第一話「轟音」
「いってきまーす!」
元気な声を出して少年はいつも通りの一日を始める。
「早く行かないと遅刻じゃない?大丈夫?」
「大丈夫。走れば間に合うから!」
白眼 颯-小学5年生。
遅刻の常習犯である。
「おーい、はやてー早くいかねぇとまた校長に怒られるぞー」
階段の下には颯の親友、柧 智也がいつものように颯を待っていた。
智也は颯が階段を駆け降りるとすぐさま逃げるように学校へ走った。
「先行ってるから走って追いつけよー」
颯も智也を追いかけるように学校へ急いだ。
だが颯が走り出した瞬間...
「ドッゴォォォォォ!!!」
颯のすぐ後ろで轟音が鳴り響いた。
颯が驚いて振り向くとさっきまで生き生きと立っていたきが一刀両断されたかのように切れて倒れていた。
「うそだろ...」
颯は遅刻ぎりぎりだったので見て見ぬふりをして学校へ急いだ。
「キーンコーンカーンコーン」
校門をくぐり抜けるとチャイムが鳴り響いた。
いつものように教室へ入りクラスメイトと話したり授業を受けてお昼の休み時間になった。
「おーい颯、遊びに行こーぜ!」
いつもの遊ぶ友達に言われたが颯の頭の中は朝の木の件のことでいっぱいだったので聞こえていなかった。
「何で木がいきなり倒れたんだ...?」
そのことをずっと朝から考えていた。
「おい颯。はよ行かないと置いてくぞ!!」
といつも遊ぶ友達、彼草 志郎が言うと颯はようやく気づいた。
「あごめん。考え事しててつい...」
「大丈夫。早く遊びに行こーぜ!!」
とその瞬間...
「ドッガッシャッァァァァァァァァン!!!」
別校舎からとてつもない鼓膜が破れるような轟音が鳴り響く...
土埃がおさまっていくと颯は恐る恐る別校舎を見ると一気に顔面が青ざめた。
「なっ...あれは...?」