表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/29

イルス

魔獣の件から数日が経ち、村も復興が進んできた。


「シンヤ、お願いがある」


シンヤは魔術師のケーブに呼ばれた。


「ケーブさんどうしました?」


「お主これから町に買い出しに行くんだろう? その時に、わしの息子のリッグにこの手紙を渡してくれ。あと、困ったらリッグに頼れ」

「わかりました」


シンヤは今日の夕方に、この村の統治を任されている都市、イルスに出発し、足りない薬や道具を買いに行くことになっていた。


シンヤは準備をして、シルフと共に玄関の前に出る。チャークやジン、それにマリカも見送りをする為に家から出てくる。


「シンヤ、町の人は冷たい人が多い。気をつけろよ」


チャークから忠告を受ける。チャークの目はまっすぐとシンヤの目を見ていて、真剣さが伝わってくる。


「じゃあ、行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

「気をつけてね」

「いろいろとお願いね」


そんな見送りの声も少しづつ聞こえなくなっていく。


──数時間が経ち日が落ち始める。野営をし、ウサギを狩って今夜の食事にする。


「ほら、シルフ」


シルフには木のボウルに焼いたウサギ肉の半分をあげ、シンヤはミートスープにし、パンと一緒に食べる。


「ゴクッ──あぁ、うまい! シルフ、どうだ?」


シルフは短く吠え、シンヤに応答する。


「あぁ、そうか! よかった。よかった」


夕飯が終わったら、することも無くすぐに、床に就く。


──朝日が登り始める頃に、出発する。


かなり時間がかかったが、昼になる前にイルスに着くことができた。


「シルフ、先に道具を買って、リッグさんの所に行こう。帰りに薬だな」


イルスの外側は石レンガの壁で内部が見えない。シルフと共に高い壁の門をくぐる。イルスの街並みは赤いレンガ造りの家が立ち並び、白いレンガを敷き詰められ、作られた大通りにはたくさんの人が歩き、店はいくつもある。


その通りを真っ直ぐ行った所に小さな城があった。小さいと言っても、城門前には川が流れており、白いレンガの橋がかかっている。高さは四階程あり、それよりも高い塔のような建物もある。そんな城だ。


大通りを少し進み、十字路で曲がり少し狭くなる道に鍛冶屋の看板をみつけ、片開きのシンプルだか、清潔感のあるドアを開けて中に入る。その店には、剣に盾、弓にナイフなど様々な武器が価格札と共に並べられている。


そんな武器を横目にカウンターに進む。


「おーい、誰かいるか!」


奥からガタイのいい男がでてきた。その男の容姿は、頭は黒い短髪で髭も少し出ていた。


「お、何の用だ」

「斧四本とハンマーを七個、売って欲しい」

「あー、待ってろよ」


男はカウンター下からハンマーが入った箱を取り出し、奥の部屋から斧を五本持ってくる。


「好きなものを選べ」


シンヤは必要な数を手に取り、銀貨と銅貨を出す。


「あぁ、そうだった」


シンヤは店を出ようとする足を止め、口を開く。


「ん? どうしたんだ?」

「リッグ・リーグっていう男を知ってます?」

「リッグとは俺のことだが、何か用か?」

「リッグさん、ケーブさんがこれを」


シンヤは驚きながら、手紙を渡す。


「おぉ、ありがとよ! お前さん名前は?」

「俺の名前はシンヤ・ギルグット。こっちの狼はシルフです」

「シンヤ、奥で休んで行け」


そう言って、シンヤとシルフを案内するように店の奥に入っていく。


奥には物置があり、たくさんの武器や道具が保管されている。リッグは物置の更に奥にあるドアを開き、シンヤ達を入れる。その部屋はキッチンダイニングで長方形の机があり、椅子が四つ並べられている。


「そこで休んでいいぞ。少し待ってろ、飲み物を出してやる」


そう言ってキッチンの方へ移動し、作業を始める。シンヤは言われた通り、椅子に座り、シルフは足元で丸く寝る。


「コーヒーで大丈夫か?」

「コーヒーで大丈夫です」

「成人したばかりということは、お前今、15歳か?」

「はい」

「15にしては落ち着きがあるな」


そう言いながら、両手に持ったコーヒーを机に置き、シンヤの正面に座る。


「すまない。今、読ませてもらう」


リッグは手紙の封を開け、手紙を読み始めた。


──しばらくして、リッグが口を開ける。


「少し待ってろ」


リッグは物置から袋を取り、机に置く。置かれる際、袋からは金銭の音が聞こえた。


「これをやる」


中身を見ると、中には銀貨十数枚と銅貨が数十枚入っていた。


「こんなに、どうして?」

「俺の父さんがお前を助けろと。父さんが言うには、お前の父さんと仲が良くて、お前のことを孫だと思っとるらしい。だから、俺とお前は叔父と甥っ子の関係だと思って、何でも頼れよ!あと、楽にしていいぞ」


そう言って、歯を見せて大きく笑う。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


そう言って、袋を手に取る。


「薬は裏の通りにあるぞ。飯を食べてから行け。用意してくる」


リッグはキッチンに行き、何かを作り始める。


「あぁ、シンヤ、外に出たらなるべく早く、この町を出ろ。あまり、いいとこじゃないぞ」


そうリッグが話しているうちに、トーストのようなものとスープが机に配膳される。シルフには、肉の燻製と、何種類かの野菜を細かく切って炒めたものが出される。


「ほら、よく食べろよ。シルフお前もな」

「おぉ、これ美味しい!」


その料理のメインは、カリッとしたパンに溶けたチーズと香辛料がかかっており、ピリッと辛いトーストで、スープには野菜がゴロゴロ入っており、野菜の甘みがよく出たスープだった。


「だろ!」


リッグはものすごく嬉しそうな顔をする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ