魔法少女X #18
その日、ミチコはハルナのアジトでハルナと話をしていました。
「シザリバの二人ってギター弾けるのよね。」ミチコが言いました。
「カッコ良いよね。」ハルナが言いました。
「ギターって難しいのかしら?」ミチコが言いました。
「楽器なんだから難しいでしょ。」ハルナが言いました。
「まあ、難しそうよね。」ミチコが言いました。
「私リコーダーの低いドの音出せなかったな。」ハルナが言いました。
「レは出せたの?」ミチコが言いました。
「ムリ。」ハルナが言いました。
「そうよね。」ミチコが言いました。
「鍵ハやってた頃が私の全盛期だったな。」ハルナが言いました。
「鍵ハは楽よね。」ミチコが言いました。
「ひょっとしたらギターも楽だったりしないかな?」ハルナが言いました。
「試してみる価値はあるかも知れないわね。」ミチコが言いました。
「どんなギターが良いかな?」そう言ってハルナはスマートフォンを取り出しました。
「これなんか良くない?」そう言ってハルナがスマートフォンの画面を見せました。
「なかなか良いじゃない。」ミチコが言いました。
「だよね!いくらするんだろう?」ハルナが言いました。
「いくら?」ミチコが言いました。
「うわっ!十四万八千円もするよ!」ハルナが言いました。
「十四万……!?」ミチコが言いました。
「ギターって高いんだね。」ハルナが言いました。
「そうね。」ミチコが言いました。
「何の話をしているの?」そう言ってアオイが姿を現しました。
「アオイさん……!?」ハルナが言いました。
「何しに来たワケ……?」ミチコが言いました。
「旧友に会うのに理由なんて要るワケ?私はただあなた達と友情を育み来ただけよ、お茶を飲みながら世間話でもしてね。」アオイが言いました。
「何見てるの?」そう言ってアオイがハルナのスマートフォンを覗き込みました。
「ギター……?あなた達、ギターに興味あるワケ?」アオイが言いました。
「まあ……。」ミチコが言いました。
「一応私達、そういう仕事してますから……。」ハルナが言いました。
「へえ……。でも、楽器って高いわよ。そのギター、確か二十五万で売ってたわね。」アオイが言いました。
「二十五万……!?」ミチコが言いました。
「ネットで買った方が安いね。」ハルナが言いました。
「どっちにしたって買えないけどね。」ミチコが言いました。
「あなた達、お金に困ってるワケ?」アオイが言いました。
「いや……。」ハルナが言いました。
「まあ、弾けるかどうかも分からない楽器の為にそこまでは……。」ミチコが言いました。
「逆にいくらまでなら出せるワケ?」アオイが言いました。
「そうね……。」ミチコが言いました。
「五万……くらい……?」ハルナが言いました。
「良いわ!五万出してくれればそのギターを手に入れるのに協力してあげるわ!」アオイが言いました。
「アオイさん……!?」ハルナが言いました。
「どういうこと……?」ミチコが言いました。
「だから、あなた達がそのギターを手に入れるのに必要な金額は五万ポッキリだって言ってるのよ。」アオイが言いました。
「どこで買えるんですか?」ハルナが言いました。
「買わないわよ。譲って貰うのよ。」アオイが言いました。
「は……?」ミチコが言いました。
「そのギターが二十五万で売ってたって言ったでしょ?その店から……。」アオイが言いました。
「えー……?」ハルナが言いました。
「そういう流れ……?」ミチコが言いました。
「我が社と敵対しているマジカルギャングの一つに音楽好きなヤツらがいてね、その店がソイツらのアジトなのよ。いずれエセ忍者に潰して貰う予定だったけど、あなた達に潰して貰うのも悪くないわ。」アオイが言いました。
「そういう話……。」ハルナが言いました。
「ちょっと待って。」ミチコが言いました。
「何……?」アオイが言いました。
「何でそれで私達が五万取られなきゃならないのよ?」ミチコが言いました。
「言ったでしょ、協力するって。これはあなた達のプランであって、私はただの協力者なのよ。」アオイが言いました。
「そっちの利益の為に動いてるのに……?」ミチコが言いました。
「それにこうやって気軽にお金を取れるなんていかにも友人っぽくて良いじゃない。」アオイが言いました。
「そういうもん……?」ミチコが言いました。
「幼い頃は大人達に友達同士でお金のやり取りをしちゃいけないなんて言われてたけど、今にして思えばあんなのはクソだったわ。」アオイが言いました。
「あなたにも親のいうこと聞いてる時代があったなんてビックリね。」ミチコが言いました。
「リコーダー吹けました?」ハルナが言いました。
「リコーダー……?懐かしいわね。低いドが出せるようになるまで随分と練習したわ。」アオイが言いました。
「ええっ……!?」ハルナが言いました。
「負けた……!?」ミチコが言いました。
「とにかく、やりに行くわよ。」アオイが言いました。
「しょうがないわね。」ミチコが言いました。
ミチコはハルナとアオイと共にとある楽器店の前まで来ました。
「アレが例の楽器店……?」ミチコが言いました。
「そうよ。憧れのギターはあそこにあるわ。」アオイが言いました。
「二十五万円のギター!」ハルナが言いました。
「さあ。あなた達のユニットの力を見せてみなさい。」アオイが言いました。「えっと……名前何だったかしら……?」
「X TIME!」ハルナが言いました。
「そう。それよ。X TIME with アオイ!」アオイが言いました。
「そうね。」ミチコが言いました。
「ライブ前のキメ台詞とかあるワケ?」アオイが言いました。
「無いわね。」ミチコが言いました。
「えっ……?無いワケ?」アオイが言いました。
「そもそも公式の活動実績が無いから……。」ミチコが言いました。
「だったら今度ウチの社歌を歌ってネットで有料配信してみるのはどう?」アオイが言いました。
「多分学校の許可が下りないわ。」ミチコが言いました。
「学校を通さないと活動出来ないなんて面倒ね。」アオイが言いました。
「とにかく始めるわよ。」ミチコが言いました。
「そうだね。」ハルナが言いました。
「変身!」ミチコとハルナが変身しました。
「変身!」アオイも変身しました。
「X TIME、スタートアップ!」ミチコとハルナが言いました。
「えっ……?ちょ……!キメ台詞あるじゃない!」アオイが言いました。
「いや……コレは……。」ハルナが言いました。
「約束して無いのについ言っちゃったわ。」ミチコが言いました。
「もう……。」アオイが言いました。
「ステージはもう始まってるよ!?」ハルナが言いました。
「行くわよ!」ミチコが言いました。
ミチコはハルナとアオイと共にその楽器店へと乗り込みました。
「全員床に伏せなさい!」ミチコがマジカルピストルを構えながら言いました。
「でないと私達のファンになってこの場で黄色い悲鳴をあげることになるよ?」ハルナがマジカルブラスターを構えながら言いました。
次の瞬間、店の奥からマジカルギャングスタ―達が姿を現し、魔法の拳銃を撃ち始めました。
「バカめ!襲う店を間違えたようだな!」その楽器店の店主が言いました。
「間違えてなんかいないわ!」ミチコがマジカルピストルを撃ってマジカルギャングスタ―達を倒しながら言いました。
「何……!?」店主が言いました。
「やっぱこういう非公式な活動の方が私には似合ってるね。」ハルナがマジカルブラスターを撃ってマジカルギャングスタ―達を倒しながら言いました。
「へえ……。ギターって割と重いのね。」アオイが店内に置いてあるギターを手に取りながら言いました。
「ハアアッ!」アオイが手に取ったギターを床に叩きつけて壊しました。
「何やってるの!?」ミチコが言いました。
「ちょっと試奏をさせて貰っただけよ。私のことは気にせず続けて。」アオイが言いました。
「こっちは五万払ってるのよ!?あなたも戦いなさいよ!」ミチコが言いました。
「戦うわ、必要になったらね。」アオイが言いました。
「五万……!?たった五万で雇われたのか?」店主が言いました。
「そういうことになるわね。」アオイが言いました。
「だったらこっちはその倍……いや、四倍出す!それだけあればスクワイアじゃなくてフェンダーが買えるぞ!」店主が言いました。
「何の話か分からないけど、このギターは良さそうね。ハアアッ!」アオイはまた別のギターを壊しました。
「何がX TIME with アオイよ!?実質私達だけじゃない!」ミチコが言いました。
「でもそれだけで十分だよ!」ハルナが言いました。
「まあね。」ミチコが言いました。
ミチコとハルナは店内にいたマジカルギャングスタ―達を全滅させました。
「そんな……!」店主が言いました。
「あなた達の欲しがってたギターがあったわ。これを持って帰りましょう!」アオイが言いました。
「そうはいかないんだよね。」そう言ってスイが姿を現しました。
「ん……?」アオイが言いました。
「あなたは……!」ミチコが言いました。
「変身!」スイが変身しました。
「闇の力……?」ハルナが言いました。
「また変なのが来たわね。」アオイが言いました。
「アビズマルチューニング!」スイが店主をチューニングしました。
「ウアアアッ……!」店主がチューンダークに変身しました。
「変身した!?」ミチコが言いました。
「フフフ……!」スイが言いました。
「面倒なことになったわね。」アオイが言いました。
「でも、X TIMEのカウントはまだ鳴り続けてるよ!」ハルナが言いました。
「ええ!」そう言ってミチコがマジカルランチャーを召喚しました。
「クライマックス!」ミチコがマジカルランチャーに“クライマックス”のカードを挿入しました。
「ハアッ!」ミチコが魔法弾を放ちました。
「3……2……1……タイムアウト!」ミチコとハルナが言いました。
「ウアアアアアアアッ……!」そのチューンダークが爆発と共に倒れました。
「へえ……。」そう言ってスイは姿を消しました。
とある建物の屋上でその楽器店の様子をミサキが見ていました。
「アオイ……!」ミサキが言いました。
その後ミチコはハルナとアオイと共にそのギターを持ってハルナのアジトへと戻りました。
「上手く行ったわね。」ミチコが言いました。
「早速ギターを弾いてみようよ!」ハルナが言いました。
「コード表もついでに頂いておいたわ。」アオイが言いました。
ハルナがそのギターを弾いてみました。
「どう……?」ハルナが言いました。
「アンプが無いから聞こえにくいけど、なんか響きが足りない気がするわね。」ミチコが言いました。
「そっか……。」ハルナが言いました。
続いてミチコがそのギターを弾いてみました。
「これ指痛くない?しかも響かないし……。」ミチコが言いました。
「押さえ方が悪いんだろうけどこれ以上上手く押さえるのムリだよね。」ハルナが言いました。
「しかもなんか重いし……。」ミチコが言いました。
「だよね!」ハルナが言いました。「ギターって軽い楽器だと思ってたよ。」
「これは弾けないわ。」ミチコが言いました。
「しょうがないわね。じゃあこのギターは私が記念に貰っておくわ。」アオイが言いました。
「良いけど、五万……。」ミチコが言いました。
「私を誰だと思ってるの?定価で買うわ。」アオイが言いました。
「喜んでお譲りするわ。」ミチコが言いました。
おわり