魔法少女アオイ #5
その日、アオイはオフィスでリラとネムと話をしていました。
「マシロコスモスの連中……あれから仕掛けてきませんね。」リラが言いました。
「そうね。」アオイが言いました。
「あれで終わりだとは思えませんけど……。」リラが言いました。
「次はどんな作戦で来ますかねー?」ネムが言いました。
「とりあえず、ハルナに渡してた銃をナタネに取りに行かせてるから、その銃で迎え撃ってやることにするわ。」アオイが言いました。
ハルナのアジトでミチコとハルナが反省会を行っていました。
「ミチコちゃん、この間の仕事の時、いきなりネタを入れてきたよね?」ハルナが言いました。
「反省会なんて始めるから何事かと思いきや、その話……?」ミチコが言いました。
「合わせるの大変だったんだから。」ハルナが言いました。
「アレはそっちの振り方が悪かったせいよ。」ミチコが言いました。
「まあ、それも一理あるけど……。そんなにムチャ振りだった?」ハルナが言いました。
「ええ。」ミチコが言いました。
そこへナタネがやって来ました。
「何の話してんの?」ナタネが言いました。
「あなたは……。」ミチコが言いました。
「ナタネちゃん!」ハルナが言いました。
「反省会よ。」ミチコが言いました。
「ライブの……?」ナタネが言いました。
「そうね。」ミチコが言いました。
「二人のユニットでの活動、見たことないからな……。」ナタネが言いました。
「ミチコちゃん唐突にネタを挟んでくるから、大変だったんだよ!」ハルナが言いました。
「だからアレはハルナの振りのせいだって……!」ミチコが言いました。
「ネタってどんな……?」ナタネが言いました。
「おバカなテンポとおバカなダンス!」ハルナが言いました。
「違う。」ミチコが言いました。
アオイとリラとネムはナタネの帰りを待っていました。
「遅いわね、ナタネ。」アオイが言いました。
「寄り道でもしてるんですかねー?」ネムが言いました。
「まさかマシロコスモスの連中に……?」リラが言いました。
「有り得るー。」ネムが言いました。
「ちょっと見てきます。」そう言ってリラが外へ出ました。
「仕方ないわね。ネム、留守は任せたわ。」アオイが言いました。
「了解ー。」ネムが言いました。
リラが通りを走っていると、キャメロンとミサが姿を現しました。
「アンタは……!」リラが足を止めて言いました。
「見つけたぞ、アオイ産業の魔法少女。」キャメロンが言いました。
そこへアオイが追いつきました。
「あなたは……!」アオイがキャメロンを見て言いました。
「もう一人は……見ない顔ね。」アオイがミサを見て言いました。
「フフフ……!」ミサが言いました。
「ネムが言ってたヤツかしら?あなた達の切り札……。」アオイが言いました。
「そう。彼女はミサ、私の切り札だ。」キャメロンが言いました。
「またウチの社員に不意打ちを仕掛けに来たワケね。」アオイが言いました。
「生憎社長も来てしまったみたいだがな。」キャメロンが言いました。
「こんな事してるヒマがあったらクリスマスケーキでも作ってたらどう?」アオイが言いました。「かき入れ時じゃないの?」
「それは私の仕事ではない、私の仕事は経営に関わる部分だからな。」キャメロンが言いました。
「私も経営者よ。この際だから腹を割って話し合わない?」アオイが言いました。
「魔法少女との折衝はミサに任せている。尤も、その場合では話し合いではなくバトルになるがな。」キャメロンが言いました。
「まあ良いわ。そういう交渉の方が私好みよ。」アオイが言いました。
「そう言っていられるのも今の内だ。」キャメロンが言いました。
「変身!」ミサが変身しました。
「行くわよリラ!」アオイが言いました。
「はい!」リラが言いました。
「変身!」アオイとリラが変身しました。
「私のアートの力……見せてあげる!」そう言ってミサがマジカルブラシを構えました。
「マジカルアート!」ミサがマジカルアート『戦士の伝説』を生み出しました。
「何……?」リラが言いました。
「マジカルアート、戦士の伝説。偉業を成し遂げた戦士の戦いをテーマとして作り上げた私の芸術作品!このアートであなた達を抹殺してあげる!」ミサが言いました。
「私の考えだと芸術作品が最も美しいのはそれが壊れる時だわ。だから私達の手でその作品を完成させる必要がありそうね。」アオイが言いました。
「私の作品はこれで既に完璧よ。あなたにもすぐに分かる。」ミサが言いました。
戦士の伝説が両手にそれぞれ持った剣を構えました。
「ハアアアッ!」アオイが戦士の伝説に殴り掛かりました。
戦士の伝説は左手の剣でアオイの攻撃を受け止め、右手の剣でアオイを切りつけました。
「ウアッ……!」アオイが怯みました。
戦士の伝説はさらにアオイを連続で切りつけました。アオイはそのまま転倒しました。
「フッ!」リラが魔法のエクトプラズムを召喚し、それを戦士の伝説に向けて飛ばしました。
戦士の伝説は飛んできた魔法のエクトプラズムを右手の剣で弾きました。弾かれた魔法のエクトプラズムは向きを変えて再び戦士の伝説へと飛んでいきましたが、戦士の伝説は右手の剣でそれを弾くと、両手の剣を同時に振って魔法のエクトプラズムを切りつけ、そのまま消滅させました。
「あっ……!」リラが言いました。
「どう?分かったでしょ?私のアートは完璧なの!あなた達に勝ち目は無い!」ミサが言いました。
「大人しく降参すれば命だけは助けてやろう。その代わり、魔法の砂糖に関する事業は我々のものとする。」キャメロンが言いました。
「ダメよ!降参なんて許さない!私のアートはバトルの中でこそその価値を発揮するの!途中でバトルを止めさせたりしない!」ミサが言いました。
「だそうだ。」キャメロンが言いました。「残念だったな。」
「何が残念……?」アオイが立ち上がりながら言いました。
「こっちは端から降参なんてするつもりは無いわ。」アオイが言いました。
「経営者を名乗る割に自分達の状況をちゃんと理解出来ていないようだな。」キャメロンが言いました。「ミサの力はお前達がこれまで倒してきたマジカルギャング達とは桁が違う。」
「確かに……。」リラが言いました。
「前にお前達の仲間がミサの襲撃から生き延びたのは運が良かっただけに過ぎない。これまでのように上手くやっていけると思っているならそれは大間違いだ。」キャメロンが言いました。
「くっ……!」リラが言いました。
「尤も、今更この状況を理解出来たところでもう遅いようだがな。」キャメロンが言いました。
「それはどうかしら?」アオイが言いました。
「何……?」キャメロンが言いました。
「社長……。」リラが言いました。
「状況を理解出来ていないのはあなた達の方よ。」アオイが言いました。
「ほう……。」キャメロンが言いました。
「何……?私のアートを倒せると思ってるの?そんなのムリに決まってるじゃん!」ミサが言いました。
「自分達のビジネスが狙われていると分かってて私が何も手を打っていないと思う?」アオイが言いました。
「ん……?」キャメロンが言いました。
「はあ?意味分かんないんですけど……?」ミサが言いました。
そこへナタネがマジカルテックポンプライフルを持って姿を現しました。
「社長、お待たせしました!」ナタネが言いました。
「来たわね、ナタネ。」アオイが言いました。
「こんなところでパーティっすか?だったら私も混ぜて下さいよ!」ナタネが言いました。
「変身!」ナタネが変身しました。
「フン……。新たな魔法少女を呼び出したか……。」キャメロンが言いました。
「呼んだ訳じゃ無いけど……。」リラが言いました。
「魔法少女が一人増えたところで戦士の伝説は倒せないわ!」ミサが言いました。
戦士の伝説がナタネに切りかかりました。
「おっと……!」ナタネはマジカルテックポンプライフルで戦士の伝説の攻撃を受け止めると、キックで反撃を行いました。
戦士の伝説がナタネの攻撃を受けて後退しました。
「ハアッ!」ナタネが右手だけでマジカルテックポンプライフルを構え、それを撃ちました。
戦士の伝説がナタネの攻撃を受けてさらに後退しました。
「極上!最上!崇高!最高!」そう言ってナタネがマジカルテックポンプライフルの先台を動かしました。
「ハアアッ!」ナタネが大きな魔法弾を放ちました。
大きな魔法弾を受けて戦士の伝説は爆発しました。
「そ……そんな……!」ミサが言いました。「私のアートが……!」
「瞬殺だと……!?」キャメロンが言いました。
「足りねえな!全然足りねえよ!」ナタネが言いました。
「ウアアアアアアアッ!この野蛮人……!」ミサが言いました。
「まさかここまでとは……!かくなる上はこの私が……!」そう言ってキャメロンが前に出ました。
「あん……?」ナタネが言いました。
「何をするつもり……?」アオイが言いました。
「ウオオオオオオオッ!」キャメロンが大きな爬虫類のような姿へと変化しました。
「何……!?」リラが言いました。
「マジか……!」ナタネがマジカルテックポンプライフルを構え直しながら言いました。
キャメロンが周囲を破壊しながらアオイとリラとナタネに近づいていきました。
「そうよキャメロン!アイツらを殺して!」ミサが言いました。
「面白え!」そう言ってナタネがマジカルテックポンプライフルを撃とうとしました。
アオイがナタネを制止しました。
「私がやるわ。」アオイが言いました。
「社長……?」ナタネが言いました。
アオイがマジカルムーブを発動しました。
「ハアアアアアアッ!」アオイがキャメロンに飛び掛かりました。
「社長……!?」リラが言いました。
キャメロンはアオイを飲み込みました。
「ん……?」ミサが言いました。「まさか……!」
次の瞬間、キャメロンが爆発しました。
「社長……!」リラが言いました。
「くっ……!」ミサは爆発の炎を逃れ、そのまま姿を消しました。
「社長……!」ナタネとリラが収まりつつある炎の中へと飛び込みました。
「ウアアアッ……!アアアッ……!アアッ……!アアッ……!」アオイは火だるまになってのたうち回っていました。
「社長……。」リラが言いました。
しばらくして炎が完全に消えました。
「ううっ……!ううううっ……!」アオイが倒れ込んだまま言いました。
「社長、大丈夫っすか?」ナタネが言いました。
「ああああっ……!」アオイがよろめきながら立ち上がりました。
「ふう……。ふう!こんなに刺激的だったのは随分と久しぶりね。」アオイが言いました。
「大丈夫そうっすね!」ナタネが言いました。
「社長……無茶しないで下さい。」リラが言いました。
「ムチャ……?そんなものしてないわ。アートよ!芸術は爆発でしょ?」アオイが言いました。
「そうっすね!」ナタネが言いました。
「とにかくこれであの会社との問題にカタが付いたわ。良い仕事納めになったんじゃない?」アオイが言いました。
「そうですね。」リラが言いました。
おわり