪しいですね。職質、かけます?」

「そうだな、久しぶりにバイトするか」

 二人は橋の手前でパトカーを停めて降車すると、フラッシュライトの明かりを頼りに舗装路を歩いていった。

 川べりを照らすと、黒いコートを着た長身の大男が立っているのが見えた。

 二人の警察官はアイコンタクトでお互いの意思を確認すると、舗装路を下って、大男に近づいた。

 大男はフラッシュライトの光を当てても、それに気が付いていないかのように川を見つめている。 

 そこへ細身の警察官が声を掛けた。

「警察だ。こんな時間に何をしてる?」

 大男は身体をくの字に曲げて、左手で小石を拾い上げると、アンダースローで月明かりに照らされた川へ向かって投げた。

 小石は水面を五回跳ねた後、川の中へ沈んでいった。

「久しぶりにやると、上手くいかないな」

 大男はそう呟いて、もう一度小石を拾い上げた。

「おい! 聞こえてないのか⁉」

 眼鏡の警察官が大声を上げた。


 大男はその問いかけも無視して、「今度はもう少しクイックモーションで」と言いながら、より無駄のないフォームで小石を投げた。

「九回か……なかなか上手くいったな。やはりこの遊びは実に奥深い。こういったシンプルな競技こそ、オリンピックの種目にすべきだと思うのだが――」

 言葉を切って、二人に身体を向けた。「アンタ達はどう思う?」

 大男の顔がフラッシュライトに照らされた。

 襟足とサイドが刈り込まれたシルバーの短髪に丸型のサングラス。頬に彫られたトライバル柄の刺青タトゥーが大男の風貌の不気味さを際立たせている。

 二人は大男の威圧感に気圧され、一瞬怯んだが、細身の警察官が気を取り直して「おい、質問してるのはこっちだ。身分証を提示しろ」と返した。

「身分証か……すまないな、そういったモノは持ち歩く習慣がないんだ」

「ほぉ、このエデンシティで身分証不携帯とはな。お前、マフィアか? どこの組織だ?」

「オレは息抜きに散歩をしていただけだ。個人情報など話す必要性はない」

 細身の警察官は、腰のホルダーから特殊警棒を取り出して、大男の眼前に突き出した。

「拒否か……いい度胸をしているな。これは立派な公務執行妨害だぞ?」

 眼鏡の警察官が間に入り、「まぁ待て」と、威嚇する細身の警察官をたしなめた。

「なぁ、アンタに選択肢をやるよ。このまま逮捕されるか、散歩を続けるかの二択だ。但し、後者を選ぶなら、多少経費はかかるがな」

 職質をかけ、相手が怪しい行動を見せたら『チップ』次第で見てみぬふりをする――これは彼らが日常的に使用するいつもの手口だった。特に、違法魔封石や薬物を所持している人間には効果的で、こづかい稼ぎのカモとなっている。

「そうか、ならば前者を選択しよう」

 大男は表情を変えることなく言った。

「なんだと?」

「前者でいいと言っている。さぁ、逮捕してみせろ」

 予期せぬ選択に、二人の警察官は顔を見合わせて戸惑う。

「ちょ、先輩どうします?」

「どうするも何も、こうなったらしょっぴくしかないだろ。コイツを拘束しろ」

 細身の警察官は手錠を取り出した。

「両手を前へ出せ」

 大男は「こうか?」と、無抵抗で両手を差し出した。

 あまりに素直な態度に戸惑いながらも、細身の警察官は大男の両手首に手錠を掛けた。

 拘束された大男は手錠を見つめている。

「おい、行くぞ。ミッチリ絞ってやるから覚悟しとけよ」

 バキン!

「は?」

 大男は手錠の鎖を引きちぎった。いとも簡単に、まるで玩具のように――

「壊れてしまったな。さぁ、どうする?」

 大男は驚嘆する二人の警察官に両手を差し出し、「どうした、逮捕しないのか?」

「きっ……貴様ぁ!」

 細身の男は特殊警棒を大男のアゴ目掛けて思いきり振り下ろした。

 ベギン!

「え? えーーーー⁉」

 特殊警棒がひん曲がった。

 眼鏡の警察官は、反射的に腰のホルスターから拳銃を取り出すと、大男に銃口を向けた。

「動くな!」

 だが、実際に動けなくなっていたのは、拳銃を構えている彼の方だった。

 どうする?

 ここからどうする?

 相手は手錠を引きちぎる腕力に加え、特殊警棒を破壊する強靭さを持っている。威嚇射撃や致命傷にならない箇所を撃ったとして、はたして制圧することが出来るのだろうか?

 彼の防衛本能が選択を模索する最中、大男はおもむろにサングラスを外した。

「――⁉」

 大男の爬虫類のような三白眼と目が合った瞬間だった――眼鏡の警察官の全身の毛という毛は総毛立ち、拳銃のグリップを握る手からは、尋常ではない量の汗が吹き出てきた。

 大男は眼鏡の警察官を見据え、話し始めた。

「撃つもよし、撃たぬもよし。それはお前の自由だ。しかし、銃口をオレに向け、引き金に指をかけている事……それが何を意味しているのか? よく考えて決めろ」

 眼鏡の警察官の脳裏に、これまで対峙した窃盗犯や強盗犯の姿が過った。

 今まで、どれだけの現場で彼らに銃口を向けてきただろうか。そのいづれも、相手は両手を開き、両腕を頭の上にあげて降伏の意思を示してきた。

 拳銃を構えている時、自分は無敵なんだと、誇らしくなった。

 しかし、それは勘違い、錯覚でしかなかったのだ。

 銃口を向けているにもかかわらず、逆に選択肢を与えられる側になっているという事実がそこにあった。

 目の前の大男は、言うならば知能が人間並みに発達した猛獣。自分はそれと対峙しているのだと、彼は悟った。

 引き金を弾く選択肢、これは既にない。ありとあらゆる最悪の未来が待っているとしか思えない。

 残る選択肢は、拳銃をどうするか?

 ホルスターに戻す、投げ捨てる、地面にそっと置く。その後、ホールドアップすれば何事も無くこの場から立ち去れるのだろうか? 否――そうではない。

 大男が発した言葉の意味、そしてこちらが銃口を向けている意味を考えなければ、無事では済まない。

 幼い頃、彼は道路へ飛び出して車に轢かれそうになったことがあった。中学生の頃には、ギャングに絡まれ、命を奪われそうになったこともあった。

 唐突に目の前に現れる命の危機の数々――それら全てを凌駕する存在と、今自分は対峙している。

 彼は銃身を持ち直すと、グリップを大男に向けて、拳銃を差し出した。

 導き出した答え、それは大男に拳銃を手渡すことだった。警察官として完全なる降伏を意味する行動だ。

 大男は差し出された拳銃を受け取った。

 眼鏡の警察官は大男に背を向け、呆然と立ち尽くしている細身の警察官に声を掛けた。

「異常なし、戻るぞ」

「せ、先輩、いいんですか? 拳銃……」

「聞こえなかったか? 異常なし……だ」

 二人は何事もなかったかのように河べりを登り始めた。

 署に戻ったら、拳銃を紛失した旨を上司に報告しなければならない。勿論、虚偽の報告だ。大問題になることは確実。もしかしたら懲戒免職になる可能性もある。

 だが、そんなことはどうでもよかった。そんな『程度』で済まされるのなら安いものだ、と眼鏡の警察官は思った。

 命があるのだから。

 拳銃を手渡したことに、何一つ後悔はない。

 命があるのだから。

「いい選択だった」

 背後から大男の言葉が聞こえた瞬間、眼鏡の警察官に真の安堵が訪れた。


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