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魔法少女アンナ #2

 その日、アンナはとあるコーヒーショップの前にやって来ました。

 アンナはドアを開けて店の中へと入りました。

 アンナは店の中をゆっくりと歩きながらそこにいる客の顔を一人ずつ見て回りました。そしてアンナはコーヒーを飲むヨウコの顔を見て足を止めました。

「こんばんは、ヨウコ。」アンナがヨウコに言いました。

「誰……?」ヨウコが言いました。

「私はアンナ。この度キャプターの捜査に加わることになった魔法少女です。」アンナが言いました。

「ああ……あなたがウワサの人造人間なのね。」ヨウコが言いました。

「より厳密に言えば、人造魔法少女です。」アンナが言いました。

「どっちでも良いのよ。」ヨウコが言いました。

「捜査に加わるに当たってまずあなたに挨拶をしておこうと考えました。しかし、署に行ってみるとそこにあなたはいませんでした。そこで他の署員に話を聞いてみたところ、ここがあなたの行きつけの店だという情報を手に入れました。ですので、署では無くこちらで挨拶を行おうと考えました。」アンナが言いました。

「話が分かりにくいのよ。」ヨウコが言いました。

「すみません。私の会話に改善点があるということは認識しているのですが、思いの外改善が難しいのです。」アンナが言いました。

「とにかく、挨拶を済ませて目的は果たしたのよね?それならとっとと帰れば良いのよ。」ヨウコが言いました。

「それは出来ません。」アンナが言いました。

「は……?」ヨウコが言いました。

「ポリーは私にあなたと共に捜査を行うことを望んでいます。ですので、あなたには私と一緒に捜査を行って貰う必要があるのです。」アンナが言いました。

「私はアンタなんかと組む気は無いのよ。」ヨウコが言いました。

「それは……私が人造魔法少女であり、本物の魔法少女では無いからですか?」アンナが言いました。

「違うのよ。」ヨウコが言いました。「誰が一緒でも、今は捜査をする気にはなれないのよ。」

「それは何故ですか?」アンナが言いました。

「あなたに話すつもりは無いのよ。」ヨウコが言いました。

「もしかして、Xの件と関係があるのですか?」アンナが言いました。

「え……?」ヨウコが言いました。

「あなたはキャプターの捜査と並行してXの捜査を行っていました。しかし、あなたはXを逮捕することに失敗し、結果としてXは魔法庁にその身柄を拘束されることになったそうですね。そのことがあなたの心理に悪い影響を及ぼしているのでしょうか?」アンナが言いました。

「そ……そんなこと無いのよ!」ヨウコが言いました。

「ハズレでしたか。」アンナが言いました。「私は心理の分析が苦手なのかも知れません。」

「いや……。」ヨウコが言いました。「アンタの分析は間違いじゃ無いのよ。」

「つまり、先程の発言は偽りであったということですね。」アンナが言いました。

「そうよ。自分の気持ちを隠す為にウソをついたのよ。」ヨウコが言いました。

「そうでしたか。」アンナが言いました。

「私は本気でXを追っていた。でも、Xを捕らえることは出来なかった。もう、何をやってもダメな気がするのよ。」ヨウコが言いました。

「あなたはポリーが見出した優秀な魔法少女です。あなたならきっとキャプターの捜査で大きな成果を挙げられることでしょう。」アンナが言いました。

「あなたの特殊能力は胡麻をすることなワケ?」ヨウコが言いました。

「いえ、私の隠された能力はあらゆる物質を瞬時に分析する能力です。」アンナが言いました。

「あっそ。」ヨウコが言いました。

「Xの捜査は終わりました。しかしキャプターの捜査はまだ終わってはいません。共に捜査を行いましょう。」アンナが言いました。

「キャプターの捜査はどうせあなた一人でも何とかなるのよ。」ヨウコが言いました。

「あなたも一緒の方が成功確率が上がります。」アンナが言いました。

「でも私は行きたく無いのよ。」ヨウコが言いました。

「ではこうしましょう。もしあなたが捜査に加わってくれるなら、私がコーヒーを一杯おごります。」ヨウコが財布を取り出しながら言いました。

「え……?」ヨウコが困惑した様子で言いました。

「どうでしょう?対価が示されたことで意欲が湧き始めた筈です。」アンナが言いました。

「ベンティで……。」ヨウコが呆れた様子で言いました。


 アンナはヨウコを駐車場へと連れていきました。ヨウコはアンナの買ったコーヒーを飲みながらアンナについていきました。

 そこには一台の魔法の車が停められていました。

「魔法の車ね。」ヨウコが言いました。

「はい。乗って下さい。」アンナが言いました。

 ヨウコがその魔法の車の助手席に乗りました。そしてアンナはその運転席に乗りました。

「変身せずに運転出来るの?」ヨウコが言いました。

「いいえ。」アンナが言いました。

「じゃあとっとと変身するのよ。」ヨウコが言いました。

「その必要はありません。」アンナが言いました。

「は……?」ヨウコが言いました。

「この車には自動運転の機能が備わっています。よって基本的に運転は必要無いのです。」アンナが言いました。

 アンナが車内のボタンを押すとその魔法の車が発進しました。

「一体誰の魔力で動いているワケ?」ヨウコが言いました。

「クイーンの魔力です、この車はクイーンの作った車ですから。」アンナが言いました。

「クイーン……ね。」ヨウコが言いました。

「知っているのですか?」アンナが言いました。

「ポリーから名前くらいは聞いたことがあるのよ。」ヨウコが言いました。

「そうですか。」アンナが言いました。

「で、捜査はどこまで進んでいるの?」ヨウコが言いました。

「キャプターが変身に使用しているマジカルキャプトライザーというアイテムを配布している人物がいる模様です。その人物が重要参考人であると考え、その手掛かりを集めているところです。」アンナが言いました。

「謎の人物……ね。」ヨウコが言いました。

「何か手掛かりを持っていますか?」アンナが言いました。

「そんな人物聞いたこと無いのよ。」ヨウコが言いました。「ひょっとしたらエリコかも知れないわね。」

「エリコですか?」アンナが言いました。

「まあ、単なる可能性の話なのよ。根拠は無いのよ。」ヨウコが言いました。

「現時点ではあらゆる可能性が考えられます。真実に辿り着くためにはやはりキャプターから情報を聞き出すしか無さそうですね。」アンナが言いました。

「そうね。」ヨウコが言いました。

 その瞬間、車内にアラートが響き始めました。

「な……何よ!?」ヨウコが言いました。

「どうやらキャプターが出現して警官達と交戦している模様です。」アンナが言いました。

「な……!」ヨウコが言いました。

「現場へ向かいますか?」アンナが言いました。

「モチロンよ!行くに決まってるのよ!」ヨウコが言いました。

「分かりました。」アンナが言いました。

 アンナが車内のボタンを押しました。


 とある通りでブローキャプターが暴れていました。

 ブローキャプターは集まった警官達の銃撃をものともせずに暴れ続けました。

「ハハハハハ!俺こそが最強の存在なのだ!」ブローキャプターが言いました。

 そこへアンナとヨウコがやって来ました。

「いました。あそこです。」アンナが言いました。

「キャプター……!」ヨウコが言いました。

「変身!」アンナが変身しました。

「変身!」ヨウコも変身しました。

「あのキャプターは“ブロー”のカードを使用しているようです。」アンナが言いました。

「ホントに何でも分析出来ちゃうのね。」ヨウコが言いました。

「“ブロー”には打撃力を上げる力があります。接近戦は不利でしょう。」そう言うとアンナはマジカルスタイラスを取り出し、魔法の拳銃を具現化しました。

「な……!」ヨウコが驚いた様子で言いました。

 アンナは魔法の拳銃でブローキャプターを撃ちました。ブローキャプターは飛んでくる魔法弾に気付き、左手でそれを防ぎました。

「誰だ?」ブローキャプターが言いました。

「アンナ。警察庁の魔法少女さ。」アンナが言いました。

「魔法少女か……。」ブローキャプターが言いました。

「大人しくお縄につくのよ!」ヨウコがマジカルジッテを手に言いました。

「フン!ムリだな!」ブローキャプターが言いました。

「後悔することになるのよ!」そう言ってヨウコがブローキャプターに攻撃を行おうとしました。

「待って下さい。」アンナが言いました。

「何よ!?」ヨウコが言いました。

「このままあのキャプターを倒してしまっては捜査に必要な情報が得られなくなる恐れがあります。」アンナが言いました。

「じゃあどうするって言うの!?」ヨウコが言いました。

「適度に痛めつけて降参サレンダーを促しましょう。」アンナが言いました。

降参サレンダー……?良いのよ。」ヨウコが言いました。

「何をゴチャゴチャ言ってやがる!?」ブローキャプターが言いました。

 ブローキャプターがアンナとヨウコに向かって走り出しました。

「来たのよ!」ヨウコが言いました。

 アンナは魔法の鎖を具現化しました。魔法の鎖は具現化されると同時に空中を飛んでブローキャプターに巻き付き、その動きを封じました。

「なっ……!何だこれは!?」ブローキャプターが言いました。「動けん!」

「今です、ヨウコ。」アンナが言いました。

「ビリビリなのよ!」そう言ってヨウコは魔法の稲妻を放ちました。

「アッ……!」ブローキャプターが魔法の稲妻を受けて苦しみました。

「こちらには魔法の稲妻を放つことの出来るヨウコがいる。それに対し君は魔法の鎖で攻撃も防御も封じられている。最早この状況からの逆転は不可能。大人しく降参サレンダーするんだ。」アンナが言いました。

降参サレンダーだと……!?この俺が……!?」ブローキャプターが言いました。

「ハアッ!」ヨウコが再び魔法の稲妻を放ちました。

「アッ……!」ブローキャプターが魔法の稲妻に苦しみました。

「黒いフードを被った人物からそのアイテムを受け取ったんだろう?一体その人物は何者なんだい?」アンナが言いました。

「ヤツのことか……?知らんな!ヤツは言った、全てのカードを集めろと、全てのカードを手にした者こそが最強の存在であると!」ブローキャプターが言いました。

「意味が分からないのよ!」ヨウコが言いました。

「どうやらあのキャプターは黒いフードの人物について何も知らないようです。潔く降参サレンダーする気も無さそうですので、このままトドメを刺すことにしましょう。」アンナが言いました。

 アンナは無数の魔法弾を具現化してブローキャプターを攻撃しました。

「ウワアアアアアアッ……!」ブローキャプターはアンナの攻撃を受けて爆発と共に倒れました。

「事件は解決ね。」ヨウコが言いました。

「どうやらキャプターから黒いフードの人物に関する情報を聞き出すことは出来なさそうですね。何か別の方法を考える必要がありそうです。」アンナが言いました。

「そうかも知れないのよ。」ヨウコが言いました。

 そしてアンナはその場を後にしました。


 おわり

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