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例えば、ファーストキスの相手がXXXだった時

好きって感情は難しい、思いを伝えるだけが好きの表現ではないと私は考える。

その日竹蔵優樹は、かつてないピンチを迎えていた。

信じられないことだが実は彼女は2日前まで『男の子』だったのだ。

体は女の子、心は男の子という不安定な状態である優樹だが、状況は更に彼女を追い詰めていた。


性転換したというこの事実がなによりも問題だった。

手術をしたのでもなく、ごく自然に、当たり前のように、目が覚めたら体が女になっていたのだ。

勿論心辺りなどある訳もない、一昨日の不思議な声がその原因だという根拠などどこにもないのだから。


昨日は親友である慎二との約束を破る訳にもいかずカラオケに行って、結果的に美紀やその他三人と友人になれて浮かれていた優樹だったが、ぶっちゃけ浮かれている場合ではなかった。


当然だが優樹は女性用の服など持っていない。

では何を着るのか?

現在はパジャマを着ているが男だった時とは体のサイズに差がありすぎて、とてもではないが快適とは言えない。


―――というか学校は?父さんにはなんて言おう?


というかお年頃の少年の体をいきなり興味対象そのものに変えられても困る。

自分の体を弄って見たけど楽しむなんてとてもじゃないけど無理だった。

感度が良すぎるのもそうだがもの凄く恥ずかしいことに気付いて2時間程毛布に篭ってしまったくらいだ。

だからといって、他の女の子の体を弄りたいといっても今のなりで女の子とピ──な事をしたら同性愛者になってしまうじゃないか(肉体的に)!!


それだけはなんとしても避けたいところだ(倫理観的に)。

しかしだからといって男に抱かれるのか俺・・・?




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


―――チーン



「ワアァアアアァァアアッ!!!?」


あり得なさすぎる。まずい想像しただけで、大寒波が来た。

鳥肌立ちまくりだよ、ともかくだまずは行動しないとな・・・。


でもなぁ・・・今の俺って傍目から見れば美少女なんだよな、それも一級品の。


ハーフだと大抵の奴は美麗衆目だからな~・・・。俺はクオーターだけどさ。

まぁ・・・俺は例外だったけど、しかし見れば見るほど死んだ母さんそっくりだな・・・。


自室の机の上に立て掛けられた写真立ての中で笑顔でこちらに手を振っている俺の母さん『セシリア=竹蔵』。

物心ついた頃にはもう亡くなってたから、全く覚えてない筈なんだけど・・・。

不思議と優しい人だったんだろうなと思う。写真の中の母さんは赤子だった頃の俺を抱いて本当に幸せそうに笑っていた。


俺の父さんは本当、素晴らしい人を嫁にもらったよな・・・。


「さて、出掛けるか」


グズグズしている暇はない、とりあえず今日の目当ての物は衣服類だ。

さぁて・・・気合い入れて頑張るか!


思いたったが吉日とも言うしな、タンスの引き出しを引っ張り、中から適当な服を身繕う。

男物だけどそれほど違和感がないように身支度を整えた俺は、ガス、電源、窓の鍵をしっかりとチェックする。


準備も終わり運動靴を履き、いざ出発!・・・となる筈だったんだが・・・。



―――扉を開けたそこにはサングラスとマスクに帽子を目深に被った、どう見ても不振な中年男性が立っていた。








****************************







side:「???」



A駅の改札口から出た私は指を絡めて、頭上で軽く伸びをする。

都会にしては意外と空気の良い場所であるのは私にとって喜ばしいことでした。


「ふふふ・・・約10年ぶりでしょうか?・・・優樹君に会うのも」


おじさんの話ではこの駅から徒歩で大体10分位と聞いていますし、地図を見たところ入り組んだ道も無いようです。

溶けかかった雪で濡れた道路に昼の陽光が反射し彼の黒髪をキラキラと輝かせていた。

その少年は駅にいた人々が老若男女問わず振り返り、思わず見惚れてしまうほどに美しい少女だった。


腰の辺りまで伸びた黒髪は癖毛なく、少年の歩に合わせて流れるように揺れる。

同姓でさえ魅惑してしまう紅顔に、華奢な肢体をしており、襟から覗くうなじは透き通るような白い肌をしていた。


大和撫子をリアルで実現してみせた美しさがそこにはあった。


少女は優雅な動きで地図をバッグにしまうと、流麗な動きで歩きだす。

少女の目的地は埼玉県A市新隅あらくま町。その動機は約束を果たすこと・・・。






*************************







そのあまりにも不審者チックな姿に、優樹が呆気に取られている隙に強盗は懷から果物ナイフを抜くと優樹に刃先を向ける形で構えた。


「動くんじゃねぇぞ、声も出すんじゃねぇ、そのままゆ~っくりと下がるんだ」


果物ナイフは優樹の左胸から少しだけ離れた位置にあり、もし要求とは違う行動をすればどうなるかは火を見るより明らかだった。


逆らったり刺激したりしたら、何をされるか分かったものではない。

まだギリギリ冷静でいられた優樹はそう判断すると、ゆっくりと後ろに下がりながら家の中に戻る。


強盗は優樹が家の中に完全に入るのを確認すると玄関のドアを閉め、後ろ手に鍵をかける。


「金目の物を出せ、そうすれば命までは取らねぇ」


優樹は強盗の機嫌を損ねないようにゆっくりと首肯し、両手を上げながら居間へと移動する。


背中に当たる果物ナイフの刃先がいつ刺さるのか恐ろしくて、悲鳴さえもでなかった。

歯はカチカチとなり、心臓は恐怖から鼓動が速まっている。

こんな非常事態だからこそ優樹は思う、自分はこんなに情けない奴だっただろうか?と。


自問自答するものの、何分ナイフを突きつけられるなど生まれて始めての経験であり、それプラス『強盗』等という因子ファクターが加われば最早想像もつかなかった。


もし自分がまだ男だったらもしかしたら相手から逃げ出していたのかもしれない。

だけどそうでない以上どうなるだなんて分かる筈もないし、最早確かめようもない。


居間に入った優樹は現金を入れてあるタンスを開け、正直に今この家にあるだけの貯金の入ったを差し出す。

優樹の父親は海外赴任しておりお金は優樹の口座に振り込まれている。

月末に支給される生活費を普段から最低限しか手元に置いていないので、10万とちょっとしかこの家には残っていない。

それでもそれなりに立派な一軒家(二階建ての新築だし)なので客観的に見れば結構裕福な家に見えるのだろう。


強盗は封筒を片手受けとるとそのまま片手だけで器用に枚数を数え、数えている間にも果物ナイフは優樹の背中に突き付けられたままである。


「ちっ・・・たったの10万かよ・・・しけてやがんな」


強盗は舌打をし、懐に封筒をしまった。

この時、優樹はこれで助かったと思っていた。


だが彼女の本当の恐怖はここから始まった。


「これしかねぇんじゃしょうがねぇな、足りない分はお嬢ちゃんに払って貰うとしようか───体でな」


───・・・・・・・・・え?


強盗が何を言っているのかに気付いた時には既にうつ伏せに押し倒されていた。

まるで犬のような格好をさせられた優樹はこれから何をされるのかを理解する、いや理解してしまった。

元同姓故にこの体勢がなんなのかを強盗が何をするのかを理解できてしまった。


まぁ、同姓でなかったとしても分かってしまうであろうが。


「へへ、一目見た時からどっちにしろ犯るつもりではあったが・・・この尻はたまらねぇな」


「ひっ・・・!」


強盗は鼻息荒く優樹のお尻を乱暴に鷲掴みにする。抵抗しようと身を捩れば鼻先に添えられた刃物が視界に入る。


「おっと、動くとその綺麗な顔に傷がついちまうぜぇ?」


卑下た最悪な笑い方でニヤケた強盗の顔が恐ろしかった、抵抗する気は既に削がれていた。

ただただ、この男が恐ろしかった。未知の感覚が恐ろしかった。


「本当に良い尻してんなぁ・・・おじさんにもお嬢ちゃんと同じくらい娘がいたんだけどねぇ・・・お嬢ちゃんと違って我が儘で言うことを全く聞かない子でねぇ・・・妻と一緒に出て行ってしまったよ」


そんなことはどうでもいい、その手を今すぐどかして欲しかった。

男にお尻を触られている、しかも知らない男に、その現実がどうしようもなく優樹の心を抉る。


以前その手の本でお尻は女性の性体感の一つと書いてあったけど、実際はどうだ?

気持ちいいなんてもんじゃない、ただひたすらに気持ち悪い。

滅茶苦茶気持ち悪い、吐き気がしてきた、今すぐ吐きたい。


目頭が痛い、目の奥がツーンとする。


涙が止まらない、こんなことをされるのが堪らなく悔しい。


(俺は男なのに、男なのに!)


荒く生暖かい吐息が首筋に掛かる度に怖気がし、全身に鳥肌が立つ。

惨めだった、こんなに惨めで辛くて情けないのは生まれて始めて味わう屈辱だ。


カチャカチャとベルトの金具が音を鳴る、その音が何を意味するのか理解するのに数秒を有した。

それを察知した時、優樹の咽から声にならない叫び声があがる。


それは本来聞こえない筈の叫び、助けを求めるという行為を知らない少女の嗚咽。

だがそれに応えられた人がいた。


「げひひ…げぴゃぁ!?」


薄ら笑いの最中に大きな衝撃を受け、下を噛んだらしい強盗の口から少量の血が飛び散る。


「し、舌が!俺の舌…がはぁっ!?」


次に腹に何かが突きささった強盗は体をくの字に折り曲げ床に転がる。

床の上で叫びながら転がりまわる強盗の頭上には竹刀を持った美しい少女が立っていた。


「大丈夫ですか?」


その少女は正眼の位置に構えていた竹刀を腰の位置で逆手に持ち替え、空いた手で優樹に向け手を差し出す。


「・・・!危ない!!」


少女の後ろで転げまわっていた強盗が、ナイフを逆手に握りながら少年に飛び掛る。

ナイフは少女の着ていた上着の胸元を切り裂いた。

だが少女は微塵も怯むことはなかった、竹刀の柄の部分で強盗の鳩尾を的確に突いた。


「やぁっ!」


「がふっ・・・!?」


凛とした声でありながらも烈火の如き気合が込められた掛け声とともに撃ちだされた突きは、今度こそ問答無用で強盗の意識を断ち切った。

強盗は崩れ落ち今度こそ立ち上がる気配もない。だが優樹はそんなことはどうでもよかった。


「だ、大丈夫ですか!?」


少女の切り裂かれた胸元を大慌てで診る優樹。


「うーん・・・助けるつもりが逆に心配されてしまいましたねー・・・」


あっけらかんとした少女はとても怪我をしているようには見えない。


「もし傷でも残ったりしたら大変ですよ・・・って、へ?」


結論から言うと、ナイフで切り裂かれた場所から覗く少女の胸には傷一つなかった。

更に追加するなら真っ平らだった。AAAカップとかそういう次元じゃない。


どこからどう見ても美少女なので女の子だと優樹は思っていたのだが・・・。


「私は‘男’ですので・・・そういう心配はいりませんよ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。(パクパク)」


空いた口が塞がらないとはこの事である。

その後、連絡を受けてやって来た警察に強盗が逮捕されて、幾つか質問に答えた頃には日が暮れていたのだった。








**************************








夜道を駆ける一人の少年―――桜庭慎二の顔には焦りがあった。

優樹が強盗に襲われたと聞いたのがつい数分前、それを聞いて家を飛び出したのがついさっきだ。


自分の親友が、今では美少女の親友が襲われた。その意味はただ単純に怪我をしたかもしれない等という問題ではない。


変貌した親友について慎二はずっと考えていた。

目付きは悪いけど、他の誰よりも一緒にいて落ち着く親友が、儚げで可憐な美少女になった。

今まで見たこともない位に可愛いその少女は、自分の親友であると分かっていても見惚れてしまう程に綺麗だった。


もう言い訳はするまい、俺は間違いなく優樹に惚れているのだ異性として、今ではもう誰にも渡したくないという独占欲が沸いて溢れかえっている。

今まで一人の異性に対し固執することなどなかった自分が、唯一固執してしまう少女、親友であり元男現女の少女、優樹・・・。


色々考えているうちに優樹の家に着いてしまった。

優樹から渡されている合鍵(信用しすぎでちょっと心配になるが)で鍵を解き、俺は家内に飛び込んだ。


「優樹!無事っ・・・!!?」


目の前に広がる光景に俺は自分の目がおかしくなったのかと思った。

俺の眼前では優樹が黒髪の美少年とキスをしていたからだ。







************************







警察が引き上げた後、俺を助けてくれた美少年が俺に改まって頭を下げてきた。

少し考えればそれがただのお辞儀であることに気付くはずだったのだが、頭の中が錯乱していた優樹はそれを謝罪だと勘違いし混乱する。


「お久しぶりです優樹君、まさか本当に女の子になってるなんて思いもしませんでした」


少年のある一言に優樹の頭の中が一気にクリアになる。


―――お久しぶり?


優樹の記憶にこんな美少年と会った記憶などない、そもそも慎二以外にこんなに親しげに話しかけてくる者など見当もつかなかった。

そんな優樹を見て少年は優樹が自分のことを覚えてないことに少しさびしそうな顔になる。


「覚えてませんか?私とあなたは一つ約束をしたんですよ?」


―――約・・・束・・・?


その単語には心辺りがある。優樹にとってとても大切なものであり、自分自身の支えになってきたもの・・・。


「「ずっと一緒にいること・・・」という約束です」


二人の口がタイミング良く開き同じ言葉が紡がれる。


それはあの日の再現だ、幼い頃の約束の再現だ。


あの時、僕等は約束した。そう確かに約束したんだ


「もしかして・・・ハル?」


「ふふふ・・・正解です♪」


ともすれば美少女にしか見えないような可憐な笑顔で応える少年。

そうだ、あの約束はハルとしたんだ・・・目の前にいる自分を助けてくれた少年。


―――『米倉よねくら 春樹はるき


あの約束の相手だ。


「思い出してくれましたか?でもね優樹君、その約束には続きがあるんですよ?」


ふと少年の・・・春樹の両手が優樹の両頬に添えられる。


「え・・・ん!?」


優樹はそれは何?と聞こうと思ったができなかった。


何故なら、優樹の唇は春樹の唇で塞がれていたから。


―――ファ、ファーストキス・・・だよね?


不思議と突き放す気にはなれなかった。切なげに目を瞑った春樹の顔は美しく、優樹は別の意味でドキドキしてしまった。


ほんの一瞬だったその口付けは突然の来訪者によって中断させられた。


「優樹!無事っ・・・!!?」


「・・・!?」


来訪者の姿を確認して優樹の目が驚愕に見開かれる。

それと同時に春樹の唇が優樹の唇から糸を引きながら離れていく。


「ふふふ・・・ご馳走様♪」


光悦とした表情でとても満足そうに春樹がそう呟いた。

同じ行為をしていた優樹はなんというか恋人に浮気現場を見られた彼氏のような反応をしていた。


「し、慎二・・・」


おでこに指を当てながら慎二は考える。

なんだこれは?強盗に襲われたと聞いて飛び出てみれば、何故こんなガチ百合っぽい空気になっている?いやまあコイツは女じゃねぇけど・・・。

OK。とりあえずこの女男から片付けよう、そう決めた慎二は気持ちを切り替えた。


「えーと・・・なんつうか色々ツッコミたいが、とりあえずお前誰だ?」


「始めまして、私は米倉春樹と申します。あなたのお名前はなんというのですか?」


「桜庭慎二だ。とりあえず‘ソレ’は俺んだ、とっとと離れろカマ野郎」


慎二は心底ムカついていた。いかなる過程でそうなったのかは知らないが、自分以外の男が優樹のファーストキスを奪ったのが何よりも気に食わなかった。

この男とは絶対に仲良くなれない、限りなく確信に近いものを感じる。


しばらく二人の間で睨み合いが続く、一人は敵意を顕にし、一人はそれをニコニコと受け流す。


「し、慎二あのね・・・これはその・・・」


・・・一体何があったからお前はそんな可愛くなってるんだ?

それについて小一時間程問い詰めたくなってくる。

口調がもう既に完璧に女の子している優樹を見て、慎二は更にイラッとした。


「お前・・・優樹の一体なんなんだ?」


「私と優樹君は将来を誓いあった仲です♪」


「そ、そ、そ、そんなんじゃにゃいってば!ち、違うんだからね!!?」


『にゃい』ってなんだ『にゃい』って・・・お前はどこまで俺の煩悩を刺激する気だ親友よ?


「ふふふ・・・優樹君ってば照れちゃって可愛い♪」


「~~~~っ!(///)」


顔を真っ赤にしながら俯く優樹をじっくり視姦していた男二人だったが、先に口を開いたのは春樹の方だった。


「それで貴方様は優樹君とどういった関係なのですか?」


爽やかな笑顔の中、目だけが全く笑っていなかった。


「親友だ・・・だけどこれから‘俺のモノ’にする」


「え、え?・・・」


慎二の優樹は俺の嫁発言に始めて春樹の顔が好意的なものから一変し、好戦的なものになる。


「辞退してください、優樹君は私のお嫁さんになるんです」


「黙れカマ男、優樹は俺ンだ」


本人を無視しての仁義無き男の闘いが今まさに始まろうという時だった。


「ユッキィイイイイイイイイイイ!!無事かあああああああぁぁあぁああっ!!?」


突如リビングにダンディなおっさんが風の様に現れた。

突然の来訪者に慎二は不機嫌丸出しで、春樹は有り得ないものを見るような目で驚愕していた。


「誰だおっさん?」


「おじさん・・・!?アメリカにいらしたのでは!?」


は・・・?アメリカ?おじさん?


「あ・・・父さん」


優樹の一言で目の前にいるおっさんが何者なのかを理解した慎二は春樹動揺唖然とする。


「はぁあああっ!?いやお前の親父さん海外赴任中なんだろ!?なんでこんな所に・・・っつか一体どうやって来たんだ!?」


「ユッキィイイイィィイィッ!!」


おっさんは華麗にルパンダイブを決め優樹を抱きしめながら押し倒した。


「ちょ・・・父さん・・・!」


「おおおおおおおおおおおおお・・・!!無事でよかった・・・My  son・・・!」


滝のように涙を流していたおっさんだったが、ふと何かに気付いたように優樹から離れると、優樹の両肩に手を置き下から上まで万遍なく見渡す。


「と、父さん・・・?」


「ユッキー・・・何故女の子になってるんだ?」


そう言えば父にまだ話してなかった、と気付いた時にはもう手遅れだった。



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