魔法少女フウ&魔法少女スイ #10
その日、フウはとある通りを歩いていました。
そこへスイが姿を現しました。
「スイ……?」フウが言いました。
その頃、ミサキはとある路地に佇んでいました。
「アオイ……まだ生きていたのね。」ミサキが言いました。
「死んだと思ってたの?」クローディアが言いました。
「ええ。」ミサキが言いました。「でもまさか生き延びていたなんて……。」
「衝撃……?」クローディアが言いました。
「いえ……。アオイには特殊能力があるから……。」ミサキが言いました。
「魔力が減る程にその消費を抑えられるようになるんだっけ?」クローディアが言いました。
「そう。魔法少女は魔力を消費してダメージを無効に出来るけど、アオイの場合は普通よりも少ない消費でダメージを無くせるのよね。それに攻撃の際に魔力が足りないと命を削ることになるから、魔力消費を抑えることは魔法少女の生存に大きく繋がってくるわ。」ミサキが言いました。
「とは言っても、魔力を使って体の損傷は防げても痛みは受けるから良いことばかりじゃないわよね。」クローディアが言いました。
「ええ……。」ミサキが言いました。
「それで……どうするの?」クローディアが言いました。
「えっ……?」ミサキが言いました。
「あの子のこと……。」クローディアが言いました。
「どうもしないわ。」ミサキが言いました。
「仲間が欲しいんじゃ無かったの?古い友達なら丁度良くない?」クローディアが言いました。
「良くないわ。」ミサキが言いました。
「何で?暗黒魔法少女になったことに負い目を感じてるから……?」クローディアが言いました。
「アオイに対してそれは無いわ。」ミサキが言いました。
「じゃあ何で?」クローディアが言いました。
「色々とややこしいのよ。」ミサキが言いました。
「どんな風に……?」クローディアが言いました。
「今の私は闇の魔法少女だけど、アオイにとってはその闇すらも眩し過ぎるの。アオイは言わば、闇より深いこの世の地獄よ。」ミサキが言いました。
「はあ……?」クローディアが言いました。
「もし私が生きてることがアオイに知られたら……。」ミサキが言いました。
「どうなるワケ……?」クローディアが言いました。
「想像もつかないわ。車で轢き潰されて、そのまま肉団子にされちゃうとか……?」ミサキが言いました。
「何それ……?」クローディアが言いました。「仮にも友達でしょ?」
「そういう子なのよ、アオイは。」ミサキが言いました。
「要するに、友情を拗らせちゃってるワケね。」クローディアが言いました。
「一度は死んだとはいえ、この体はまだ無事だわ。それを傷物にされたくない。」ミサキが言いました。
「とは言っても、あの子があなたの生存を知るのは時間の問題じゃない、なんせ政府の魔法少女相手に大々的に復帰アピールしちゃったんだから?」クローディアが言いました。
「そうよね。どうしてアオイが私が生きてるってことに気付いてないのか不思議だわ。」ミサキが言いました。
「それとも、知ってるけど気にしてないとか……?」クローディアが言いました。
「それは無いわ。私が生きてるって知ってアオイが何もしないハズ無い。」ミサキが言いました。
「じゃあ、知らないフリしてトラップを仕掛けてるとか?」クローディアが言いました。
「それも考えられるわ。」ミサキが言いました。
「だとしたら警戒するべきね。」クローディアが言いました。
「ええ。でも、やっぱり私のことはまだ知らないんだと思う。きっと情報が錯綜しているんだわ。」ミサキが言いました。
「この世界はあなたが暗黒魔法少女になったことよりも重要な情報で溢れてるものね。」クローディアが言いました。
「そうね。ひとまず様子を見ることにするわ。」ミサキが言いました。
二人は黙ったまま見つめ合っていました。
「スイ……私はどうすれば……?」フウが言いました。「私に何が出来る?」
「さあ……?出来ることなんて……何も無いんじゃない?」スイが言いました。
「く……。」フウが言いました。
「いや、一つだけあるかもね。」スイが言いました。
「スイと……バトルを……?」フウが言いました。
「うん。もしフウに出来ることがあるとすれば、それしか無いんじゃないかな?」スイが言いました。
「だったら……やろう。」フウが言いました。
「うん。」スイが言いました。
「変身!」二人が変身しました。
二人はしばらくの間睨み合っていました。
「ハアーッ!」二人が同時に走り出しました。
二人は同時にパンチを繰り出し、同時に怯みました。
「ハアアッ!」先に体勢を立て直したフウがパンチを繰り出しました。
「ハアアッ!」スイはフウのパンチを受けてすぐに体勢を立て直し、パンチを繰り出しました。
「ハアアッ!」フウもスイのパンチを受けてすぐに体勢を立て直し、パンチを繰り出しました。
「ハアアアッ!」スイがまたパンチを繰り出しました。
「ウウッ……!」フウが地面に倒れ込みました。
「どうしたの?そんなんじゃ、今の私には勝てないよ?闇の力を手にした今の私には……。」スイが言いました。
「くっ……!」フウが立ち上がりました。
「本気を出してよ。でないと、このバトルの意味は無くなる。」スイが言いました。
「再度変身!」フウが再度変身しました。
「ハアアアッ!」フウがパンチを繰り出しました。
「くっ……!」スイが腕でフウのパンチを防ごうとしましたが、防ぎきれずに後退しました。
「ハアアッ!」スイがパンチを繰り出しました。
フウはスイのパンチを受けてもすぐに体勢を立て直しました。
「ハアアアッ!」フウがパンチを繰り出しました。
「ウアッ……!」スイが転倒して地面の上を転がりました。
フウは倒れ込んだスイを見つめていました。
「くっ……!」スイが立ち上がりました。
「フフ……!やるね。」スイが言いました。
「私は戦う!そしてこのバトルの中できっとスイを救う方法を見つけてみせる!」フウが言いました。
「ムリだよ。」スイが言いました。
「えっ……?」フウが言いました。
「もう……私を救うことなんて出来ない。」スイが言いました。
「スイ……。」フウが言いました。
「フウに出来ることは、私と戦って私を阻止することだけだよ!」スイが言いました。
「アビズマルマジカルシューター!」スイが闇の魔法の拳銃“アビズマルマジカルシューター”を召喚し、それを構えました。
「アビズマルマジカルバースト!」スイが暗黒魔法弾を三連射してフウを攻撃しました。
「ウアッ……!」フウが後退しました。
「尤も、私を倒すことも出来ないかも知れないけどね。」スイが言いました。
「くうっ……!」フウが体勢を立て直しました。
「マジカル……スラッシャー……!」フウがマジカルスラッシャーを召喚し、それを構えました。
二人は武器を構えたまま睨み合いました。
「マジカルブレード!」フウが魔法の刃を召喚し、それを飛ばしました。
「アビズマルマジカルシュート!」スイが強力な暗黒魔法弾を放ちました。
魔法の刃と強力な暗黒魔法弾が激突し、共に爆発しました。
「くっ……!」スイが爆風で怯みました。
「ハアーッ!」フウはマジカルスラッシャーを構え直し、炎の中を突っ切りました。
「あっ……!」スイが言いました。
「マジカルスラッシュ!」フウが魔法の刃でスイを切りつけました。
「ウアアアアアアアッ……!」スイはふっ飛ばされてマジカルシューターを手放して地面に倒れ込みました。
「くっ……!」攻撃を終えたフウはよろめいてマジカルスラッシャーを落とし、地面に膝を突きました。
「うっ……!ううっ……!」スイが体を起こしました。
「フウ……!」スイが言いました。
「ううっ……!」スイが立ち上がりました。
「くっ……!スイ……!」そう言ってフウが立ち上がりました。
フウとスイは見つめ合いました。
「決着を……つけるよ?」そう言ってフウがマジカルムーブを発動しようとしました。
「フウ……?」スイが言いました。「待って!」
「え……?」フウが動きを止めました。
「降参するよ!」スイが言いました。「私の負けで良い。」
「降参……?」フウが言いました。「どうして……?」
「それは……。」スイが言いました。
「もしかして……私のことを心配して……?」フウが言いました。
「そんなんじゃ無い。」スイが言いました。
「スイ……。」フウが言いました。
「アンティとしてしばらくの間は大人しくしておいてあげる。」スイが言いました。
「うん。」フウが言いました。
「でも……しばらくしたら……。」スイが言いました。
「スイ……。」フウが言いました。
「その時は……今度こそ……決着をつけて。」スイが言いました。
「うん。」フウが言いました。
「この私を……解放して……。」スイが言いました。
「いや……。」フウが言いました。
「えっ……?」スイが言いました。
「その時は……きっとスイを救ってみせる。」フウが言いました。
「フウ……。」スイが言いました。
「それはムリだって……。」そう言ってスイはその場を離れました。
「スイ……。」フウが言いました。
スイはとある建物の屋上に一人佇んでいました。
そこへミサキが姿を現しました。
「そろそろ気は済んだ?」ミサキが言いました。
「ミサキ……さん……。」スイが言いました。
「少し困ったことになったの。」ミサキが言いました。「手を貸して貰えないかしら?」
「悪事なら出来ませんけど……?勝負に負けたんで……。」スイが言いました。
「分かってるわ。」ミサキが言いました。「あなたに闇の力を与えたのは世界の平和を乱す為じゃないの。」
「じゃあ何を……?」スイが言いました。
「アオイ産業の監視よ。」ミサキが言いました。
「アオイ産業……?あの……?」スイが言いました。
「もしあの会社が私の動きに感づいたら知らせて欲しいの。」ミサキが言いました。
「ミサキさん……あなたは何をしようとしているんですか?」スイが言いました。
「フフ……!いずれ分かるわ。」ミサキが言いました。
「まあ……別に何でも良いけど……。」スイが言いました。
「とにかく、お願い出来る?」ミサキが言いました。
「うん……。」スイが言いました。
「良かったわ。」ミサキが言いました。「それじゃ、よろしくね。」
おわり